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第29話

この話はクリスタル・ブラスター英雄奇談の13年後の話です

 真ん中の馬車にはクリスタルに代わってヘラクレスが乗っている。

二メートル超える巨漢で巨大な白銀のメイスを持って腕組みして睨みを利かしている。


「ヘラクレスさんて強そうだね!」と小公子とリユが口を揃えた。


「いや~ん♪ ヘラクレスじゃなくてヘラって呼んでね♪ 心は乙女よ♪ うふん♪」


この三人になって真ん中の馬車はますます大盛り上がりで笑い声が絶えない。

まるでこれからピクニックに行く馬車みたい。

悪魔崇拝のババニア教団の暗殺予告を受けている人物が乗っているとは思えない雰囲気だ。


「きゃはははは」「いやーん♪ うふん♪」「あはははは」


「ハギスって魔物のお〇△◎みたいー」


「リユちゃん やめて! 僕笑い死ぬよー あはははは」


クリスタルは馬車の座席をヘラクレスと交代してもらった

「ギニーンさんと話したいことがある」と言う理由で。


四頭立ての三台の馬車は石畳のレッサム街道をひた走る


しんがりの馬車の座席には進行方向の座席の真ん中にギニーン、左右にハルナとエレオノーラが座り、向かい側にクリスタルが座っている。


馬車の中でクリスタルが口を開いた。

「ギニーンさんは谷川に倒れてた俺とリユをボロボさんやリンダさんと救ってくれた13年前のこと、覚えてくれてますか?」


「ああ、あれは大声でリユが俺たちの馬車を呼び止めたんだよ。倒れてるお前を助けてくれってな。まじでボロボロ涙こぼしてたぜーークリスタルが死んじゃう!ってな--普通、これから戦争に行く途中の人相の悪い500人の傭兵部隊に声かけるやつ何ていないさ。あはは」


「へえ?! リユがそんなとこあったのか?!……あれからリンダさん亡くなったんですね。きのうハルナさんに聞きました」


ギニーンにはその話は、青菜に塩の様だ……笑顔だったのが、押し黙ってしまった。


「ああ、すいません……」


「いいよ……あれからお前とあのパピヨンゴブリンの化けてるクソガキはどうしたんだ?」とギニーンが無理に作り笑顔でクリスタルに問うた。


「あれからルド女大公の息子さんのグリシュ・ルドさんに会って。彼の協力でジョー・デウスを倒すことができました」


「グリシュ・ルドって言やぁ、すごい伝説の天才魔法使いで、俗世の事には関わろうとしない奴だって聞いてるぜ。よくそんな奴が協力してくれたな」


「母親のルド女大公に、俺の個人的な過去のすべてを打ち明けたら、親身になって協力してくれたんです。

自分の今、どこにいるか分からない息子に『この手紙を読んだら必ずクリスタル・ブラスターに協力するように!』という手紙を書いて俺に持たせたんですよ」


「かーちゃん味方につけたのか! そりゃいいや。あははは」


「グリシュ・ルドて全人類を見下してる世界最強の魔法使いだって聞いたことがあるわ」とハルナ


そういう他人の身の上話が大好きなハルナは横で眼を輝かせて聞いているが、

そういう話が苦手なエレオノーラはうとうと居眠りしている。


「その世界最強の天才魔法使いが、なぜか、母親と妹さんには頭が上がらないみたいですよ。あはは」とクリスタル


「よく自分の父親を殺す決意がついたな?」


「俺はジョー・デウスを自分の父と思ったことは一度もありません!」とやけに向きになるクリスタル。


「俺のフォボスの呪いを永久に封印するために自分が仕えていた王家も見捨てて自分の肉体を犠牲に捧げた(そだての母のために……ジョー・デウスの秘密を暴いてトドメをさしたんですよ」


「結局、アナスタシア王女とガウス・ハルモニア王は救えたのか? ネクロマンシーでゾンビにされたハルモニア王国の人々は救えたのか?」


「もちろんです。グリシュ・ルドが助けてくれました」


「グリシュ・ルドっていやあ、他人が助けてくれ!と助けを求めて行ったのに冷酷に無視した、って話が山ほどあるぜ……鬼畜な奴だと思ってたけど、人助けすることもあるんだなぁ」

とギニーンが腕組みをして感慨深げにうなずいている。


「あははは……そういうとこもある人ですね……あの人」とクリスタルは困った顔をして苦笑いをした。


その時、何かの気配で、クリスタルが表情を変えた。スッと肩の妖剣ダイモスに手をかけた。

居眠りしていたエレオノーラがガバッ!と眼を覚まして大剣に手をかけた。

馬車がいきなり止まり、御者の悲鳴が聞こえた。

「ぎゃあーー!!」

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