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第18話

馬車の中でエレオノーラが女教皇ルチアナに聞いた。

「女教皇さまはぺーぺーの僧侶から偉くなってなったんですか?」


「いいえ、一般からなれるのは枢機卿までです。私は……」


ルチアナが話しかけた話をハルナが遮って、ハルナがエレオノーラに説明を始めた。

「女教皇様ってのはねえ、メシヤの血を引く12正統王家の直系の

 うら若い処女の王女様から星の巡りで聖処女様が選ばれて、

 その方が神霊を受任されて女教皇様になるのさ。

 庶民じゃあ、努力してもなれないのよ」

とハルナは自分の知識を得意げに話した。


エレオノーラ「へえ、そうなんだ」


2人の御者によって6頭立ての銀の馬車はハイプリエステス市を真西に街道をひた走り、

途中幾度か休憩をして超古代文明の遺跡に隣接するリペナ町に、夕方には到着した。

2人の枢機卿が先にリペナ町に入り、一通りの調査をしていた。

女教皇の到着で、オポム枢機卿とカナ女枢機卿が、彼らのまとめた分厚い報告書類を、

リペナの町の教会において提出した。

現地の責任者であるバルア町長にたのみ、ギニーン達3人の宿を手配させたあと、

ルチアナは手早く報告書類のすべてを読んだ。


 枢機卿の二人は正装し、紫の金の縁取りのあるローブを着て

金のカドウケウスの紋章の入った金の縁取りのガウンを着て

紋章のはいった帽子を被っている。


 2人の枢機卿が小さな8歳の女の子に見えるルチアナに言った。


オポム枢機卿

「女教皇様、信仰の世界を統べるあなたが、どうか安全確認がされていない場所へ

 行かれるのだけは、どうかお止めください」


カナ女枢機卿

「あなたがおられてこそのこの世界の安定です。どうか無茶はお止めください」


ルチアナ「却下するわ!」


一晩寝て、日の出とともに早く、5人はその問題の超古代遺跡の前に来ていた。

ここは宿のすぐ裏であった。

超古代遺跡はリペナ町のすぐ横にある。

もともとリペナ町はこの超古代遺跡ツアーの観光の町として立地している町であった。

巨大などうやって運んだかわからないほど巨大な石造りの台形のピラミッドの前で

5人は1個が家1軒ほどある巨石の石組を見上げていた。

目の前には人の通れる穴が9つ、横にならんで入り口が9つあった。

以前は、その9つ全部が奥で行き止まりであったが、はるか何万年かの昔に死んだはずの

誰一人住んでいないはずの遺跡が変化を見せていた。

遺跡は半年前とまえと変わってしまっていた。

今は9つの石の通路は途中の塞いでいた巨石が無くなり全部が奥の方へ続いている。

ただし、その奥へ入った人々で二度と帰ってきた者はいなかった。


「この入り口の穴の8個がフェイク、偽物です。

 しかも一度入ったら二度と出られない罠が仕掛けられています。

 1つだけが本物です。それを行くと、奥の次の仕掛けに挑戦できるはずです。」


「しらみつぶしに、ひとつづつ探索しなきゃならないのかな?」


「いいえ、本物はわかってます。右から7番目です」


「なぜわかるんです?」とエレオノーラ


「幽体離脱できる魔法を使える魔法使いを雇って、調べてもらったからです」


「では、いきましょう」とハルナ


「GO!」とギニーン


 大勢の観光客に見送られ、ファイガ以外の全員が松明を1本づつ持ち

4人と1匹は右から7番目の穴へ入って行った。

ギニーンが先頭で、つぎがルチアナ、次がハルナ、次がファイガ、しんがりがエレオノーラ。


長い長い石の通路が下へ下へと通じている。

それを延々と降りていくと、通路がまっすぐになった。

ただ長い時間、黙々と歩き続けて、全員が少し疲れてきたころ、

いきなり、ガチャ!と大きな音がしたかと思うと、

全員の足元にごそっと穴が開き、

4人と1匹は全員が同時に穴に吸い込まれていった。

ルチアナが叫びました。

「ライトニング!」

光の玉が空中に現れて、落ちていく暗闇を照らした。

彼らが落ちていく先は、大きな地下空洞で、

その底に3匹の巨大なオーガが眼をランランと輝かせて

舌なめずりをしているのが見えた。


ルチアナが呪文を唱えた。

「神聖呪縛 ロックトイン」

3匹の巨大なオーガは痺れて動けなくなった。

ギニーンとエレオノーラが剣を構え、

エレオノーラは大剣を自分の足の下にふんばって、

そのままオーガの脳天めがけて全体重をかけてオーガを頭から貫いた。

すさまじい血しぶきが飛び散った。

ギニーンは力をため、背中に差していた2本の鋼の大剣を左右の手で掴みスラリと抜くと、

体を急速に回転させ、2匹の巨大なオーガの首を同時に2つ切り落としてしまった。

すごい血しぶきが飛び散った。

二人が着地したとき、同時にオーガの身体が3体地響きを立ててドドーンと倒れた。

ファイガが着地すると周りを見回し、匂いを嗅いで「がうがうがう!」と吠えると、

こっちへ来いとばかりに一目散に走りだした。

4人はファイガの後につづく。

地下空洞の底に横穴があり、ファイガは一目散に走っていくが、

ギニーンとエレオノーラ、ハルナ、ルチアナはまだ消えていない松明をそれぞれ拾うと、

松明を掲げながらファイガを追って走り出した。

魔法獣ファイガは真っ暗闇でも目が見える。

地下水が足元を流れているのが松明でおぼろげに見え、

走っていく4人と1匹の足元でビチャビチャ音を立て水が跳ねる。

地下の真っ暗な横穴をファイガは走り続け、その先に光が見えてきた。

ファイガが外で「ガウ!ガウ!ガウ!」と吠えている。

4人はいきなり、横穴から明るい光の中に出た。




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