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第38話

ギニーンが叫んだ「クリスタルを中心に戦陣を組め」


クリスタルの周りにエレオノーラたちが走り寄ると、アイロス小公子、執事、アナスタシア、ルツ皇太后、と二人の女魔法使いを中心に守り周りに円陣を作った。ギニーン、ハルナ、ビオル、ゼネ、ハビン、ヘラクレスが固める。レミルナを背負ったヘラクレスは片手に白銀のメイスを持ちゾンビを粉砕していく。二人の女魔法使いは口早に呪文の詠唱を始めた。


足元の石畳から黒い瘴気がさらに濃く立ち上ってくる。

クリスタルが「なんだ?」とうめいた。


クリスタルの足元の石畳がまるで黒い餅のように溶けると、クリスタルの足が地面に沈み始めた。

「なんだこれは? 足が動かないぞ⁈」


クリスタル「うわあああーー!」


ヘラクレスが駆け寄って眠っているレミルナと白銀のメイスを地面に置くと、渾身の力でクリスタルの上半身を抱え込み、引っ張るが、クリスタルは、ものすごい力で地面に引きずり込まれて行く。


アナスタシアも叫び声を上げた

「きゃぁああーー‼」


アナスタシアの足元も敷石が黒々と解けて餅の様になりずぶずぶと沈んでいく。

アイロスと執事とルツ皇太后の三人がアナスタシアの両手を引っ張る。

「きゃぁああ! クリスタル、助けてー!」

アナスタシアは恐怖に怯えている


「ううう、アナスタシアぁー!」

ヘラクレスが渾身の力でクリスタルの上半身を引っ張るが、クリスタルの身体はずぶずぶと地面の中に沈んでいく。

クリスタルは必死であがくが動けない。


やがて、クリスタルとアナスタシアの姿は、敷石の中に沈んで消えてしまった。


空中のジーナ王女が男の声で笑った。

「ぐふふふふふ」


ハルナは全員に神聖呪文を掛けた

神聖サンクチタスであれ!」

これで全員の武器が聖なる力を帯びた。


ハルナは死霊を浄化する神聖呪文を唱えた

「すべての神の創りたまいし魂たちよ。

 守護天使にいだかれ天国へこの祝福によって旅立たん。

 神の慈悲と祝福をもって神の御名のもとに天国へ逝かれよ!」


「昇天せよ(ベネディクティオ)!」

「昇天せよ(ベネディクティオ)!」

「昇天せよ(ベネディクティオ)!」

「ヘラクレスさん、この呪文は使えない?」

「いやーん、あたしまだ、僧侶になったばかりで、ヒールしか使えないのよー♪」


ヘラクレスは祝福された白銀のメイスでゾンビを粉砕して成仏させていく。

「あたしはこれが一番確実よーうふん♪」


ハビンは白銀の弓に七本の矢をつがえると、ヒョウと放つ。

つぎつぎとゾンビの身体を射抜いてゾンビが消え去る。

ゼネが神聖魔法のかかった鋼のブーメランを右手左手から投げる。

二つのブーメランは光の弧を描いて飛んでいき、何十体というゾンビを倒してゼネに返ってくる。

ハビンは神聖呪文のかかった短剣を両手に構えて、次々にゾンビを切り裂き昇天させていく。

ギニーンは右と左に持った二本の大剣を風車の如く回転させて、ゾンビを一瞬で何十体も消滅させていく。


エレオノーラはすさまじい速度で自分の身体を回転させて大剣でゾンビを粉砕させていく。一度に百体づつくらい。まるで海にある大渦潮のように。

すさまじい火力だ。



呪文を詠唱していたバーバラが呪文の詠唱を終えた

そして空中のジーナに向かっていきなり炎の大呪文をぶつけた。

業火サッセンド!」

「やめてください、バーバラさん、あれはぼくの許婚者ですっ!」

とアイロスが悲鳴をあげた。

しかし遥か空中で笑うジーナの前には何か見えない壁があった。

炎の大呪文はその見えない壁にぶつかって、跳ね返り、バーバラを直撃した

「きゃあぁあーー!」


それはバーバラの最後の声だった。

バーバラの身体は燃え上がり、あとには白い灰が残った。

「ああ、なんてこと」とアイロスが叫んだ

「バーバラっ!」ベルが泣き叫んだ


「ふっ、くだらない」ジーナが男の声で嘲ると

「これならどうだ?」


いきなりジーナの指から白い光が放たれた。


それはハビンの身体を貫いた。

小柄なハビンの身体は一瞬で白く燃え上がった。あとに白い灰が残った。


ルツ皇太后が叫んだ

ジーナに向かって

「おまえ、グリシュ・ルドだね」

「おまえ、わたしと仲たがいしたからって何だい! この仕打ちはっ!」


「えええ⁈ この恐ろしい行為がグリシュ・ルドお兄様? まさか‼」とアイロス


「レミルナには攻撃しないんだから、間違いないよ!」とルツ皇太后


ヘラクレスが守り切れず地面に置いた眠るレミルナにはゾンビは1体も全く攻撃を加えなかった。


「バーバラがやられた……」ベルは涙を拭きながら「ですね……あんな反射面コンストラリウムの大魔法をつかえるのは、よほどの大魔法使いですね。たとえばグリシュクラスの。彼の祖母のあなたがそう思うのならグリシュ・ルドにまちがいないでしょう。とんでもない暗殺者です。わたしたちで抗えるかどうか」

「ジーナの身体を操っているのはグリシュに間違いない。妹のレミルナにそろそろ婿を迎えるよう母親に勧めたのはあたしだから、逆恨みしたんだっ!」とルツ皇太后は決めつけた


ビオルが眼に涙を浮かべながら悔しそうに言った

「ハビンが一瞬にやられちまった。しかしあの暗殺者がグリシュクラスの魔法使いなら、俺たち、もう生きて帰れねえかもな。ふふっ」


ルツ皇太后が空中の微笑んでいるジーナに向かって罵った「グリシュ・ルドめ。このクズ野郎。悪魔め! ここはお前の父親の国だよ!」


「グリシュは昔から妹萌えで、妹が一生処女でいることを願ってるのさ! あたしはそれを、なにをバカなこと言ってるんだ!と怒ったんだよ。その逆恨みだろうよ」とルツ皇太后。


はるか高い空中に浮かんだジーナが男の声で笑っている「ぐふふふふ。さあっ、もっとどんどんいくぞ!」


ギニーンが叫んだ

「新手が来るぞー!」




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