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第43話

 これは封印されたグリシュの宝石の中での会話


「なんだね、ここは。足元はふかふかの絨毯のようだが」周りはガラス張りの様にアステルスカスの町がよく見える。

「おばあさま、やっほー。みんなのぶんのお紅茶入れて待ってたわー。おいしいケーキもあるわよ」

「なんだね、レミルナ。 ここはいったい……」

「お兄様が魔力で創った空間よ。 ここは欲しい料理でも家具でも、魔法で何でも出るから、欲しいもの出してくつろげばいいわよ。アイロスも」

「えっ! ここは欲しいもの願えば何でも出るの?」

「うん、そうよ」

即座にアイロスが言った

「じゃあ、パピヨンゴブリンが欲しいっ!」

レミルナ「え?!」


ーーいきなりパピヨンゴブリンが現れた! いたずらそうな眼をして、小さな翼でフヨフヨ浮かんでいるーー

「わぁ、うれしい♪ いいね! ぼく欲しかったんだ」


 ジーナはふかふかの絨毯の上に横たわっていて仮死状態だ。

「ジーナをどうやって目覚めさせようか?」とアイロスが言う。

「まあ、お兄様がなんとかするわ」とレミルナ

するといきなりジーナが目覚めた。

「ああ、アイロス! 来てくれたのね。うれしいっ」

とジーナがアイロスに抱き着いた。


ルツ皇太后はグリシュに否定的「そもそも、グリシュみたいな王太子を捨ててヴィルガルドのどこをほっつき歩いてるのか分からない奴」


「あら、お兄様なら、よく私の部屋に帰って来てるわよ。まあ、お城の玄関からじゃなくてベランダから帰ってくるから、パパもママも知らなかったけどね」

「ふん、深山渓谷をふらついてるやつがかい?」とルツ皇太后

「あら、お兄様は高ビー男でどこかの王室の美しい王女の寝室に神出鬼没なだけよ」

「ふん、自分の妹が生涯、処女でなきゃ許さないっていう男がかい? 信じられないね」

「あらーそれはおばあさまの妄想よ。だって私、お兄様の紹介でこれまで何人もいけてる男性とお付き合いしたわよ。私の方で別れたけど。私も恋多き女よー♪ おばあさまったら。あははは」

「なんだってー(ぎゃふん)」とルツ皇太后






 アステルスカス王国の星の大聖堂前

占星術師の服装の町の人々でごったがえしている。

次の日に控えた『聖スピカの星祭り』の準備で町は忙しい。

 グリシュがエレオノーラに言った

「お前の母親は俺が保護して今一緒に暮らしてる。お前は俺の子だ」

それだけ早口で手短に事務的に無感情に言うと、エレオノーラの答えも待たず、さっさと

右手をあげて、氷の結晶を出しそれに乗ると、どこかへとすごい速さで飛んでいってしまった。



「きょう、私の家に泊まる者は、この魔法陣の中にお入りよ」

とマダム・ブラスター

マダム・ブラスターは杖を出すと、石畳の床に杖の端で魔法陣を描いた。

ギニーンとハルナがその魔法陣の中に真っ先に立った。

クリスタル夫婦が乗った。

グリシュの発言に戸惑いながらエレオノーラがギニーンの大剣を二本左右に引き摺って魔法陣に乗った。

エレオノーラは呪いの妖剣ダイモスはクリスタルに返して、元通りリンダの大剣を装備している。

エレオノーラの肩にはあのグリシュの使い魔の小さな氷姫がそのままチョコンと乗ったままだ。

「あちき、ここが気に入ったのよ」とグリシュの元に帰ろうとしない。


 よく効く血止め薬と痛み止めをマダム・ブラスターからハルナがもらった。

ギニーンは戦闘で失われた両腕の傷口の手当てを受けて、ハルナに清潔な包帯で上半身ぐるぐる巻きにされていた。ハルナは重症を負った父ギニーンのことをとても気遣っている。


