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第29枚 偶にするならこんなデッキの2

 そこはゲーマー妖怪サティスファクション都邸の一角。座敷牢の中である。

 そこには、妖怪が三体いた。男型の妖怪スルマ。女型の妖怪ドドメ。そして妖怪拷問吏アンロである。その内、アンロは倒れ伏している。百練の妖怪、パッション郷の手によって妖気を無理やり搾り取られて以来、数日が経った今でもピクリとも動かない。

 最初の頃はすぐに立ち直るだろうと思っていたスルマだったが、ここまで長く動かないとさすがに気をもんでしまう。

「死んじゃいねえよな」

「妖怪は死なないだろ」

 ドドメは妖怪の常識を口にする。確かに、妖怪は死なない。存在が希薄になってぼんやりとしか見えなくなったりするが、居なくなるわけではない。必ずどこかにいるものだ。

「でも、こいつはちょっと毛色が違うように感じるぞ」

「だろうね。大方半妖の類だろう。珍しいが、いない訳じゃないやつだ」

「となると、死ぬかもしれない?」

「どうだか。“あの”パッション郷のことだから、ギリギリまでとみて間違いはないだろうが、あちらからして殺すほどのことはしてないだろう?」

「その辺の沸点がちょっと分からねえ相手だろ? しかもこいつは、裏切り者になる。懲罰的な気持ちにならんとも限らねえ」

 スルマのもっともな意見に、だがそうだと嫌なのでドドメは反論する。

「殺したなら、死体は片づけるだろ。いくらなんでも俺たちに見せしめとしてここに配置し続けるとも思えないな」

「確かに、俺たちに対しての沸点はこいつとは、違うだろうしなあ。だったら、起きているのかね?」

「どっちでもいいよ」

 と、そこに歩いてくる者が。

 この屋敷の主でゲーマー妖怪のサティスファクション都とその従者ということになっているニシワタリだ。

 サティスファクション都は登場からまず一声。

「そろそろ、ここも飽きた頃かしら?」

「わりと最初から飽いてますよ」

「あら、そう?」

 スルマの言にカラカラと笑うサティスファクション都。その笑みに、ドドメは嫌な予感を覚える。いかにも胡散臭く笑ってござい、という風であるからだ。何かあるとみるべきだろう。

 ドドメは注意深く問う。

「で、飽いた頃だからどうしたっていうんだ?」

「取引をしようかと思って、ね」

 笑みが、胡散臭い方で強化されている。やはり何かある。

「……解放する代わりに手下になれとか?」

「別に、あなたたちがいなくてもなんとでもなるわよ? ただ」

「ただ?」

「ちょっとしたことを頼みたいの。その程度のことで赦免してあげるわ」

 さて、とドドメは思案する。ここは確実におつかいが厄介であるだろう。だが、このままこの座敷牢にいるのも嫌ではある。なので、とりあえず何をすればいいか。そこを尋ねてみることにする。

