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第10話

「依頼1,2,4,11あたりかな」ハルナの言葉。


エレオノーラが


「4がいいかな。でも、高位神官いるね。

ハルナ、あなたは僧正の銀の神杖カドウケウスをもってるけど、その若さで僧正?」


ハルナ「うん、そうだよ。あの修道院で私は修道院長さまにつづく第2位なんだよ」


「へえ」


「とりあえず、無難に依頼4へ行ってみよう」


「オーケー」


カウンターで


「依頼4を受けたいのですが」


と話をすると、事務のおじさんに


「依頼者本人に話を聞いてくれ」


と住所を書いた紙を渡された。

ギルドの建物内の入った右横に副王都の依頼圏内の大きな地図があった。

それを見て、場所を確かめ、ハルナの持っていた小さなメモ用紙に

おおまかの地図を写し取って出発した。

場所は副王に仕える側近で副王都の近所に住む貴族ベトラ大公の館だった。

副王都の西の出口の手前に駅馬車のステーションがあった。

が、銅貨10枚を払うには近い距離だったので歩くことにした。

いい天気で、ハルナとエレオノーラは色々雑談をしながら歩いた。

小さな石橋のかかっている小川や雑木林を抜けて小麦畑と放牧地や

葡萄畑の広がるなだらかな開けた土地を目的地のベトラ大公の館に向かった。


(途中の美しい水の流れる小川の石橋の下に隠れて二人は水浴びをした。

ーー石橋の下で二人はこっそりでも裸なので美少女同士おたがいにおっぱいに

水を掛け合いしばらく遊びたわむれた。

おっぱいの小さなハルナがおっぱいがすごく大きなエレオノーラをからかった。

エレオノーラは服を洗うと絞った半乾きの服を平気でまた着た。

それをみてハルナはワイルド!と驚いた)


ベトラ大公の館は高い塀に囲まれた威圧的な雰囲気の館だった。

門には鍵がかかっていて、おおきな呼び鈴を押すと、

奥の館から召使が走り出てくるのが見えた。


「いかなるご用件ですか」


「ギルドの依頼のゴーストの除霊にきた冒険者です」


「そうですか、おはいりください。大公様がお待ちかねです」


ベトラ大公は小柄な老人で持病があるのか、のどに霧吹きで常時薬をシュッシュッと吹きかけている老人だった。彼は小柄だが非常に威圧的な態度で話した。下賤の者ときめてかかっている態度だった。