リユはアイロスとパピヨンゴブリンとヘラクレスに手を振って魔法陣に足を踏み入れた。


「じゃあ、出発するよ」とマダム・ブラスターは、杖でトンと地面をたたいた。


「ブーン」と蜂の羽音のような音がして

魔法陣から風が巻き起こり

周りの景色がアステルスカスの石畳から、古びた家の居間に変わった


ここはマダム・ブラスターの古い屋敷の居間のようだ。

「あー久しぶりに家に帰って来たー」とクリスタルが伸びをして素っ頓狂な声で言うと、ドサン!と横にあった肘掛け椅子に腰をおろした。

家政婦のミルルさんがニコニコして出迎えた。

「みなさま、おかえりなさいまし」

「私も、きょうはがんばってみなさんの夕食作りますねー」とアナスタシアもニコニコしながら言った。

「やれやれ、仕事が溜まってるねー」とマダム・ブラスターが呟く。


 マダム・ブラスターは、隣の部屋にギニーンとハルナを導くと、ギニーンを寝台に横たわらせた。

そしてゴーレムの錬金術の準備を手早く進め、1時間足らずでギニーンの両腕をゴーレムの秘術で再建した。

「これで、問題はないだろう。本来の腕とそん色はないはずだよ」

と笑顔でギニーンに言う。

ギニーン「クリスタルのかーちゃん、ありあとーす」

ハルナ「マダム・ブラスターさん、ありがとうございます」

笑顔のギニーンはハルナの言葉で顔が引きつった。

ハルナが聞いた「あの、父の治療費はいかほどでしょうか?

人体のゴーレム錬成は金や宝石が必要と聞いたことがありますが」


「いやいいよ。ルツ皇太后のところで、リッチに生命エメルギーを奪われて殺された国民全員をゴーレム復活させた代金として、金貨1万枚をいただいたから。問題ないよ」

と笑顔でマダム・ブラスターが答えた。

ギニーンが真面目すぎる娘ハルナの口を押えて「じゃあ、お言葉に甘えます!」と大声で言った。


 エレオノーラの肩の上には小さな氷姫がチョコンと座ってあくびをしている。

「夕食はあちきの分もお願いします。あ、冷めた料理の方がいいですー」

とちゃっかり

それを聞いてリユが

「ふん、ずうずうしいわねっ」



マダム・ブラスターの家で

エレオノーラは『ドウルガの魔剣』を贈られた。

これは神話クラスの呪いの妖剣ダイモスと対になる剣だそうだ。



マダム・ブラスターはーー13年前にアナスタシアの胎内にいたクリスタルとの胎児が母の精神を支配していた鬼女ドウルガを(ジョー・デウスの死が破壊の女神ドウルガに戻したが)その神と合体して母親を元の姿に戻した。が、それにより自分は死んで女神ドウルガの力で魂となって飛び去って、そしてどこかに転生したてしまった。その子供をクリスタルとアナスタシアの二人は13年間の今まで捜していたーーが、もしその子が見つかったら、きっと、破壊女神ドウルガの魂のせいで戦闘的な娘だろうとーーーーーー考えて、すでに深紅の輝く魔剣『ドウルガの魔剣』を作っていたのだった。



マダム・ブラスターは無料で、ギニーンの二本の大剣を強化して強い魔法剣にしてくれた。


「これで俺も強化完了だな。あっはっは」とギニーン


一年ぶりにこのお話を再開したら、いきなり怒涛の如く、評価点とブックマークが入り、作者本人、ビックリドッキリしております。……応援とご愛読、感謝です。

「クリスタル・ブラスター英雄奇談」はこの話の13年前の話。彼女の(前世の)父親クリスタルが主人公のお話です。エレオノーラは母アナスタシアの胎内で産まれることなく母を救い死んでドウルガの力で即転生してしまったので、前世と現世の父母が二組いるややこしい立場です……というお話です。スイマセン


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