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PHASE-1273【財務省】

「もちろんオイラはついていくから!」


「そりゃそうだ」

 そういった約束で協力してもらっているんだからな。


「それは……危険だと思うのだが」

 不安な声の主は……ベル。

 愛らしい者が危険なところに行くのは反対といったところか。

 王都でゴロ太たちと一緒にいてくれればいいのに。といった願望があけすけですよベルさん……。

 

 対してミルモンは、旅が出来る事にテンションが高揚しており、「冒険がオイラを待っている!」と、ウキウキしているのでベルの心配を受け流していくスタイル。


「じゃあ――俺、コクリコ、シャルナ、ミルモンのメンバーってことになるのかな」

 発せば、随伴メンバーから首肯が返ってくる。


「危ないと思ったら直ぐに喚べ」


「おう。可能な限りは俺達だけで頑張るさ。ベルはゴロ太を頼む」


「任せてもらおう」


「では主、準備でき次第――」

 手と手を重ねた文官スタイルの一礼の先生に対して俺は深々と頭を下げて――、


「出発したいと思います」

 と返し、今回のメンバーと一緒に執務室を後にする。


 ――。


「とりあえず一階でアイテムでも見ていくか」

 言って、四人で一階へと移動。


 ――うむ。ポーションが今までの物から一新されているんだな。

 今までのポーションも少しは残っているかと思ったけど、陳列されているのは全てが小型化された白磁の小瓶に変更されていた。

 一階はお食事処に隣接する受付――に併設された店にアイテムが陳列されている。

 今までの規模は、店員の手が届く場所に商品が置かれた売店だったけども、今は小店くらいの規模となっている。

 店員の姿は奥に行かないと分からないくらいの規模だ。

 リフォームというかもやは増築レベルだな。

 無理な増築で倒壊しないことを祈ろう。


「ポーションなどの回復薬も大事ですが、食事はもっと大事。空腹では戦えませんからね」


「だからって干し肉ばっかり買うんじゃないよ……」


「ちゃんとオートミールやドライフルーツも買っていますよ。栄養のバランスは考えています」


「コクリコさんゴチです」

 冗談で言ってみれば――、


「まあ、たまには私が出してあげましょう」


「「ええ!?」」


「なんです二人そろって。失礼ですよ」


「だって――」


「――ね~」

 シャルナと顔を見合わせて言葉を交わす。

 即答で出すと言ったから驚くのは仕方がないだろう。

 何たってあのコクリコだからな。

 普段は自分のモノばかりを買うタイプじゃないか。

 そんな事を知らない新参のミルモンは、俺達の驚きのリアクションを見つつ、俺の肩に乗ったまま首を傾げていた。

 

 いやはや――、


「コクリコさん太っ腹っすね」


「まあこれも黄色級ブィとしての務めですよ」

 昇進したことで芽生えた行動のようだ。

 今後は新人さん達にも同様の行動をし、上位、先達として手本となる姿を見せていくんだろうな。


 今回、奢る相手は認識票を授与する側である俺と、最高位である紫色級コルクラのシャルナなんだけども、本人は奢ってやるという自分の姿に酔っているようなので、素直に甘えさせていただきましょう。


「おう。たくさん買っていってくれい」


「……今日は店員なんだな……」


「おうよ!」

 ギムロンって本当に働き者だな。

 王都に戻ってからというもの、王都内を東奔西走して仕事をこなしている。

 もしかしてコクリコ同様、昇級したことで範とならんとしているのだろうか?

 

 その証拠とばかりに――、


「王都に戻ってからは、飯時以外だと酒気を帯びている機会が少なくなったな」


「今は仕事中だからの。当然じゃろ」

 どの口が当然と言っているのだろうか……。

 今までは仕事中でも酒臭かったよね。

 やはりコクリコと一緒で責任感が強くなっているな。


 ――鼻歌交じりにコクリコが商品を手にすれば、カウンターに持っていくこともなく雑嚢へと入れていく。

 本来なら怒られる行動だが、そこはギムロンとの関係性もあるからだろう。店員として励む側は怒号を飛ばすことはなく、コクリコが雑嚢に入れる度にそろばんをリズミカルに弾いていく。

 太い指だがそこは手先が器用なドワーフとばかりに、心地よいパチパチといった音を奏でる。


「結構な量を買うの。出立すんのかい?」


「そうですよ」


「ポーションがそんなにいんのかい?」

 前公爵から貰ったハイポーションがあるからいらないだろうとギムロンから指摘を受けるけども、小型化された物は持っていないからいくつか持っておきたいとコクリコは返していた。

 新しい物には手を出したいのは分かるってもんだ。


「シャルナからグレーターをもらったけど、ああいったのはここぞという時に使用したいから俺も買っておくか」


「あって困るものじゃないしね」

 回復魔法は未習得な俺だけども、回復手段はポーション以外にもある。

 だが応急パックや回復箱を召喚するためには、一々プレイギアをワンクッション挟むってのが弱点だからな。

 戦闘中はそのワンクッションが大きな隙に繋がる。

 デミタス戦では回復箱がゲーム同様に脆いってのも分かったし。

 デミタスの範囲攻撃で簡単に消滅したからな。

 やはり即座に使用可能なポーションの存在は大きい。


 でもってここでも驚きなのが、俺はポーションは自分で購入するつもりだったが、コクリコが代金を支払ってくれるということだった。

 本日のコクリコは、我らが財務省である。

 ――……我らが財務省とかって例え、すげえおっさんだったな……。

 大蔵省と例えないだけまだ若いのかな……。


「出立するのは分かったけども、先日の話からして目的地も一緒って事だよな……」

 ジト目で俺を見てくるギムロン。


「そう……だけど」

 返せば、


「あんだけ女は駄目だって言ったのにな……。助言は聞き入れてほしいの」


「おいおい俺は馬鹿だぞ。馬鹿だと自覚しているから人の助言は聞き入れるだけの器量は持ってる。そんな俺がこいつらを連れて出立する。聡いギムロンなら分かってくれるだろう?」


「止めようとしても――無理だわな~。ワシでも説得できんわ……」


「だろ……」


「まあ、この二人なら襲われても問題なく対応は可能な連中だしな」


「だとしても有事の時には俺が責任を持って矢面に立つさ」


「おうおう、いい男の立ち回りだの」

 ニヤニヤとバカにした笑みを浮かべながらも、そろばんを弾く指を止めないのは流石である。

 称賛として、そのにやけた面にグーパンを見舞ってやりたくなるよ。

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