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PHASE-1506【びっしり】

「み、見事」

 言葉をつまらせるルイン。


「有り難うございます」

 と、ベルは敬語にて応対。

 ベルが敬語とはね。俺の側に立つルインをただのアンデッドとして認識していない感じが応対する所作から伝わってくる。


「もしかして――やんごとなき御方だったりします?」


「死者である我に位など皆無である」


「生前は?」


「他者の過去を探ろうとするとは――勇者は存外、嫌らしいな。破廉恥である」

 わざとらしく胸部と股間部を手で押さえながら言うの、やめてもらっていいですかね……。

 なんなんだこのスケルトンは……。


「何はともあれ、入り込んでからの罠に近い攻撃には難なく対応できたね」

 スカウトとして察知が遅れたことに反省しつつもシャルナは安堵する。


「ハイエルフの美人さん」


「なに? 囚われのフェイレン」


「所詮は序の口だぜ……」

 重々しく発するラズヴァートのその言葉を笹の葉のような長い耳で受け止めれば、ピクピクとその耳を動かす。

 

 その所作に、


「ベル」

 感知タイプを見れば、俺達とは違って構えた姿勢。

 俺達が安堵している間もずっとその姿勢を崩していなかったと悟りつつ、俺にコクリコ、各スケルトン達もこれに続いて身構える。


「来るよ。さっきと同じ音」

 シャルナからの警告。


「それも――さっきよりもかまびすしい! すっごく不快だね」


「どこからだ? やっはりあの頭像からか?」

 乳白色の室内に不釣り合いな等間隔に並ぶ鬼のような頭像を見やるも、


「そこからだけじゃない――直上からも!」


「またかよ……」

 要塞内に入っても上からの脅威にさらされるのかよ……。


「来ますよ!」

 普段の勝ち気なものとは違い、緊張感を纏ったコクリコの声音は強張った表情によるもの。


 WAVE2の開始だな……。


 脅威を覚えているコクリコの側では、シャルナとピルグリム達によるプロテクション。

 ハイエルフとアンデッドによる連携は、まるで示し合わせたかのように障壁による結界を構築。

 こちらの軍勢の全てが障壁内に収まる事が可能な規模のものを展開してくれる。

 さながらセーフルームではあるんだが……、


「また食い破ってくるぞ」


「だったら一箇所に穴を開けてそこから入ってこさせればいいだけのこと。ベルの時と同じことを繰り返せばいいだけ」

 言いながらリンが両手を上へと伸ばせば、その動作に呼応するように障壁の一箇所が消滅。

 それを気取ったのか、障壁を貪っていたスカイフィッシュの群れが行為を止め、一斉に消滅部分から流れ込んでくる――ところに合わせて、


「ライトニングサーペント」

 を上へと伸ばした手から放つ。

 コクリコのアークディフュージョンとは威力が別次元である雷の大蛇が直撃。

 上から聞こえてくるカナ切り音のような鳴き声と共に、黒焦げになったスカイフィッシュが力なく落ちてくる。


「消し炭にするつもりだったのに原形が残っているのもいるわね。飛行の弱点ともなる雷に対して耐性を持たせているようね。だからアークディフュージョンは効果が無かったと」


「冷静に分析している場合じゃないでしょ!」

 コクリコ同様に声に緊張感を纏わせるのはシャルナ。


「まったく……」

 見上げつつ天井の光景に呆れるリン。


「大したもんだよ」

 それに俺も続く。

 天井付近に留まるスカイフィッシュの群れ。

 リンの一撃はかなりの数を蹴散らしたけど、それでも先頭部分だけを倒した程度のようだった。

 ―――……いや――それはないな。

 アルトラリッチであるリンの魔法となれば、今ので大半のを仕留めたはず。

 だというのに減ったように見えないのは……、次から次へとこの広間に集結しているからってことのようだ……。


「本当に無尽蔵だな……」


「上位魔法だろうがあいつら全体には届かねえよ。一気に全てを仕留めたいならもっと上の火力じゃないとな。それこそ白髪の美人さんみたいによ」

 自分の命にも関わるからか、攻略法をちゃんと教えてくれるラズヴァート。

 そこから察することが出来るのは、現在、俺達は非常に危険な状況にあるということ。


「ファイヤーボール!」

 今度はとばかりに天井へと向かって放つコクリコお得意の魔法。

 アドンとサムソンと一緒に放つ三つの火球が直撃すれば、


「よし!」

 自身が習得している雷系よりも、得意の火炎系のほうが効果があると知ればコクリコはガッツポーズ。

 火球を見舞われ火に包まれたスカイフィッシュが力なく落下してくる。

 放ったファイヤーボールは通常サイズだったが、余裕で倒せている。

 下位の雷系以外なら十分に対応が可能な程度の相手だというのが分かる。


 だが、しかし。それで奴等の強味を奪えたわけじゃない……。


「これなら問題ないですね。焼き魚にしてあげますよ。まあ、食べられそうにはありませんけども」


「ラズヴァートの話を聞いてたか。大火力じゃないと決定打にはならないぞ」

 如何に効果があろうとも、物量に対しては微々たるものだ。


「ならば私がやろう」

 と、ベルが再びレイピアを振る。

 浄化の炎が天井へと向かって伸びるさまは炎の柱。

 直撃すれば炎の部分の連中は完全に消滅する……が……。


「やはり十全の時としたら力不足は否めないな」

 不甲斐ないとベルは言うものの、その火力で力不足とか……。と、リンは顔を引きつらせていた。

 赤髪の時は一振りで津波を思わせる炎を繰り出せたからな。

 ベルが言うように、十全なら天井をワラワラと飛んでいる群れを一瞬で消滅させている。

 現状でも十分な火力ではあるんだけど……も……。


「いやいやいや……」

 ベルの見舞った箇所にも再びワラワラとスカイフィッシュが集まり何事もなかったかのように天井を埋め尽くしていく……。


「キッショ!」


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