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PHASE-1522【ポムポムポームス】

「じゃあ、アル殿は無事に解放されるってことでいいね? ボクもその事を伝えないとね。ここでの戦いもこちらの負けだって伝えないと!」


「なにを言ってるんでしょうか。このベルが好きそうな愛玩生物は」


「な、なんだよぉ……」

 ちびっ子ワイバーンの手綱を操り、この場から急ぎ立ち去ろうとするポームスの前にコクリコが立ち塞がる。


「忘れているようですね」


「な、なにをだい?」

 おお! コクリコが体に気炎を纏っている。

 俺同様に気炎を幻視したのか、ポームスとちびっ子ワイバーンは恐れていた。

 器用に羽を羽ばたかせてゆっくりと後退。


「返してもらいましょうか!」


「……!? あ、ああ! ワンドだね! もちろん返させてもらうよ。丁寧に扱っているのがよく分かる代物だったよ」


「当然でしょう!」

 丁寧に扱ってい……る?

 魔法発動と同じくらいの頻度で打撃武器としても使用している物が丁寧に扱われているとは思えないんだけども。

 最近はミスリルフライパンを接近の主武装として使用しているけども、丁寧にってのはいくらなんでもおべっかが過ぎるよポームス。


「おお、我がワンドよ! 無事で何より!」

 再会を喜び、ワンドに頬ずりするくらいには大事にはしているようだな。

 戦闘時はそれで思いっきりどつき回してるのにね……。


「じゃあ、ボクはこれで」


「ちょっと待ってもらいましょう。よもやこれで終わりだとでも?」


「なんだい……。まだ用があるのかい……」


「当然です! 私達の装備一式は何処にあるのでしょうかね!」

 と、ミスリルフライパンに、何よりもカトゼンカ氏の家宝であるサーバントストーンことアドンとサムソンの収納されたミスリル製の小箱もない。

 スケルトン達も無手だしな。


「それらはこの部屋から続く宝物庫に保管しているよ」


「「宝物庫!」」

 ここはコクリコと一緒になって声を上げてしまう俺氏。


「少女のもそうだけど、スケルトン達の装備もかなりものだからね。戦利品として回収したんだよ」


「ほほう、それで私のワンドだけはその宝物庫には送られなかったと」


「これは……ほら、あれだよ。勇者達にこっちが人質を取っているという証拠として見せないといけなかったからね!」


「なんか取って付けたような言い訳ですがいいでしょう。それよりも宝物庫に案内してもらいましょう」


「案内はしてあげるけど、こちらが回収したそっちの装備以外は絶対に渡さないからね!」


「そんな約束は出来ませんよ。一人は解放すると約束してますが、現状こちらは人質が二人。この二人の安全はこの時点で貴方の判断に委ねられます。こちらも時間は惜しいので、責任者に相談などという猶予は与えません。貴方が決めるのです! 今! ここでっ!」

 言葉で包囲するね~。コクリコさん。

 ポームスの大きなお目々が潤んでいるじゃないか。可哀想に。

 ベルがこの場にいたなら間違いなくコクリコは折檻を受けていたな。


 まあ、それはそうとして、


「二人の安全はポームス君の双肩にかかっている」

 俺も便乗するけどね。

 やっぱり宝物庫は浪漫だからな。


「本当にゲスだな勇者」


「うるさいよ。ボッチ」

 ラズヴァートの呆れ口調を受け流しつつ、コクリコと一緒にズイッと一歩ポームスへ歩み寄りながらプレッシャーをかけていく。


「二人ともそこまでだ。重圧をかけたら流石に可哀想だよ」

 ここでユーリさんが俺達とポームスの間に立ち、直ぐさまポームスの側へと移動。


「なんです。ゲッコーの部下ならば我々の行動に賛同してほしいですね」


「賛同はするよ。奪われた装備を回収するのは当たり前だからね。じゃないとこれから先が不安になる。でも、こんなにも愛らしい相手に対して強者二人が圧をかけるのは良くないよ」


「それは確かに」

 ユーリさん、コクリコの事を分かっているな。

 強者って言うだけで簡単に聞き入れるって事をご存じのようだ。


「自分がいるから大丈夫だ。さあ、案内してくれ」


「わ、分かったよ」

 と、ポームス。

 この場において自分が頼って良いのはユーリさんだけだと判断したようだ。

 怖がらなくていいよ。とばかりに、ポームスの小さな背中をユーリさんが優しくポムポム。

 

 ――ほほう。なんともいいポムポムですな。

 優しさのあるポムポム。

 この場において自分だけは君の味方だよ。といった優しさ。

 これにはポームスだけでなく、ちびっ子ワイバーンもユーリさんを頼るかのように頭をこすりつけていた。

 猫の愛情表現みたいだった。


「ふふふん」

 愛らしいのにそうされれば、二メートル近い身長の屈強な男は喜びから鼻を鳴らしてみせる。

 で、気分良く頭をこすりつけてくるちびっ子ワイバーンの頭を撫でつつ、ポームスの体にも再びポムポムと優しく振れてやる。

 

 この短時間で懐かせる掌握術は俺なんかじゃできない芸当だし、別の意図でもポムポムする手際の良さは素晴らしい。


「じゃあ、案内を頼むよ」

 バラクラバの奥から優しい声を発せば、


「いいよ」

 と、快諾。

 ポームスに従って皆して移動。

 ――といっても直ぐに到着したけど。

 アル氏のいた部屋から通路を真っ直ぐ進めば、直ぐに見えてくる宝物庫の扉。


「それにしても幹部がいた部屋の直ぐ隣とか変な造りですね」


「別に変じゃないよ。あそこはアル殿専用の部屋じゃないからね。あそこは宝物庫へと続く最後の部屋。そこを守るのがアル殿の役目だから」


「なるほどね」

 ポームスからの説明を受けることで、俺達はこの要塞内でも奥の方へと到着していたってのが分かるというもの。

 上へと移動する為の階段などを使用した訳じゃないから、要塞一階に宝物庫があるってことだよな。

 

 一階に宝物庫か。

 

 ここの主が決めた間取りを俺が気にする必要はないけども、要塞の宝物庫となれば、最上階とか地下施設にあるというイメージだったからな。

 一階ってのは以外だったよ。


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