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第22枚 新カードパック<時空転生>について 後編

 ここはとある街の閑静な住宅街。その外れも外れの、閑静というには些か閑静過ぎる一軒家である妖怪屋敷に、二体の妖怪と二人の人間がいた。そのうちの一体、サティスファクション都は、馬鹿でかいカップうどんを一心不乱に食している。

「ズズズーッ! ズズズーッ!」

「というか、なんであんなに勢いよく食べているんだ? 君たち妖怪はそんなに食事必要ないって覚えているが?」

 相当のは人間の方の一人、城茂美。退魔の剣を使う退魔師の家系の者だ。それが妖怪と昵懇、というのは些か体裁が悪いのでは、と妖怪の方であり、今何も食べていない方のニシワタリは思っている。しかし、そういうものは茂美からは感じられないので、案外その辺もずうずうになっているのだろうか、とも、その妖怪の使いっぱである銀髪の妖怪、ニシワタリは思う。

 さておき、ニシワタリは茂美の問いに答える。

「ほとんど食べなくても、妖力がある場所にいれば、それは確かに問題ありマセン。しかし」

「しかし?」

「食べられるなら美味しいもの食べたいじゃないデスカ」

「……理屈は分かる。分かるが、何か釈然としない」

「あのカップうどん、そんなに美味しいのかな?」

 そう問うのはもう一人の人間である、犬飼美咲。基本的に単なる凡人である。その凡人が何故こんなに妖怪である自分達と付き合えているのか、ニシワタリにはそこに大きな疑問を持っている。何かは無いのは間違いないが、では何故?

 さておき、ニシワタリは美咲の問いに答える。

「偶にはジャンクな物も食べたいじゃないデスカ」

「成程ねー」

「それもちょっと釈然としないんだが……」

「それはいいんデスヨ」

 と、ニシワタリが切り出す。

「シャドウバース新カードパック<時空転生>のカード確認。早速再開しマショウ」

 そう言って、ニシワタリはホワイトボードの近くに移動した。


 ホワイトボードを一通り確認したニシワタリは「ふむ、成程」と独りごちて、それから言った。

「次は<ネクロマンサー>の番のようデスネ。それではいってみマショウ」

 すらすらと、ニシワタリはホワイトボードに記帳していく。そして言う。

「まず、レジェンドは<冥守の長・アイシャ>デショウカ。もう一つのレジェンドに比べて、これは分かりやすいフィニッシャーデスネ」

 そのステータスから書いていく。5コストで攻撃5の体力4。進化後も同じステータス。

「ステータスが変わらないということは、能力的に何かあるってことだな」

「ご明察デスネ。この<冥守の長・アイシャ>はまず突進持ち。それから進化後に2回攻撃出来マス」

「それだけだといい除去役程度だよね。フィニッシャーというには弱い気がする」

「そうデスネ。デスガ、ここからがこのフォロワーがフィニッシャーたる所以デス」

 そう言うと、板書の続きを始める。

 ファンファーレ能力。ネクロマンス10で進化する。且つ、エンハンス10で疾走を持つ。

「成程」

「成程」

 二人が成程しか言えないレベルで、見事なフィニッシャー感がそこにはあった。

「この二つのファンファーレ能力で10PP帯で一気に10点飛ばせるのがこのフォロワーをフィニッシャーと目す理由デスネ」

「10PP帯辺りまでなら墓地10は余裕で貯まっている、いやそうでもないか?」

 茂美の言葉に、美咲がはてな? と問う。

「どうして? わりと貯まってそうだけど」

「今の所、ネクロというとヘクターネクロかネフティスネクロかって環境だ。どちらにしても、そこに組み込むには一考の余地があるんじゃないか?」

「そうデスネ」

 とニシワタリは受ける。

「ヘクターネクロの場合は、ヘクターを出すだけでネクロマンスをかなり消費しマスシ、ネフティスネクロでは手札にない場合はネフティスの効果で場に出て潰されてしまう場合がありマス。どっちにしても、単純に既存のデッキに組み込む訳にはいかないデショウ。その辺りをどう解決するか、が肝になってきマスネ」

