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第八枚 人の対戦を見てみようPart2

 とある県のとある県庁所在地。そのベットタウンの片隅に、その妖怪屋敷はあった。当然のように閑散とした場所にあるそこには、ゲーマー妖怪が住んでいた。

 そのゲーマー妖怪、サティスファクション都の部屋に、腐れ縁であるゲーマー妖怪ニシワタリが侵入を開始していた。

 そして5秒でとん挫した。

 理由は単純であり、故に根深い。

 つまり。

「汚い!」

 ニシワタリとしても色々な言葉が脳内に渦巻いたが、結局出てきたのは「汚い」の二文字だけだ。

 とにかく汚い。

 汚い以外の何物でもない。

 ゆえに汚いとしか言えない。

 そのレベルの汚さであった。

「こんなところであいつは生活しているンデスカ!?」

 というニシワタリの弁もさもありなんである。とても生活圏のそれとは思えない汚辱度合である。

(どうしマショウカネ……)

 こちらに入ればもしもの時の言い訳もある、という予定で踏み込んだが、そんな甘っちょろいことが言える場所ではなかった。そして、今の制限時間でどうにか出来る場所でもない。残り時間もあるにはあるが、そこまで多くはない。再びここに入る勇気を奮い立たせる時間は、今は無い。

(ならば)

 と、ニシワタリはこの家妖怪の中心部へと足を運ぶ。身の危険はあるが、こっちに無いと分かれば、まだ手の打ちようはあるというものだ。

 そう考えている内に、ニシワタリはこの家妖怪の中枢にやってきた。一応、部屋らしく扉があるが、これも家妖怪の一部である可能性は高い。上手く触らないと、噛みついてくるのではないか。とすら思える。

 恐る恐る。

 ニシワタリはドアノブに手をかけ、回し、扉を開いた。

 その中には……。


 一方、その頃。サティスファクション都とパッション郷のバトルは中盤戦を迎えていた。

「4ターン目ー。まずー、サティスファクション都様のドロー。アミュレット<漆黒の契約>ですねー」

 シシデバルの宣言に、茂美が問う。

「なんか効果がごちゃごちゃ書いてあるけど、どういうものなんだ?」

「まずー、ダメージを6点ですねー」

「いきなりダメージを与えるのか!?」

 シシデバルはへらへらと言う。

「違いますよー、与えるのではなく貰うんですー。自分に6点ダメージですー」

「それはそれで割と無茶な気がするが、それだけのある付加価値がある、のか?」

「ええー、まずカウントダウンが3ありましてー、それが一つ進むごとに2点回復しますー。つまり毎ターン回復ですねー。そしてー、普通のドロー1枚以外でもう1枚カードをドロー出来ますよー」

「カウントダウンが3だから、回復は全部で6点か。ダメージを受けた分はターン回復しつつ、ドローを多く取れるアミュレット、と言う訳か」

「そうですよー。後半にはダメージがきつくて使いにくいですがー、序盤なら有用なドローソースですねー」

 茂美がメモっている間にも、試合の方は進んでいる。やや長考だったサティスファクション都が、<漆黒の契約>を場に置いた。

「ダメージ6点ですねー。これでおひい様が12点でー、サティスファクション都は9点。立場は入れ替わった形ですねー」

「それで、場のフォロワーの動きか」

「<教会の護り手>がいるおかげでー、今いるフォロワーでは突破は難しいところですねー」

「攻撃力が2の<ブラッドウルフ>で1点になるんだったら、攻撃力が1の<蠢く死霊>だとダメージが入らないの?」

 美咲の問いに、きりっと答えるシシデバル。

「その通り、というか言ったろう? だからまあ、殴ってもやられ損だ。わざとやられたい以外なら、<蠢く死霊>は待機するしかない」

「で、どうするんだ……。待機か」

 サティスファクション都の決定は、フォロワーは攻撃せずであった。

「これはどうなんだ?」

「今の手持ちフォロワーだとー、PP的に出せませんからねー。除去用の<メドゥーサの魔眼>より<漆黒の契約>を重視したみたいだしー、様子見という考えでしょうー」

 そうこう言っている内に、手番はパッション郷に。

「後攻4ターン目ー! 進化可能ですー! ここで、<詠唱:聖なる願い>のカウントダウンが終了ー! ラストワードの二枚手札に、が発動ですー! まずドローの方はー、アミュレット<守護の陽光>。追加ドローはフォロワー<スネークプリースト>とフォロワー<鉄槌の僧侶>ですねー」