「おつかいってのは、荒事を含んじゃいないよな?」

「あなたたちに荒事をさせることはないわね、一応」

 つまり、荒事はある可能性を含んでいるということだ。させることはない、とは言っているが、どう転ぶかはかなり状況次第であろう。

 だが、一応荒事をさせるつもりはない、という言質は取った。ドドメは問う。

「で、何をさせるつもりなんだ?」


 少し後の時間の、サティスファクション都邸。その和室にはいつもの面々、サティスファクション都、ニシワタリ、犬飼美咲、城茂美がいた。

「今日はどうしようか、と言うのは既に考えているのよ」

 そう切り出すサティスファクション都。

「見切り発車なサティスファクションにしては珍しいデスネ」

 ニシワタリの揶揄を無視して、サティスファクション都は続ける。

「昨日美咲とデッキ作りをしたのが楽しかったから、今回はその延長線上の話で、このデッキどう思う? という感じにやっていこうかと思うわ」

「して、そのデッキとは?」

 茂美の問いに、サティスファクション都は張り切って答える。

「その名も<不殺白白>よ!」

「その名もってそっちじゃなくどういうデッキかについてだよ、聞いているのは」

 呆れ顔の茂美に対して、ニシワタリは勘付いた。

「“不殺”、ということはエルフの<不殺の絶傑・エズディア>を使うデッキ、と見て良さそうデスガ」

「いい線行っているわよ、ニシワタリ。さて美咲」

「うん、え?」

「<不殺の絶傑・エズディア>の能力は?」

 えーと、と美咲は思考を巡らす。そしてすぐに思い出す。

「相手のリーダーの体力を強制的に上限6にする、だったっけ」

「その通り。ならデッキ内容の理解には後、半歩よ」

「え、そうなの?」

「そうよ。そして“白白”。白と白、というのが大ヒント」

「トイウカほぼ答えデショウ」

「分かった人は黙ってなさい。今は美咲に問うているの」

 美咲は、白と白、それにエルフという単語から記憶をめくる。白と、白。二つあるからには白の付く二つのカードなのは見当はつく。で、そうなると浮かんでくるのは。

「<白銀の矢>と<古き森の白狼>が“白白”?」

「そうよ、美咲。もうほぼ答えになっているから、答えてみなさい。<不殺白白>の狙いを!」

 美咲は先に言ったカードの効果を思い出す。

 <白銀の矢>。相手リーダーかフォロワーに手札枚数と同じ数のダメージ。

 <古き森の白狼>。ラストワードで、デッキ内最大コストのカードを0コストにして、次のターン手札に加える。

 そして<不殺の絶傑・エズディア>。相手リーダー体力を上限6にする。

 それが意味する事実は、一つ。

「えーと、<古き森の白狼>で<不殺の絶傑・エズディア>か<白銀の矢>を0コストにして、その二つを同じターンで使ってワンターンキル、体力6にした相手リーダーに白銀の矢で直接攻撃して倒す、ってことでいいのかな?」

「へえ、美咲もだいぶ分かってきたみたいじゃない」

 茂美の称賛に美咲は少し照れた顔をして「そ、そうかな?」などと言う。

「分かったところで本題に入るわよ」

「……本題?」

 そう、とサティスファクション都は頷く。

「このコンセプトを活かすデッキ構築をどうするか、よ!」


 同じ時間軸で座敷牢。

「で、どう思うよ、スルマ」

 ドドメの問いに、スルマはしかめっ面をする。

「悪くない話じゃねえかと思うがね。安請け合いな点さえ除けば」

「だがよお、いつまでもここでうだうだしてても、さっぱりしょうがないだろ?」

「その点も分かってはいるがね。もうちょい譲歩させられたんじゃないかと」

「荒事はさせないって言質は取ったし、やることも大したことじゃねえだろ」

「大したことないのに、荒事の可能性があることが問題なんだよ! というかかなり無茶苦茶な話だったろ!?」

「だったら、ずっとここにいるか? ここの子になるか?」

「……はあ」

 スルマは嘆息する。結局のところは分かっているのだろうが、まあ要件がなあ、とドドメは嘆息の意味を理解する。こっちも嘆息したい気分だ。だが、ここの子になるのはごめんだ。最悪、この家に取り込まれるかもしれない。妖怪は死なないが、希薄になれば他の妖怪と混ざってしまうことはある。ここだと、この家妖怪に、がありそうな話だ。それは避けたいから、出るなら急いだほうがいいと、ドドメは判断する。だから、渡りに船だ。