 デハ次、と言って、ニシワタリは板書する。

 <死竜の使い手>と書かれた。

「このフォロワーはコスト8の攻2の体2。進化後も4の4デスネ」

「ステータスがコストに見合ってない、というのは当然能力持ちだってことなんだね?」

「美咲にしてはご明察デスネ。そうデス。このフォロワーには<リアニメイト>という能力があります」

「<リアニメイト>、って初耳だね」

「デショウネ。今回からネクロに追加された能力のことです。それの対になる<葬送>も含めてさっくりと解説しマショウ」

「お願いします」

「といっても、それほど複雑な手続きではありマセン。その能力持ちがそれ発動して、手札カードを墓地に送るのが<葬送>デス。そして、フォロワーを復活させるのが<リアニメイト>デス。これはざっくりした説明ナノデ、細かい所が違うかもしれマセンガ」

「じゃあ、その<リアニメイト>が10、というのは?」

「ハイ。<リアニメイト>で10コストのフォロワーが出せる、ということデスネ」

 その説明に、美咲は沈思黙考して、しばらくしてから言う。

「……、それ強い?」

「なんデスヨネエ」

「やっぱり疑問形なんだ」

 ニシワタリは頷く。

「実質的に、この<死竜の使い手>では、10コストのフォロワーを出さないとあまりに意味がないんデスヨ。このフォロワーが8コストデスカラ、同じかそれ以下出してもあまり意味がない。ナノデ、今の所このフォロワーから出すなら<ゼウス>復活祭にしかならなそうな雰囲気デスネ」

「なのに挙げたのは?」

「将来性を買ってみた次第デス。案外凄いことが今後できるかも、デスヨ。さて」

 そう言って一区切りすると、ニシワタリは次の行動に移った。

「シルバーかブロンズか、となると、これでしょうかね」

 板書する。<墓場への誘い>。1コストスペル。

「効果は自分フォロワー一体の破壊と、同時に<ゾンビ>を出す、デス」

「自壊用スペルだね。コスト1ってことは、<ソウルコンバージョン>の代替って感じだね」

「フォロワーを出すのはそこそこいいか。自壊させた後で更にフォロワーが、だしな」

「他も面白いですが、ここは地味な自壊スペルを紹介してみマシタ。といっても、今回の<ネクロマンサー>は強烈なレジェンドとまだ使い道が未知数なゴールド、そして地味なシルバーとブロンズって感じデスカラネ。新しいフィニッシャーになるレジェンドがどこまでこの地味な感じを覆すか、が肝デショウネ」

 <ネクロマンサーの展望>と書いて、<レジェンド有望だが、それ以外は微妙?>と続けられた。

「デハ、次に進みましょう。<ヴァンパイア>デスネ」


 <ヴァンパイア>とホワイトボードに記載される。

「レジェンドでは<ヴァルプルギスナハト>デスネ」

 ニシワタリはステータスと能力を記載していく。5コスト攻4の体4。進化後は6の6。

 能力はラストワード このバトルの最後まで互いのリーダーはターン終了時にリーダーに1ダメージ。

「ぱっと見では凶悪さというより面倒って感じだけど?」

「分かってねえデスネ。これはこの後のターンに<ヨルムンガンド>を出してぬっころせば、相手には常に場に1点と顔に2点。これは面倒デスヨ! そうでなくてもアグロ採用も十分な領域です。どんな時でも少しでもダメージを取りたいアグロでは積極採用もありデスヨ。それくらい面倒デス!」

「やっぱり面倒判定なんだね」

「面倒判定デス。しかし、<ヨルムンガンド>と絡めれば王貞治ありマスヨ」

「王貞治?」

「王貞治?」

「ワンチャンありますよ、っていうのにそれはねえ。いくらなんでもそんな古いネタは通じないわよー。ズズズーッ!」

「う、うせえやい!」

 微妙に赤面するニシワタリは、強引に次に行く。

「ゴールドデス。<大悪魔の腕>」

 6コストスペル。敵味方含めフォロワー全体3点。復讐状態なら、PPを3回復。

「復讐ならPPを回復する、ってことは実質3コストか」

「そうデスネ。そう考えると、顔に当たらない<デモンストーム>が3コストで、という塩梅デス」

 デスガ、とニシワタリは注意点を述べる。

「あくまで、回復する、なので、最初撃つ時はどうしても6コストかかる、という点には留意しておきたいデスネ。だから復讐状態だったら4PPで撃てた<黙示録>みたいな使い方は出来ないのデス」

