第2話
遠く無いところで、少し前から不穏な雰囲気の
領主同士が休戦協定を破り、また戦争が再開された。
近くの街の門で傭兵を募集している傭兵隊があった。
エレオノーラはその口上を聞いていたが、
やにわに、呼び込みのスカウトの男に、
「女でもいいのかい?」と聞いた。
「強けりゃ、なんだって」男は答えた。
「17歳(ホントは13歳)だけど、いいかい?」「へえ、嬢ちゃんがかい?」
男の不審そうな目に、エレオノーラはパラりと背中の大剣の麻布を解くと、
やにわに、数回ふった。
女とは思えない腕力だった。
なんと、男のズボンが細かく切り刻まれ、
男は下半身が丸出しになった。
まわりは大爆笑。
「ぎゃはははは」「ぐぁはははは」
男は「げえぇぇぇ!」
「どうだい?」「合格だ」
エレオノーラは13歳を17歳と偽り、傭兵隊に雇われた。
横から、ダサい髭をはやしたリーダーが現れた。
不細工な顔の貴族の服をきた若作りの伊達男だったが
頭は切れそうな男だった。
「ねーちゃん、何て名前だ?」「エレでいいよ」
「じゃあ、エレ、おめえのその恰好は軽装すぎる。
もう少しまともな装備はねえのか?
あと、おめえ、戦争で傭兵は初めてだな?
そもそも人間殺したことあるんかい?」
痛いところを突かれたが、もう家に帰るつもりはない。
剣士として生きることを決めた以上、いつかは……
……この戦乱の時代に生きるために、あえて自分が選んだ道だった。
エレオノーラは何も答えなかったが、リーダーの男は言った。
「こっち来な」
そこには幌馬車があった。
「そこの大きな箱の中に、使ってねえ装備が入ってる。
サイズのあわねえのは自分で直しな。それで整えな」
中にはガラクタの装備が入っていたが、ろくなのは無かったが、
鎖帷子だけ使えそうなのでもらうことにした。
傭兵隊のリーダの名前はボロボと言った。
幌馬車の中で毛布をひっかぶり、木の床に寝ている男がいた。
男は人の気配で起きて、エレオノーラを見ていたが、
「へえ、ついにうちにも女戦士がきたのか。
けっこういい女だな。よろしくな。
おい、男が欲しくなったらいつでもいいな。
おれが相手してやるぜ。」
リーダーが来て言った
「ここはボロボ傭兵部隊だ。よろしくな。
こいつはギニーンだ。うちの副隊長だ」
「私はエレよ、傭兵の経験は浅いけどよろしく」
とぶっきらぼうに言った。
ボロボ傭兵隊は200人ほどの小規模な傭兵隊だったが、
エレオノーラにとっては初めての戦いだった。
エレオノーラは無表情、自分の運については何も考えなかった。