「どれがどういう能力なんだ?」

 茂美の問いかけに、シシデバルはへらへら丁寧に答える。

「<守護の陽光>は場にある限りー、場に登場した体力4以上のフォロワーに守護を付ける効果ー。<スネークプリースト>は2コスト攻1体3のの守護持ちー。<鉄槌の僧侶>は攻3体4のフォロワーで、進化時に体力3以下の相手フォロワーを消滅させるー、ですねー」

「<守護の陽光>は強力そうだね」

 美咲の声に、シシデバルは丁寧に答える。

「体力4以上というハードルはあるが、逆に言うと体力が多いフォロワーが軒並み守護持ちになる訳だから、中々の脅威だ。アミュレット対策してないときついぞ」

 と、パッション郷はカードを選択し、場に貼る。<守護の陽光>だ。

「ここは早めに貼るようですねー。そして<スネークプリースト>もー。ガチガチに固めますねー。そして、進化できるようになったので、進化を<教会の護り手>にー! そしてサティスファクション都様の顔殴りー! 4点入ってー、サティスファクション都様は残り5点と相成りましたー!」

「やたら展開が早いな!」

「どうにも前のめりですしねー。さて、先攻5ターン目ー! 進化権入りますー。それからー、まず2点回復ー。これで7点ですねー。そしてドロー! フォロワー<ナイトメア>で、もう一度ドローしてスペル<処刑人の斧>。微妙な所ですねー」

「でも、都ちゃんはさっきよりいきなり意気揚々だよ? あのカードはどういう効果?」

「<ナイトメア>は2コストの攻2体2の標準的なフォロワー、だが復讐状態なら攻がプラス2される。<処刑人の斧>は基本的には突進を付けるスペルだが、エンハンスで4コス払って攻、体ともに2付加するね。つまり、素の能力である突進付与と合わせれば進化と似たような効果と言える」

「それならわりと有用なんじゃないの?」

「その辺は使い手次第だ。サティスファクション都様は使えると踏んでいるのだろう。実際、突進だけでもドレインや必殺を使えるフォロワーがいるヴァンパイアには有用だ」

 成程、と美咲が納得するのを見計らったかのように、サティスファクション都はカードを繰り出す。

 まず、<メドゥーサの魔眼>を、<蠢く死霊>に付加する。

「<メドゥーサの魔眼>って、さっき使わなかった、って言ってたやつだね。どういう効果なの?」

「相手のフォロワーを、ダメージを与える前に倒せる、と言えばいいかな?」

「ん? つまり?」

 わりと砕いた言い方だったのが通じなかったので、シシデバルは少し考えて、もう一度言った。

「つまり、付加された状態で相手フォロワーに攻撃をすると、ダメージを与えあう前の段階で効果として発揮されて、相手フォロワーを破壊できる、ということだ」

「ん? ダメージ判定が出る前に倒せる、ってこと?」

「それ、さっき言ったぞ」

 はあ、と溜息するシシデバル。そこから気持ちを立て直しているうちに、サティスファクション都は行動していた。<蠢く死霊>で<教会の護り手>にアタックをかける、と同時に、<メドゥーサの魔眼>の効果が発動し、<教会の護り手>は破壊された。

「成程、こういう風になるんだね」

「そうだ。普通の除去に比べると、フォロワーがいないと使えない、攻撃無効には通じない、と弱点もあるが、逆に能力対象にならないでも攻撃としてだから通じる点と、コストが2と安い点が強みだ。他の除去の方が楽ではあるがな」

「だが、まだ相手には<スネークプリースト>が残っているぞ? <ブラッドウルフ>では倒せないが、どうするんだ?」

 茂美の疑問は、サティスファクション都の行動で回答される。まず、<ナイトメア>を場に出し、その<ナイトメア>に<処刑人の斧>を使用する。

「ああ、成程。<ナイトメア>に突進を付けて、切り抜けるんだな」

「<スネークプリースト>は攻1ですからねー。<ナイトメア>ならきっちり耐えられますねー」

 その言葉通り、<ナイトメア>は<スネークプリースト>を撃破。そして、残っていた<ブラッドウルフ>がリーダーに攻撃をする。

「これでー、おひい様が10点ー。サティスファクション都様が7点ですねー」

「都君の方はまだ回復するから、実質的には差が無い、といった所か」

 そして、パッション郷のターンになる。

「ここはいいドローを願いたいところですがー、おおっとー、ここでスペル<気高き教理>! カウントダウンを2つ進められるスペルですねー。そして一枚カードも引きます」

 パッション郷は、迷いなくその<気高き教理>を使用する。対象は。

「ここは当然<詠唱:天喰らう聖竜>ですねー。これはフォロワー<大翼の白竜>を出すと同時にー、相手フォロワー全体に1点ダメージですー。これでサティスファクション都様の<ナイトメア>と<ブラッドウルフ>は撃退ー! ついでに<守護の陽光>効果で<大翼の白竜>は守護付きになりましたー」

