PHASE-123【鉄火前】
――――ここは汎用性のアサルトライフルと言いたいが、俺のスキルではまだまだ敷居が高い。
長物よりも、コンパクトなハンドガンだな。
ならば安心と信頼のリボルバーがいいだろう。
セミオートマチックもいいが、一発一発を大事に撃つ練習にもなる、リボルバーを選択したい。
となれば――――、
「ウニカを所望します。.357マグナム弾で」
「お前……」
――……口にしなくて結構です。自分でも分かってますから。
いちいちマニアックな選択だってのは……。
「インチは?」
「5インチで。あと、チーフスペシャルも」
「映画の見過ぎだ」
「すいません」
「ほら、アンクルステルスホルスター付きだ」
わかってる~。流石はゲッコーさんだ。
腰にはウニカ、マテバオートリボルバー。
足首には、スミス&ウェッソM36 チーフスペシャル。
「足首のは調子に乗った使い方をするなよ。格好つけて、暗器みたいな使い方だけは御法度だ。ちゃんとホルスターから抜いて撃て」
「はい!」
いよいよ俺も現代兵器を手にする時が来た。
ズシリと重い。
使用経験はゲームだけだからな。
サバゲーにも興味はあるが、学生だと金の問題と、年齢の問題があるからな。
――実銃なのだ。ゲーム感覚で撃つのは馬鹿のやること。俺は馬鹿じゃないので、細心の注意と驕りを持つことなく使用させてもらう。
「銃か。ふむ、私も久しぶりに使ってみるか。こう――かな?」
ゲッコーさんみたいに虚空に手をかざせば、一メートルほどの長物の銃が顕現する。
「本当に出るとは、自分でやっていて驚きだな」
自らが顕現させた銃を両手で持って眺めるベル。
ゲーム自体やってないが、設定集のイラストの一つに、ベルが銃を持っているのがあったが、それだな。
現実世界の銃とは違う。
早速、ゲッコーさんが興味津々だ。
木製のストックと、漆黒の金属部分には、蔓植物をイメージしたエングレーブが、金装飾で施されている。
目立つし、とても高価な銃のようだ。
「デザインの元になっているのは、ドイツ帝国のMG15機関銃のようだが、マガジンは小型化されているな」
LMG系だろう。見た感じは重そうだが、ベルは軽々と持っている。
「銃の名はグリューセン。私専用に陛下が与えてくれた銃です。なので型式番号などは存在しません」
「なるほど、ワンオフか。グリューセン。ドイツ語で挨拶か――。挨拶される相手は気の毒だな」
あれだ。【こんにちは、死ね】を地で行く銃だ。
さて、各々の装備は整った。
後は、気合い入れて――――、
「たのもぉぉぉぉぉ!」
俺たちなんかより気合いの入った、まな板ガスマスクが、俺が言いたかった事を言いやがった……。
で、手にしたメモ帳に目を向けて、シューコーと深呼吸しながら、正面に顔を向けると、
「アーレア・ヤクタ・エストォォォォォォォォォ!!」
俺の真似ですよ……。すぐ模倣する。これだから中二病者は!
「おい、行ったぞ……」
呆れるゲッコーさん。
あのガスマスク! なんで敵の拠点に単身で走り出すんだよ!
ベルなら心配はないが、ファイヤーボールがメインの自称ロードウィザード様となれば、こちらは心配で心の臓が鼓動をヘビメタのドラムくらいに叩くからね。
「追う」
短くベルが語ると、ガスマスクにすぐに追いつく。ゲッコーさんもそれに続き、俺はミズーリから降りて、
「戻れ」
プレイギアへとミズーリを収納。
全くもって便利である――――。