「そうなるのか。となると結構微妙な線か」

「場を平らに均して更にフォロワーが置ける、と考えることも出来マスガネ。こちらのフォロワーがいない時とかの隙を上手くカバー出来レバ、結構いけるカト」

 では、と次に進む。

「シルバーかブロンズから一枚、ならシルバーの<ヴァッサゴ>デスネ」

「ステータスは3コスト攻2の体3。進化後は3の4。スタッツ的には進化時能力次第だが」

「進化時能力は自フォロワーを破壊して、それと同名のというかそれを場に出し突進を与える、だね」

 美咲の言葉にニシワタリは頷いて、解説を続ける。

「ぱっと見、ラストワード能力でいいのが少ない<ヴァンパイア>には無駄のある行為に見える自フォロワー破壊デスガ、行動が終わっているフォロワーをもう一度動かすと考えると中々に強力な能力デス。<緋色の剣士>みたいな必殺フォロワーを二回行動とか、<ヨルムンガンド>を二度刺させて効果二倍とか。そう考えると、凶悪までありマス。トイウカ、ちょっとした<ウルズ>デスヨ」

 そこまで言うと、ニシワタリは<ヴァンパイアの展望>と記載して話し出す。

「<ヴァンパイア>はなんだか無茶なようなのに丸い気がするという印象デスネ。強いのはありますけど、これ使える? 使いにくいかも? というか」

「今までが結構無茶なのが多かったから、その反動でそう感じるのかもな。わりと危険なスメルのあるカードもあるが、ワンドリ除去三銃士に比べると落ち着いて見れる」

「で、アグロがってさっき言ってましたけど、アグロが来るのか来ないのかトイウト、来るっぽいデスネ。ローテ用のデッキを新カード無しの段階で適当に組んだ時もそこそこいけマシタシ、ヴァンプの追加カードにちゃんと、3コストながら2の2である疾走持ちとか毎ターン全体攻撃バフアミュレットとかありマスカラネ」

「その辺紹介すればいいのに」

「イヤ、<ヴァッサゴ>もさっき言ったように実質<ウルズ>っていう強みのあるフォロワーデスシ。間違えてないデス」

「分かった分かった! 顔を近づけるな接近すな!」

 かなり顔と顔が近い状態の茂美とニシワタリを見て、美咲はもうちょっとでちゅーだなー。と呑気に考えていた。

 それはさておき。茂美と微妙に距離を取り直してから、ニシワタリは言った。

「次に行きマショウ。<ビショップ>!」


 <ビショップ>と板書される。

「レジェンド枠はこいつが救世主になるか!? な<ヘヴンリーナイト>デスネ」

「だが、このカード単体では7コスト3の7の、コストからすると平凡な守護フォロワーで、それに疾走が付与されるかも、程度だろ」

「デスネ。デスカラ次のゴールドのこれ一枚、である<頂きの教会>が重要になりマス」

 提示された情報を見て、美咲がそれを言う。

「1コストアミュレットで、自フォロワーの攻撃時に、体力が攻撃力の値になる、だね。つまり体力が7な<ヘヴンリーナイト>なら7点疾走として使える、ということ、でいいのかな?」

 そう答えた美咲に、ニシワタリは「その通り」と告げる。

「<ヘヴンリーナイト>の能力がアミュレットがあれば、という点も、運営の、この組み合わせを使っていただきたい! って部屋に押し戻す〇ズクズ様ムーブを強く感じマスネ」

「また古いネタね、ニシワタリ。老化?」

 ズズズーッ! とすすりながら、サティスファクション都がそう言ってくる。眉間にしわを寄せて睨み返すニシワタリ。サティスファクション都はどうということはないと言わんばかりに麺をすすり続ける。