「しょうがない、ってのも変だが、受け入れるしかないだろう。ここの子にはなりたくないだろ、お互い」

「……はあ」

 再度の嘆息には、渋々さが混ざっていた。


 再度和室に。

「デッキコンセプトありきで、デッキ自体はまだ未完成なのか」

 茂美の言葉に、サティスファクション都は頷く。

「ここから築き上げていく、ワタシたちの<不殺白白>」

「ちょっと何言っているのか分かんないデスネ」

「まあ、デッキコンセプト自体は確立しているから、後は掘りを埋めていくだけだろう」

 茂美はそう言うと、そばにあったサティスファクション都のスマホでシャドウバースを起動する。そしてデッキ構築へと。

「<白銀の矢>と<古きの森の白狼>は、アンリミテッドじゃないと使えないから、自動的にアンリミで作るんだな」

「そうね」

「肝の枚数はどれくらいにするんだ?」

「そうねえ、<不殺白白>のコンセプトとしては、白狼で白銀かエズディアを0コストに。でも、どっちかは素で引かないといけないわね」

「となると、まず白狼は3枚としたらいいンデスカネ?」

「確実にコンボ引く要素だから、それは必須ね。それで、どちらかと言うと白銀の方が汎用性が高いから、こちらを多く、3積みにしたいわね」

「エズディアは何枚デスカネ?」

「ここは1枚ね」

「……かなり思い切りマスネ」

 眉をひそめるニシワタリに、サティスファクション都は明確なロジックを示す。

「相手の体力を上限6にする、というのは重複しても意味がない能力だからね。白狼があればまず、確実に引けるから1枚で問題ないし、むしろ白狼の効果でコスト0にしたいのが本音よ?」

それを聞きつつ、茂美はカードをスワイプしていく。まず7枚。そして聞く。

「他に前提条件は?」

「6点与えないと勝てない点ね。だから、白銀の打点が6は必ず要る。つまり、カードを、白銀入れて6枚無いといけないのよね」

「上手くドローソースを導入したい、ってことだね?」

「となると、手っ取り早いのは<フェアリー>で手札を埋めることデスネ」

「<フェアリー>を増やすなら、<フェアリーサークル>、<フェアリーウィスパラ―>、<茨の森>辺りをいれようか」

 <フェアリーサークル>と<フェアリーウィスパラー>、そして<茨の森>。どれも<フェアリー>を二枚手札に加えるカードだ。これを、どれも3枚積みこむ。これで16枚。

「ドロソなら出した時と倒された時でそれぞれ1枚ドローの<純心の歌い手>も入れたいわね。どうしても白狼は素で引かないといけないし」

「そこは一考の余地があるのではないデスカネ? 例えば<天稟の射手・メーテラ>辺りを組み込むとか。あれも交戦時で1枚ドロー、デスシ、進化時能力と合わせての除去役としても活躍できマスヨ?」

