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PHASE-1466【また違った安心感】

 で、カウンターマジックである大魔法グラトニーを発動した使用者様は――、


「悠々と降下してのご登場だな」

 呆気にとられて動かなくなっている翼幻王ジズの兵達を尻目に、降下してくる二人。


「よくも蹴落としてくれたな――リン」


「あら、無事な時点で問題ないでしょう。大体が勇者なんだから、あのくらいの高さから落ちても問題ないでしょう。補助もあったんだから」

 口角を上げての嘲笑。

 蹴落としたことをまったくもって反省していないし、するつもりもないようだな……。

 むしろもう一人と一緒に行動していたことで、痛みもしない胃を痛めて苦労してたんだろう。


「それに今の攻撃を対処してあげたわけだから、お咎めなしでいいでしょ」


「まあな」

 直撃していたら本当に危なかったからな。


「別段、トール達ならあの程度は防げていただろう」

 と、もう一人――ベルは、俺達を信頼した内容を口にする。

 イグニースにシャルナのプロテクションがあれば問題ないと思っていたようだけど、間違いなく対処は出来なかっただろうね。


「流石に無理だったかな……」

 と、俺の考えを代弁するシャルナは自信のない小声。

 正直、かなり危険だったと吐露。

 シャルナがそう思うくらいだったんだから、本当に危険な魔法の数々だったようだな。


「そうか。リンよくやった」


「そうでしょ……」

 値千金の活躍だったとベルが称賛すれば、嘲笑は消え去り、引きつった笑顔を顔に貼り付けてベルに返していた。

 ツッカーヴァッテに二人して乗っている間は、ずっとこんな感じだったんだろうな。

 

 ――お?


「そう言えばツッカーヴァッテは?」


「いつまでも戦闘空域に留めるのは良くないからな。安全な外殻に待機させた」


「そうか」

 本来、外殻は危険地帯だけど、ツッカーヴァッテにとっては例外ってところか。

 ちょっと期待していた大怪獣天空大決戦は見られなくなったけど。


「さて――」

 一言発し、間を置くベルは空を見上げる。


「いつまで惚けいるのか。奥の手と思われる攻撃も無に帰した。無益な戦いは終わりにして、そちらの主との謁見を求める」

 涼やかな声がよく響く。

 決して音量のある声じゃないけども、ベルの声はよく届く。

 

 この声にはたとなる上空の面々は、


「我々に話し合いの余地などない! この地へと踏み入った事だけを後悔して死んでゆけ!」


「まったく。上空でもそうだったが全くもって話が通用しない。連携のとれた戦い方は褒められるのだがな。連携を取れるだけの知恵が回るのだから、話し合いという方向に知恵を巡らせる事が出来ないでどうする」


「ベルの言は正しい。それは戦っていて俺も感じたよ。コイツ等には臨機応変さがないんだよ。外殻に守られた内部でぬくぬくと訓練ばっかりの日々だったんだろう。そのせいで実戦における対応力と応用力が凡庸になってるんだと思う」


「トールの言も正しい」


「だろ。例えるならギンガナム艦隊や、地球外縁軌道統制統合艦隊の連中みたいなもんだ」


「トールの言は時折、理解に苦しむ」


「……だよね……」

 ネタを知らない人にこういった知識をひけらかすと、とてもお寒いことになるよね……。

 分かっているけどついつい口から出ちゃう駄目な俺氏……。


「掻い摘まんで言えば、実戦経験のない頭でっかちの強兵であり、驕兵という事ですね。しかも残念なことに後者に偏っているといったところでしょう」


「はたして正にだな」

 正鵠を射るコクリコ。


 とはいえ、


「油断は当然できないけどね」

 言えばコクリコは鷹揚に頷いて返してくる。

 両手はフライパンとワンドで塞がっているけども、腰の雑嚢に目を落とす辺り、モスマンとの戦闘を思い出しているようだ。

 体に不調があれば、即座にポーションやアンチドーテを取り出そうという気概が伝わってくる。

 

 俺も最初の頃は回復に対して直ぐさま行動するってのが出来なかったけども、経験することで対処も覚えていくもんだよね。

 歴史で学ぶだけじゃなく、経験から学ぶことも大事なようですよ。鉄血宰相。


「たかが二人増えた程度で随分と余裕だな!」

 自分たちを疎かにして語り合っているからか、上空から怒号を降り注がせてくる。

 いまだ数の有利性に信頼を置いているのか、撤退するという素振りは見せない。

 

 スクロールからの魔法攻撃には肝を冷やしたけども、それ以前は俺、コクリコ、シャルナ、ミルモンで対処可能だった。

 そこに最強さんと古の英雄が参加するとなれば、こちらの勝利は確定したのと同義なんだよね。


「切り札も意味を成さなかったんだ。こっちの最強さんが提案したように、話し合いにシフトチェンジすることをお勧めするよ」


「だから! 同胞の命を奪った者達の言葉に耳など貸すものか!」

 仲間思いなのはいいことだけど、その場その場で最適解を導き出そうとする思考が欠如しているのは残念でしかないな。


「倒すしかないか」


「そのようだ」

 一歩前に出れば、ベルも参戦とばかりに俺の横に並んでくれる。

 う~ん、この安心感。

 側にいてくれれば自分自身も危なげなく戦えるという気分にさせてくれるコクリコとシャルナの安心感とはまた違う。

 全てを任せれば、こちらが何もしなくても、その悉くを造作もなく解決してくれるという絶対的な安心感。


 まあ――、


「動くぞ」


「アイサー」

 俺が何もしないで全てを他者に任せるという事を絶対に許さないのが、この中佐殿だけどね。


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