 このままでは遅滞すると見た茂美は、話を振る。

「な、なあニシワタリ君。シルバーかブロンズかの一枚は、どれだ?」

「……そうデスネエ。場合によってはごそっと消滅出来る<清き殲滅>デショウネ」

 5コストスペル。<清き殲滅>。相手フォロワー1体と同じ名前のフォロワー全てを消滅させる。

「フェアリーとか毒蛇とか、その辺をまとめてまるっと除去出来るのは美味しいデス。そのコスト帯に対してそれ使っていいのかという気もしマスガ、残しておくとまずい時には重宝しそうデス」

「他の単体除去よりは有用度が少し高い、程度と思っておけばいいんだろうな」

「デスネ」

 デハ、とニシワタリは<ビショップの展望>と書いて話しだす。

「正直、ここまで厳しいシーズンが始まるトハ。<ビショップ>受難の時代の幕開けデス」

「いや、大体予測ついてたろ。前にやった、ローテ落ちカード見てからの展望でもここまで削れるか、みたいなこと言ってたんだし」

「デシタッケ? まあ、それはいいのデスヨ。今回重要なのは、その穴がほぼ埋まらなかったという事実デス」

「全体除去用のジャンヌはまだいいが、アミュレット系は惨憺たるというレベルだな」

「新しいのも酷くはないんですが、でも、返す返すも鳥さんたちは有能デシタネ……」

「後、獣姫な」

「デスネ……。と逃避しても仕方ありマセン。今ある手筋でどう戦うかを考えるべきなのデス」

「となると、イージスか」

「イージスデスネ」

「結論が音速過ぎるわよー。ズズズーッ!」

「しょうがないデショウ! <ヘヴンリーナイト>を疾走7点以外にいい展望がぱっと見無いんデスカラ!」

「そこをどうにかするのがデッキ構築の妙でしょ? 悲観していてはどうしようもないわよ?」

 と言うと、サティスファクション都はすするのを止め、今度は汁を飲み始めた。

「んぐぬぐ」

「一方的に言ってカラニー。まあいいデス。次行きマショウ。<ニュートラル>デス」

「え? まだ一つ無い?」

 美咲の眼前には確かにもう一つ、クラスがある。だが、ニシワタリは言う。

「それは一旦置いておきマス。まず<ニュートラル>からデス」


 <ニュートラル>と板書される。

「えーと、<ネメシス>は?」

「後!」

 力強い言葉に後押しされ、美咲は口を噤む。色々気になるが、後でやるというなら待つべきだろうと判断してのことだった。

 力強く<ニュートラル>の話を始めるニシワタリ。

「レジェンド枠は、このカードパックの顔、<クロノス>だと思うじゃないデスカ?」

「で、<バイヴカハ>はどういう判定なんだ?」

「茶番すらキャンセルさせられると対処に困るんデスガ」

 そう言いつつも、ニシワタリは<バイヴカハ>の能力などを書いていく。

 それを読む、美咲。

「3コストの攻2の体2。進化後は標準の伸びで、……えーと?」

「若干複雑に見えマスガ、要はエンハンス9で他のも全部出来るだけデス」

「つまり?」

「つまり、エンハンス6までならフォロワー一括バフ、9なら一括バフに高性能スペル<バイヴカハの福音>も付いてくる、というお得な一枚デス」

 言葉にした<バイヴカハの福音>の能力が、ホワイトボードに書かれる。

 3コストで、ランダムな自分フォロワーに攻+3の体+3。カードを3枚引く。自リーダー3回復。

「これ三つ同時に?」

「そうデスネ。だからこそ高性能スペルと評したのデス。実際、上手くすると切り札感のあるけど博打気味な<クロノス>より、安定性のこちらの方が当たりだとする人も多いデショウネ」

