第6話
昼の少し過ぎ、エレオノーラとハルナとギニーンの3人が
アッパの港町の入口に差し掛かった時、
港町の娼婦宿のあたりから赤い煙が立ち上った。
ギニーンが「ちぇっ!」と舌打ちをした。
エレオノーラも「やれやれ」と言った。
それはボロボ隊長からの傭兵隊の緊急招集の合図の狼煙だった。
次々と西の門に傭兵隊のメンバーが駆け付けた。
食事中だった者は、皿を抱えたまま走ってきた。
好きな女とデート中だったという男はほっぺたに
女の真っ赤な手形があって半泣きでやってきた。
カジノの途中で抜けてきた男はまだ手にカードを持ったままだった。
みんな少なからず怒っている。
そこへすでに完全武装したボロボ隊長が現れた。
「緊急で友人のブヘナ公国のガルード将軍より
早馬での援軍の依頼があった。15分で支度しろ!出動する!」
無茶苦茶な話である。
160人しか揃わなかったが、
これでも上等な方だとギニーンが言った。
なんでも行動の速いエレオノーラは3分で準備を終え、
リナとその家族に別れの挨拶をすると、
リナから「これを使って」とすばやく数種類の薬の入った包みを
ギニーンの分と二包み貰った。
エレオノーラは西の門にすばやく戻った。
ギニーンはハルナの事をリナに怒られることを恐れて、
そのままハルナと西の門に待機していた。
荷物は諦めるようだ。
結局160人がまたそろうのに30分かかり、
歩きの戦士はボロボの用意した馬の数を増やした荷馬車に乗せられて、
ブヘナ公国のいま戦闘中の戦場へ速やかに向かった。
ギニーンは自分の馬にハルナを乗せ、いち早く、
ブヘナ公国の南側のガルード将軍がいま交戦中の戦場に向かっていた。
その後ろに、分散した戦士たちを乗せた11台の馬の数を増やした
荷馬車が馬に鞭をあて続く。
みんなの中ほどを遅れる荷馬車に気を使いながら、
馬で駆け抜けながらボロボ隊長が叫んだ。
「いそげ!事態は緊迫しているんだ」
エレオノーラは思った
ーー知るか!----