「まあ、おまえらでは無理かもしれないが……」


「ここの東に廃宿屋と廃農家が数件ある昔村だった場所がある。

そこを再開発したいんだが非常に攻撃的な幽霊がでるので、

それができない。除霊をお願いしたい。

仕事料は金貨2枚だ。

必要経費は別途請求してくれ。

ケチは言わない。

とにかくあの幽霊をなんとかしてほしい」


大公はハルナが銀のカドウケウスを持っているのに気づくと

態度が変わり威圧的な態度から友好的な態度になった。


「僧正どの、よろしくおねがいします」


「わかりました」


屋敷の門を出ると、オレンジの果樹園があり、

その向こうに小川が流れ石橋がかかっている。

さらに小麦の広い畑があり、その向こうの森の陰にその廃墟の村があった。

そろそろ夕方になりかけていた。

あたりに人影はないが、ドアの壊れた宿屋らしき建物に入ると、

蜘蛛の巣だらけで、床には割れた瓶や壊れた椅子テーブルが散乱していた。

ハルナはカドウケウスを掲げると、


「心残りの無念をもってこの世を去りし者よ、逝くに逝けぬ者よ、

姿を現しここにその者の言葉をきかん」


銀のカドウケウスが微かに光り、あたりの雰囲気が変わった。

なにか霧のような霞がかかった状態になった。


ハルナ「地下室から声がします」万が一の場合に備えて、

ハルナはエレオノーラの剣に神聖魔法をかけた。

これで剣の霊体への攻撃力が段違いにあがった。

ハルナが先に立ち、壊れたカウンターの後ろにあるドアから

地下室へ降りていくと、そこには数人の男の霊がいた。

彼らはなにか地下室の土を掘り返そうと一生懸命になっていた。

ハルナが声をかけた


「あなたがたの心残りはそこにあるのですか」


霊たちは、ハルナが穏やかに話しかけると、ぞっとした形相になり、

いきなり襲い掛かってきた。

幽霊に体を通り抜けられると、生気が抜かれ、下手するとうつ状態になる。

ハルナは2メートルは飛び退り、聖なる守護魔法を自分とエレオノーラに唱えた。

7人ほどの男の姿をしていた幽霊たちは、その顔がまるで骸骨にかわり、

ヒューヒューとおぞましい声にならない声をあげてバラバラに襲い掛かってきた。

それより早く、エレオノーラは前に飛び出て大剣で数回空中を薙ぎ払った。

エレオノーラの大剣で切り刻まれた幽霊たちはたちどころに

霊体は雲霧消散してキラキラ輝き消えてしまった。


「幽霊たちはなにに執着してたんでしょうね」


「掘ってみる?」


「いあ、力仕事は苦手なので。

とりあえず、これで依頼は果たしました。

帰りませんか?」


「嫌な予感がするんだ、少し待ってて」


タフが取りえのエレオノーラは13歳の女の子とは思えない170センチの

細マッチョの身体で地下室の奥に転がっていた古い大きなスコップを握ると、

たちどころに幽霊たちが気にしていた地面を掘り返した。

何と土の中から人間の数人の死体が現れた。


「これが原因だったんだね」


ハルナはびっくりしたように見ていた。

(彼女が驚いたのはエレオノーラの行動のあまりのすばやさにだったが)


「手厚く葬りましょう」


ハルナは聖水の瓶をだすと、その半分白骨化した死体に振りかけ、

清められた塩を撒き、祝福の祈りをその死者たちに捧げた。


「すべての神の創りたまいし魂たちよ。

守護天使にいだかれ天国へこの祝福によって旅立たれよ」


除霊の呪文、聖女の祈りをささげた


「この人たちの霊はこれで天国へ成仏したはずです。

これでもう、幽霊がでることもないでしょう」


エレオノーラはハルナのその言葉をきいてから、

周りの土を再びその数人の死体に被せた。

そのあと二人は、まわりの森から花を摘んできて、

2つの花束を作りそこにそっと置いた。

ベトラ大公の屋敷に帰ると、ハルナは一部始終を報告した。

ベトラ大公は信じられないという面持ちだったが、


「もう幽霊は出ないのですな。わかりました。ありがとうございました」


とハルナに金貨2枚を渡した。

そして、仕事が終了したというギルドに提出する書類にサインし


「ごくろうさまでした」と書き添えた。


外へでるとハルナはエレオノーラに金貨1枚を渡した。

二人は、大公の家の前がちょうど停留所の駅馬車の最終便に乗り、

副王都にかえり、ギルドにその書類を提出した。

カウンターにいた事務のおじさんが


「ごくろうさまでした」


と笑って胸につけるエレオノーラの茶色の冒険者カードの裏にハンコを押してくれた。

ハルナの黄色の冒険者カードにもハンコを押した。

かなり難易度の高い依頼だったそうで、

エレオノーラの冒険者のクラスは1回で黄級にあがり、

ハルナは次でもう1ランク上がると言われた。


「副王都には宿屋が3種類あって、安、中、高級とあるけど、

どれにしますか?」とハルナ


「安いのでいいじゃない?」


「安いのは毛布1枚で大部屋に雑魚寝ですよ。

それでいいんですか?

プライベートはいっさいありません。

さすがに男女は別ですが」


「ハルナさんはどうなの?」


「私は中がいいですが、あなたにあわせてもいいですよ」


「じゃあ、安いのにしようよ」とエレオノーラ


「わかりました」

(ハルナは腹中、「ちぇ!」と思った)


エレオノーラとハルナは、副王都の港にほど近い副王都で

一番安い宿で毛布1枚で、数人の旅の女たちと大部屋で雑魚寝した。

修道院で個室を与えられ、けっこう自由にすごしていたハルナは中々寝付けなかったが、

明け方には疲れが出てようやく寝付いた。

けど宿屋の中庭でのエレオノーラの鋼の大剣の素振りと筋トレの声「エイヤーターッ!」で起こされて

ーーああ……もうっ!ーーと思ったハルナであった。


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