 デハ、次。とニシワタリは進めていく。

「ゴールドは皆がこれを使えていいのか!? というカードデス。その名も<堕天>」

「4コストスペルで、……変身効果!」

 驚く美咲に、頷くニシワタリ。

「そうデス。これで相手のアミュレットを潰すのもやりやすくなりマスシ、変身が通る無効効果にも効果があります」

「なるのが<堕天使>、か。3コスト攻1の体3とはいえ、突進とドレイン持ちだから、場合によっては結構邪魔になるかもな」

「それデモ、かなり除去というか排除として汎用性があるかと思いマス。除去に困ったら入れておくのもそれなりにありかもデスネ」

 次。とニシワタリは進める。

「シルバーかブロンズか枠は、<ニュートラル>なのに<ニュートラル>絶対殺すウーマンの<ホーリーエンジェル・アルテア>デスネ」

「<ニュートラル>を潰すのに血道をあげているのは他にもいたが、こいつは、本当に殺すウーマンだな」

「5コストで攻4の体4で、進化後も標準。で、能力がー、交戦時に相手が<ニュートラル>なら4点!」

「自身の殴りも入れれば進化しなくても8点までとれるというのは大きいな」

「ついでに、相手フォロワー1体を<ニュートラル>に指定するトイウ、そこまでしても<ニュートラル>絶対殺すウーマンデスヨ。ここまで強い殺意は流石に味わったことがありマセン。偏執の域デス」

「そこまで言ってやるな。それより、<ニュートラル>はどんな感じの展望なんだ?」

 ニシワタリは<ニュートラルの展望>と書きながら、話を引き継ぐ。

「って言いマシテモ、<ニュートラル>はクラスが無いので、ちょっと扱いが違ってきますね。でも、<クロノス>の高いドロー力はデッキ破壊あるいは単純にドローソースの使い方が出来マスシ、<バイヴカハ>は高性能バフとして機能しそうで、この二枚のどちらを評価するか、で今回の<ニュートラル>の評価は変わってきそうだな、という感じデスネ」

 <さあ、<クロノス>と<バイヴカハ>のどちら?> と板書される。

「後、細かい所では除去に二種入ったので、その扱いが人に寄るデショウネ。そういう意味では、かなり使われ方が千差万別になりそうな弾になったかと思いマス」

 そこまで言うと、ニシワタリは一呼吸おいて、言った。

「こんな所でショウカネ」


「んぐぬぐ……、ぷはあ」

 サティスファクション都はひたすらでかいカップうどんをスープも含めて完食していた。そして、場を見やる。

「こんな所、じゃなくない?」

 美咲が、珍しく人に、妖怪だが、詰めていた。さっきの、置いておくとされた話の事だろう、とサティスファクション都は見当をつける。あれだけ爆食していたのに、そっちも疎かではない、というだけで妖怪なのも伊達ではないという感じである。貫禄の出し方に問題はあるにはあるが。

「うるさい!」

 サティスファクション都があらぬ方向を睨んで怒鳴る。その声に、周りの三者はびくり! として動かなくなる。

 状況を見て、これはタイミングまずかったな、と思うサティスファクション都。すぐにフォローに入る。

「いや、あなたたちがうるさいって訳じゃないのよ? ちょっと彼方からの声が変なこと言うから」

「彼方からの声ってなんだよ」

「彼方からの声は、彼方からの声よ。そうとしか言いようがないの。あー、とにかく、あなたたちが喧々諤々ならそれはそれで面白い見世物だからもっとやって?」

「見世物って言われてやるバカはいないデスヨ」

 そうだそうだ、と面々は口にする。それから、美咲がニシワタリに対して口を開いた。

「でも、さっきのはどういうことだったの? 新しいクラスが入るって話は聞いていたけど、<ネメシス>ってそれでしょ?」

「それについては、ワタクシからは言えないのデス」

「なんで?」

 ニシワタリが真実を言う。

「それはあたしがやるから先にやるな、って言われているんですよ、サティスファクションに」

「そう」

 サティスファクション都は深く、鷹揚に、というか偉そうに頷いて、のたまう。

「折角の新クラスの話を、ここで使いっぱ風情にさせるわけにはいかないわ。今、あたしがしましょう!」

 そう宣言した。


 その頃の牢の中。

 ぐおおおおおお。

 捕まっている男妖怪は寝ている。

 そこに、忍び寄る影が。

 ぐおおおおおお。

 男はそんなことどうでもいいとばかりに寝ている。

 影が、忍び寄る。

もっと早くする予定でしたが、まあ完成したので問題ない。次はネメシスについて何とかまとめたいですが、とりあえずプレイしてみないことには、なのでちょっとかかりそうな。まあ、なるようにならあね!

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