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第57部    挿絵あり

挿絵(By みてみん)

アトリエにて

エレオノーラ「ばあちゃん、また海中風船ガム作ってよ」

マダム・ブラスター「じゃあ、海中の素材を集めに行ってもらおうかね」

エレオノーラ「やったー♪」

「ドワーフの説得は私に任せとくれ。 人魚のトリトン族の方はお前たちに丸投げする。もうこれで人魚族の言葉はぺらぺらのはずじゃ。よろしく頼む」


「ああ、あとこれを使っておくれ」と丸ガムを出した。


「ガムを膨らませて見な。こういう感じじゃ」とマダム・ブラスターは自分が1個口にほり込むとくちゃくちゃと噛んで、プーッと膨らませた。ガムはたちまち膨らんで顔を覆い丸い球体となって頭を覆い、やがて風船ガムは体全体を覆った。

 そしてそのまま固まった。指で引っ張ってもついても割れない。まるで柔軟だが硬い皮の様になった。

 マダム・ブラスターは体全体を風船ガムの被膜で覆われてしまった。


「これで、水の中でもこの被膜で酸素交換ができて、呼吸ができる。このまま海の中へ入れる。効果は24時間じゃ。一日一回新しいガムに張り替える必要があるが」


「ワンツにガムは無理じゃな」


マダム・ブラスターは自分の口からガムを出すと二つに分けて双頭犬のワンとツーの口に入れた。


すると風船ガムは都合よく二つの犬の頭と体を包んで固まった。


「便利なもんだね」とエレオノーラ


「ガムは苺味じゃ。じゃあ、残りのガムはこの樹脂の袋から出すんじゃないよ」

と全員に樹脂の袋に入った3個づつのガムを配ってくれた。


 魔動帆船の甲板の上で、全員の女の子クルーと双頭犬のワンツに

「じゃあ、人魚族はよろしくたのむよ」というと笑顔で

強欲なドワーフの親方たちのいる鉱山会社の社屋に向かった。


 アイオラが「じゃあ、モサちゃん、みんなを乗せて人魚の居る場所までよろしく」と船の横でニターッと待機しているモサザウルスに言った。


 すでに風船ガムに覆われているワンツは早々と、ぴょんとモサザウルスのモサちゃんの背中に飛び乗った。

 10人は口に風船ガムを放り込む。


「ホントだ、苺味だね」と昨日、どさくさで仲間に加わったばかりのシスター・ヘラも嬉しそう。


 全員が風船ガムを噛んで風船を膨らませると、ガム風船は、見る見る噛んでいる人の全身をを包み込んでしまった。

 

そのままモサザウルスの背中に、船の甲板から飛び乗る。


 全員が乗ると、「モサちゃん、たのむよ」とアイオラが言うと、モサザウルスはサブン!と海の中に潜り、どんどん深く潜っていく。


 ドワーフの流す工場廃液で、多くの人魚が病気になって弱っているトリトンの都に着いた。


 

海底にある人魚の都は、サンゴと貝殻でできた建物が立ち並ぶ美しい街だった。

 モサザウルスに乗って、10人と一匹(双頭なので二匹?)はトリトンの都の入り口に降り立った。

 そこは深い海の底だが、とても明るく、小さな星砂が海底に敷き詰められている砂地だった。

 町の入り口は立派な赤サンゴで大きな門がある。

 その門に近づくと、門の前に、人魚のがっしりした男が立っていた。


「おまえらはドワーフじゃあないな?」と人魚語で話しかけてきた。


 エレオノーラたちも習ったばかりの人魚語で答えた。


「私達は、ドワーフと人魚の戦争を止めにきたのよ」とエレオノーラが言う。


「おれはドワーフの返事をここでずっと待ってたんだ」


「俺たちとドワーフとは魔法の鏡で通話できている。だのに返答がない。ドワーフはこの深さまで潜水艇で潜って来て時々ここらの宝石サンゴを盗んでいくのさ。きのうもサンゴ盗みにだけ来やがって」と人魚の男は忌々しそうに吐き捨てた。


「最後までまともな返事を待ってたんだが、仕方がない。こっちが掘った穴の栓を抜けば、ドワーフの坑道には海水が流れ込んで、作業中の坑夫ドワーフたちも溺れ死ぬだろう。やりたくはないが、毒の廃液を流すのを止める気がないなら仕方ない」と男は吐き捨てるように言う。


「あなたはだれ?」


「俺は人魚の女王アンピトリテの家臣のメドウ将軍さ」

 メドウ将軍は不愉快そうに言った。


「お前たち、ドワーフの肩を持つつもりなら、許さんぞ。ここで人魚族の怒りを知らしめてやる」


 メドウ将軍は、キッ!とエレオノーラたちを睨みつけると、顔が怖い険しい顔になり、なんと左右の手が六本になり、身体がいきなり大きくなり10メートルの大きさになった。顔は憤怒の形相になった。

 トリトンの都の中から千人の武装した人魚の兵士たちが三又の鉾をもって現れた。

 その手がそれぞれに武器を持ち、「行くぞ!」と叫ぶと飛びかかって来た。千人の兵隊たちが、将軍と共にエレオノーラたちに飛びかかって来た。


 デリラはスリープの呪文を唱えた。

 アイオラは強力な眠り薬を水の流れが風下の海水の中にばら撒いた。

 小さな氷姫のアチキは「氷のドーム」と唱えた

 何人かの人魚の兵士の周りに氷のドームが出来た、が人魚兵士はそれをすぐ破壊してしまった、

 アチキに飛びかかってきたが、スリープの魔法が効き眠ってしまった。

 アイオラの撒いた強力な眠り薬に、千人の兵士たちはふらふらになりバタバタと眠ってしまった。

 メドウ将軍だけは、眠らない。

 エレオノーラが受けて立つ。

 メーアとジレッタも受けて立つ。

 デリラも受けて立つ。

 リオナもへっぴり腰で受けて立つ。


 フレデリカは、戦いを煽る踊りを踊ると、モサザウルスの後ろに隠れてしまった。

 モサザウルスが尻尾でメドウ将軍に攻撃を銜えようとしたがアイオラが止めた。

「モサちゃんは遠くで観ときな。殺されちゃうからやめてね」



 メドウ将軍が言った。

「その三つ編みの大剣の女の子以外は瞬殺しちまいそうだから引っ込んどきな」

「失礼しちゃうわ」とデリラとメーアとジレッタ

「ふっ、仕方ねえさ、殺しちまっても知らねえっ」

「勝てば女王に会わせてくれる?」とエレオノーラ

「俺に勝てればな?」

「戦闘不能にすればいいってことね。おーけー」


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