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第7話

 ブヘナ公国の南の開けた荒野でガールド将軍は、

もはや崖っぷちの砦に籠城し、手勢300人もほとんど負傷していた。

敵はフォグ副王の甥ミット候。

一人が抜け出して、なんとか領地へ逃げ帰り、

館の10人ほどの召使が馬に乗り心当たりのある

傭兵隊や親しかった領主たちに援軍を要請していた。

この戦いの原因はミット候のブヘナ公爵への讒言である。

ブヘナ公爵の疑心暗鬼がフォグ副王の甥ミット候に

ガルード将軍の討伐を命じることとなった。

友人のバルノン男爵の援軍が500人駆け付けたが、

形勢を逆転はできていない。

ミット候は3000人の軍を率い、初期に陣取ったレッサム街道側の陣地より、

より森側に進路を取り、ガルード将軍の予想を裏切り、

前と後ろの挟み撃ちにした。

そこで一気にガルード将軍の手勢が敗走する状況になり、

この崖っぷちの古いドミュ砦に籠城することになった。


なんとか、ボロボ傭兵部隊は、まだガルード将軍の生きているうちに

戦場に着いたが、ボロボにとってミット候は前回、

ひどく手痛い敗北をなめさせられていた。

ミッド候の抱える獣人部隊と魔獣軍団は、

人間の兵士を恐怖させ敗走させるに十分な畏怖をおこさせる。

ガルード将軍にとっての計算外は頼みにしていた二人の魔法使いが、

仲たがいをし、二人とも、途中で持ち場を放棄し、

敵前逃亡してしまったからである。

しかも頼みにしていたベテランの

神官ハグルが戦死したことも大きかった。


結局、160人がようやく、現地に到着し、陣容を整え、

ボロボの命令により進軍を開始したとき、

ガルード将軍はもう、下手すれば自害しかないなと

思い始めていた矢先であった。

状況の把握が不十分なまま、進軍が開始された。

しかし獣人はリーダーがおらず、ボロボのお得意の作戦である、

司令官を倒して敵の混乱に乗じ、一気に敵陣に切り込み相手の城を

奪ういつもの作戦がつかえない。

開幕、ハルナが全員に「神の祝福」を与え、全員が2%だけ受けるダメージが減った。

それにより、ボロボの傭兵部隊は、ボロボの個人的友人である敗戦が濃厚で

報酬金額も不確かな、ガルード将軍の援軍として参戦することになった。


エレオノーラは獣人や魔獣と戦うのは初めてだった。

ただ、ギニーンの後ろにつき、ハルナを守りながらの戦いになった。

初陣のように、一人で切り込むことはできなかった。

ギニーンにハルナを守りながらという条件を付けられていたからである。

ギニーンは馬に乗り、その後ろにハルナも乗っている。

ハルナはひっきりなしにヒーリングを唱え続けた。

あと、対獣人と魔獣に有効な魔物が嫌悪する

「聖なる守護」を仲間にかけ続けていた。

タフなことにかけては底なしのエレオノーラは、大剣を持ち

振り回し、獣人を草を刈るように片端から切り殺しまくった。

返り血をあび、ほとんど鬼女だった。

ボロボに従う100人の兵士は2人づつ、全体で楔形の陣形を取り、

ボロボを守りながら進軍を続けていた。

「陣形を崩さないように」、ボロボの号令が飛ぶ。

一方、ギニーンの切り込み隊の60人は、

エレオノーラが切り込んでほとんど底なしのタフネスさで、

大剣を躊躇なく振り回し、単独の獣人の大量殺戮により、

その目的であるガルード将軍との接触に成功していた。

ハルナはギニーンの後ろに付き、仲間にヒーリングをかけつづける。

この依頼は、ガルード将軍とその側近たちの救出と

ガルード将軍の領地への帰還を助けることである。

ハルナがガルード将軍とその手勢にも

「神の祝福」「聖なる守護」をかけ、ヒーリングをかけまくる。

ハルナの体力の魔法力は大丈夫なのだろうか?

ギニーンは、ボロボはとんでもない仕事を引き受けたものだ、

と戦いながら思った。


ガルード将軍の賭けたとうりになり、とうとう、戦闘の終わりがやってきた。

ブヘナ公爵がミッド候の讒言に気づき、ガルーダ将軍への討伐命令を取り消した。

ミッド候の罪が明らかになったため、

ブヘナ公爵の戦闘中止命令を告げる『平和のラッパ』が吹き鳴らされたからである。

それにより、だれも勝利者はないままに、戦闘は終わった。

ーー『平和のラッパ』とはその音色を聞いたすべての人の心を穏やかにさせる魔法のラッパである。むかし伝説の錬金術師ブラスター師という人物が、副王に贈った物だそうだーー


ガルード将軍への援軍という仕事を果たしたことで、

ボロボ隊長にはガルード将軍より金貨350枚が支払われた。

しかしボロボ傭兵部隊では29人の戦死者がでた。

そして13人の手や足や眼を失い戦えなくなった者が出た。

そして他にも逃亡して帰ってこなかった者たちがいた。

ボロボ傭兵部隊はこの戦いが終わった時、104人になっていた。

ギニーン、ハルナ、エレオノーラとボロボは無事だったが……


ギニーン、ハルナ、エレオノーラ、ボロボ、

その他104人の戦士たちはアッパの港町に荷馬車と馬でようやく帰り着いた。

ボルボはいろんな支払いをすべて済ませたうえで、残った仲間たちに賞与を配った。

ハルナは初めての給料銀貨100枚をもらい、すごく感激していた。

父親のギニーンが個人的にハルナに金貨2枚を賞与に与えた。

ハルナがそのお金をすべて自分の暮らしていた

聖チア修道院に送ることを知っていたからである。

エレオノーラは初めてこのとき、前の大将を討ち取った賞与

金貨6枚と今回の賞与基本給銀貨100枚+金貨3枚を貰えた。


ハルナの母親はボロボの姉妹でギニーンとボロボは義理の兄弟らしい。

ボルボ傭兵隊はまた、アッパの港町で傭兵の補充募集をすることになった。

その結果、97名の新しい戦士が加わったが、

その11名は初めて剣を持つ町人や商人や農民の息子たちで、

残りが渡りの傭兵たちだった。

ハルナの期待した二人目の女戦士や

ギニーンやボロボの期待したエレオノーラのような

ハイスペックな戦士は皆無だった。











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