「後攻の手としてはいい一枚だし、候補ね。進化時能力のことを考えると2枚程度が相当かしら」

「じゃあ、<純心の歌い手>は?」

「白狼を素で引かないといけないから、やっぱり欲しいわね。当然の3積み」

 <天稟の射手・メーテラ>と<純心の歌い手>をそれぞれ2枚と3枚。これで21枚だ。

「そもそもだけどさ、都ちゃん」

 テンション高めの周りに対して少し引いている感じだった美咲が、ここに来てサティスファクション都に話しかける。

 対するサティスファクション都は機嫌がいい。そうしてくれたことが嬉しい、という感じである。

 そして問う。

「何かしら、美咲?」

「そもそもだけどさ、まさかこのデッキはエズディアから白銀の矢で倒す一本じゃないよね? 別の勝ち筋とかは?」

 美咲以外の三者の反応は一つであった。

「別の、……勝ち筋?」

「それは、考えてなかったなデスネ……」

「白銀の矢を刺して勝利以外に意味があるのかしら?」

「なんでそんなピーキーデッキ作ろうとしているの!?」

 その言葉に、三者ははてな、と首をかしげ、言いはなつ

「コンセプトデッキはピーキーなのを作らないと、意味がないでしょ?」

「だよな」

「デスネ」

「あたしだけアウェー!?」

 まあまあ、とサティスファクション都は噴き上がりそうな美咲をなだめる。

「とにかく、狙いをぶっこめればいいのよ。これはそういうデッキ! それで問題なし!」

 悪い笑顔でサムズアップするサティスファクション都に、美咲は溜息一つ。

「その為には攻撃以外で除去していきたいデスネ」

「大変自然に話題転換だね」

「除去札だな。メーテラはその枠だが、他となると<カシオペア>は筆頭か」

 話を逸らしつつ、そう言う茂美に、サティスファクション都はいびつな笑顔で返す。

「<カシオペア>、わたし2枚しかないんだけど」

「赤液溜まってるんだから、生成しろ!」

「でも、あと1枚を生成した後って、大体そのカード出てこない?」

「ジンクスいいから早く生成シナサイ」

 しくしくとするサティスファクション都を後目に、茂美は強引に<カシオペア>の3枚目を生成する。

「ああーっ!」

「イイカラ!」

 それはさておき、手札枚数と同じ回数の1点打撃をランダムに、という能力の<カシオペア>3枚を組み入れて、デッキ枚数は24。

「他の除去手段は?」

「美咲、どういうのがあるか、分かってるかしら」

 むくれていた美咲に、サティスファクション都が質問。美咲はむくれつつ答える

「えーと、スペルだと<対空射撃>、<森荒らしへの報い>、<バーストショット>、<森の意志>。フォロワーだと<インセクトキング>とかかな?」

「有力なのはその辺りね。とりあえず、<対空射撃>と<森荒らしへの報い>は採用!」

「枚数は?」

「前者3、後者2」

「はいはい」

 これで29枚。

「<バーストショット>は入れないんデスカ? 上手く<フェアリー>を4体潰してたら、エンハンス10で顔に6点デスガ」

「既に忘れておいでかしら、ニシワタリ?」

「ナニッ!」

「言ったはずよ、このデッキはエズディアからの白銀で決着をつけるデッキと! そこに顔をちまちま六回当てるものなんて不要!」

「ヌ、ヌゥー!」

「という茶番はこれくらいにして、バーショ、4コストでランダム1点4回は悪くないけど、<カシオペア>があるからそこまで必要ではないわね。それと同じ意味で、<カシオペア>と同能力の<森の意志>も除外しましょうか。6枚もあって役立つ! って訳でもないからね」

「確かに、もうちょっと多様性が無いと厳しいかもな」

「多様性! お為ごかしじゃないいい言葉いうわね、城。という事で美咲」

「何?」

 また問いかけが来たか、と若干険をもって対処しようとする美咲に、サティスファクション都はそれを無視して問う。

「このデッキに他の多様性を入れるとしたら、何がいいかしら?」

「多様性って色々あるから多様性でしょ? その中からどう絞ったらいいの?」

 美咲のもっともな言葉に、サティスファクション都は答える。

「メインの決め技と除去が入っている。というのが今の状態ね。で、このデッキは基本的に9ターンから11ターンで勝負を決めるタイプ。一般的にコントロールと言われるデッキね。となると、決め手までターンを稼ぐ必要がある。となると?」