 そこから、引いたカードにも注目する。

「<天空の守護者・ガルラ>ですかー、渋いのが出ましたねー」

 言っている間にもパッション郷は長考する。

 20秒ほど考えたのち、パッション郷は<プリズムプリースト>を場に配置した。

「<プリズムプリースト>の効果発動ー!」

「どういう効果なの?」

「いい質問だ、美咲さん。とはいえ、さっきもちらっと言ったがな。これはランダムながらデッキの中からアミュレットを1枚ドロー出来る、という効果だ。素早くアミュレットを手に入れられるから、<ビショップ>では重要なフォロワーだな」

 そのドローで、パッション郷は<詠唱:聖獣への誓い>を手札に加える。そして、<大翼の白竜>を進化して、<蠢く死霊>に攻撃。これを破壊する。

「ここは<メドゥーサの魔眼>への警戒がありますねー。さっきも言いましたがー、攻撃できるフォロワーがいないと<メドゥーサの魔眼>は使えませんから、その目を潰すのはいい手筋ですー」

「私たちは手札が見てるから無いのは分かるけど、見えないなら当然警戒はすべき、ということかな?」

 美咲がそう、問う。

「常に相手の最善手を考える。そしてそこからどう負けずに自分の最善手をつなぐか。そこが重要だよ」

 そうシシデバルが言う間に、ターンは6ターン目。サティスファクション都に移る。

 シシデバルが状況を口にする。

「まずー、回復2点ー。これでおひい様10点でー、サティスファクション都様が9点ですねー。そしてドロー。フォロワー<アルカード>とー、もう一度はフォロワー<ブラッドウルフ>。前者はコスト的に、後者は体力的にきついとこですねー」

「というかまた<アルカード>引いたな。運命力と言うやつか」

 声は聞こえていないが、まるで揶揄な言葉に反応するように、サティスファクション都は眉尻を吊り上げる。見られていなければ、このクソドロー! とでも発していただろう雰囲気である。

「とはいえー、何も出さない訳にはいきませんねー」

 シシデバルのその言葉通り、サティスファクション都は<ダークジェネラル>を配置する。

「<ダークジェネラル>は復讐状態なら疾走を持つ強力なフォロワーですー。守護がいなければ良かったんですがねー」

 言うように、<ダークジェネラル>は<天翼の白竜>に攻撃するが、相手は攻8の体8。<蠢く死霊>の1点ダメージを受けているので体7になっているが、攻4の<ダークジェネラル>ではあと3点は進化を入れても厳しい。案の定、<ダークジェネラル>はやられ、<天翼の白竜>は残ってしまう。

 と思うとサティスファクション都は<ブラッドウルフ>を配置。これを進化させて<天翼の白竜>を攻撃。これにより、<大翼の白竜>は撃沈した。

「とはいえー、プリプリは残っていますからねー。どうするんでしょうかねー。盤面的にー。とりあえずー、これでおひい様10点ー、サティスファクション都様が7点ですねー」

「完全にじり貧だね」

「とはいえ、おひい様も手札が潤沢な状況ではない。このまま泥仕合かもしれん」

(まあ、分が悪いのはサティスファクション都様の方でしょうけれど)

 とは口には出さないシシデバル。状況を食い入るように見つめる美咲は、その辺が分かっているのかいないのか。茂美はしきりに首をかしげて考えているが、こちらは分かっているまでには到達していないようである。

 パッション郷の6ターン目が始まる。

「まずドローですねー。フォロワー<敬虔な修道女>。4コストながら体6とかなりの防御力があるフォロワーですねー。<守護の陽光>と合わせれば、かなり粘り強い守護になりますよー」

 パッション郷は少し悩み、まず<詠唱:聖獣への誓い>を配置。それから、<敬虔な修道女>を配置。<守護の陽光>の効果で、守護がつく。

「でー、<プリズムプリースト>で2点ー。これでー、おひい様10点のー、サティスファクション都様が5点ですねー」

「かなり都くんが劣勢だな」

「手札も今一つといったところですしねー。さて、次のターン。7ターン目ですよー」

 その動向を、全員が見つめる中、7ターン目が始まろうとしていた。

(第九枚に続く)

ちょっと長く開けてしまいましたが、次はすぐですよたぶんすぐ。

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