 問いに対して、美咲は唸る。むぅー、むぅーとしばらく唸る。そして、おずおずとこれは、と言うのを口にする。

「守護、かな? リーダーへのダメージを出来るだけダメージがいかないようにして、9ターンまで耐える。これが重要なんじゃない、の?」

「その発想、リーダーへのダメージを抑えるというのが出てきたから、点数としては60点はあげられるわね」

「残り40点は?」

 茂美の質問に、サティスファクション都は明確に答える。

「当然、回復よ。守護と回復要素を入れて、耐える。これね」

「そうなると……、<クリスタリア・エリン>は守護と回復持ちだから、いれたいところだな」

「エンハンスで進化権を回復することも出来るから、優秀な一枚ね。3枚よ」

 これで32枚。

「守護なら、<煌刃の戦士・ベイル>や<エンシェントエルフ>辺りが優秀デスネ」

「回復なら<エルフクイーン>か<フェアリービースト>くらいか」

「残り八枚だから、考え所だけど、ここは勘でいくわ。<エンシェントエルフ>3枚と<エルフクイーン>と<フェアリービースト>1枚ずつ!」

 37枚になった。

「というか勘に手を出すと後が辛いデスヨ?」

「後は後! 今は作り上げることが重要なのよ!」

「それには異論はありマセンガ。で、残り3枚は何入れます?」

「コストのバランスが悪いから、2コスト辺りをもうちょい拡充だな」

「なら、<インセクトキング>を積みましょうか。小回りの利く除去札だし」

 <インセクトキング>を3枚入れ、デッキは40枚。完成した。


 と、同時だった。

 アラームらしいけたたましい音が突如、和室を揺るがした。

「な、なんだ!?」

「むっ! 警報ね!」

「どこの!」

「未来見の水晶の本物がある場所の、よ」

「ツカ、警報なんてあったんデスナ」

「最近何かと物騒だしね。ニシワタリとか、ニシワタリとか」

「その件はもう不問の約束デショウ!」

「いや、そもそもここでボケあっている場合なのか?」

 茂美の指摘に、サティスファクション都はにこやかに答える。

「まずいわね」


 スルマとドドメ、そしてスルマの背中に担がれているアンロはそれを見ていた。未来見の水晶である。特段普通の水晶との差はない。出ている妖気も、偽物だったそれより格段の差はない。しかし、警報が鳴ったことからも、これが重要なものであることは間違いなさそうである。

 アンロは呟く。

「これが、本物の未来見の水晶……」

「なのか? 違いが全然分からん。また間違いだったら、ことなんだが」

「確かにこれですよ。微細な差ですが、特有の妖気を感じます」

 アンロの確信を、一応信じるスルマとドドメ。

「なら、盗ってとんずらだ。派手に音が鳴ったから、すぐにでもやつらがやってくるぞ」

 そう言うと、スルマたちは、盗るものを盗って、すぐにその場所から立ち去ろうとする。

 そこに。

「トイウカ、どうして奴らが脱獄できてマスカ!?」

「それはちょっと分かんないわね。だから教えてもらえるかしら? どうやって脱獄して、更にこの場所を知ったのか」

 ニシワタリとサティスファクション都が道をふさぐように立ちはだかっていた。

「答えるとお思いかい?」

 ドドメの台詞に、サティスファクション都は答える。

「思ってないわね。まあ、誰かお仲間がいるんでしょう。その気配はちょっと前からあるしね」

「えっ!? そういうことは早く言ってくれマセンカネ! どこに!?」

「うーん、非常に答えにくいんだけど」

 言い渋るサティスファクション都に、ニシワタリが食って掛かる。

「あんまりボケてる場合じゃないデスヨ! どこデス!?」

「下」

 と答えると同時に、床にぽっかり穴が開く。

「え?」

 重力に引かれ、サティスファクション都とニシワタリは下へと落ちていった。

 そして穴が閉じると同時に、一者が床から姿を現す。黒い影のような者、おそらく妖怪だろう。

 その妖怪が言う。

「とりあえず閉じ込めた。とりあえず時間は稼げる。とりあえず逃げるぞ」

「あいよ」

 スルマがそう言うのを皮切りに、妖怪四者は妖怪屋敷から逃げ出していった。


「さて、上手くいくかしらね」

 サティスファクション都はそう独り言ちる。それを聞きとがめるのは、この落とし穴から這い出ようとするニシワタリだ。

「ぼけっとしている暇はないデショウガ、サティスファクション!」

「あいあい。というか、いつものようにシュパッと逃げられないの?」

「出来ない状態だからこうやってもがいてるんデショウガ! 早く高く持ち上げて!」

「あいあい」

 さて、本当に、上手くいくかしら、ね。とサティスファクション都は心の中で再度呟いた。

そろそろこの話も店じまいとしないと、ですが終わるかなあ。想定は出来てるんで、そこに上手く落とし込みたいところ。まあ、まだ続きはします。

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