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第20枚 <ローテーション>ルールと各リーダーの展望について

「おい」

「んあ?」

 ここはある県のとある住宅街のとある外れのとある妖怪屋敷である。先の声の主に、牢の中で目覚めた男(一応妖怪)が視線を向ける。

 そして目を閉じる。

「おい、それで済まされると思っているんデスカネ」

「ぐおーぐおー」

「白々しいいびきはやめナサイ」

 また眼を開いて、男はタハハ、と笑う。

「じゃあどうすればいいんだい? 勝手に寝ているところにやってきて、声をかけてきて。主に色々勘繰られたらどうするんだ?」

「頼み事したのはあんたの方デスヨ」

 声の主の言葉に、男は目をすぼめる。

「それはまた。それこそ本当にいいのかい? 鬼女に対する背信行為じゃないかい?」

 少し揶揄する男の言葉に、声の主は嘆息。

「あの大妖怪がこんな程度で揺らぐものでもありマセン。まあ、別の意味で叱られるかもしれマセンガネ」

「それでもやってくれるんだから、姐さんはいい人だよ」

「これで貸し借りはチャラデスカラネ。履き違えないヨウニ」

 そう言うと、声の主であるニシワタリは、牢の中に何かを投げ込んだ。そして「デハ」と言うと、牢から歩き去っていった。

 男は呟く。

「これだけ都合がいいと、むしろ罠な気がするんだよなあ」

 その手に、スマートフォンがあった。


「ということで一大事な訳よ」

 とある県の以下略の主、サティスファクション都がそうのたまう。

 主がゲーム部屋としている和室にいる周りの反応は様々だった。ゲームに熱中する者、ゲームに熱中する者、ゲームに熱中する者に熱中する者。

 つまり、皆何かに首ったけだった。

「と・い・う・こ・と・で!」

 スタッカートを効果的に使い、サティスファクション都は注目を得ようとするが、周囲の者はさっぱり気を払わない。

 なので、その中でゲームでに熱中しては実際いない者、ポニテのきらめく城茂美の首根っこをひっつかむ。

「うおぅ!」

「ということで! 一大事! な訳よ!」

「何がなんだようるさいなあ。こっちはゲームに集中してたんだけど?」

「違うでしょう、城。あなたは美咲に集中してたんでしょう?」

 一拍。

「……何が一大事なんだ?」

「そうそう、それでいいのよ。この際だから皆に周知するわよ?」

 ハイハイ、と柏手をして注目を集めようとするサティスファクション都。そこに茂美が問いかける。

「前に言ってた、シャドバの、なんだ、<ローテーション>? のルールとかの話か?」

「ひたすらに察しがいいわね、城。脳みそが筋肉でできているという人間にあるまじき生態にしては」

「誰が脳筋だ!」

「私褒めたつもりなんだけど?」

「それで褒めになるとか思うから君は駄目な妖怪なんだよ!」

「誰が駄目妖怪よ! そういうのは、こっちに無断でちょっとやってはいけないことをしちゃう、ニシワタリみたいなのを言うのよ!」

「なんでそこでワタクシに弾が飛んでくるんデスカネエ! そもそもやってはいけないことなんてしてマセンヨ!」

 くわっ、とサティスファクション都の方を向いて叫ぶニシワタリ。ということは、とサティスファクション都は確認する。

「対戦の方は終わったの?」

「ハイ。勝ちマシタ」

 そういうのはニシワタリ。

「負けたー」

 そういうのは美咲。つまり、いつもの面々だ。

「なら、丁度良いわね。という事で、一大事な訳よ!」

「それはもう何度も聞いたから本題行けよ」

 茂美にツッコミを無視して、サティスファクション都は溜めに溜め、そして言った。

「シャドバの次環境の肝。それは<ローテーションルール>よ!」


「そもそも論なんだが、なんだ<ローテーション>って」

 茂美の問いに、サティスファクション都は立て板に水とばかりに朗々と答える。

「<ローテーション>! それは『シャドウバースの』ランクマッチの新たな形! 今度出る新カードパック<時空転生クロノジェネシス>から数えて5つ分前までのカードパックのカードで戦うルール! つまり、<スタンダードパック>と<ダークネスエボルブ>の二つのカードパックが脱落する!」

「えー!? せっかく集めたのに!?」

 今まで使えたものがいきなり使えない、と言われ、当然の反応をする美咲。サティスファクション都はフォローする。

「とはいえど、そんな簡単にそれらを無し! と言う訳ではないわ。枚数制限や禁止カードがあるらしいけれど、全てのパックが使える<アンリミテッド>ルールもあるから、ひとまず安心しなさい?」

「ということは、ランクマッチは<ローテーション>ルールと<アンリミテッド>ルールの二つがあるということなのかな? だとするとランクマッチのポイントとかはどうなるの?」

 再び問う美咲にサティスファクション都は答える。

「それはアナウンスだと今のポイントとランクをコピーして、どちらも同じ状態から始まるとのこと。今後はどっちかだけ上げるのか、両方とも進めるのかで好みが分かれそうね?」

「どっちも、というのは大変そうだね」

「そうね。デッキをローテ用とアンリミ用で使い分けないといけないしね。その辺の応用力も試されるというところかしら。と」

 サティスファクション都はそう言うと、美咲に尋ねた。

「美咲ってランクマッチしてたかしら? うちで皆とルームマッチはしていることが多いけど」

「そうだね、ランクマッチはそこまでやってないよ。一応B2ランクにはなっているけど」

「僕はA帯を行ったり来たり」

「MASTERデスガ何か」

「千差万別って状態な訳ね。ならここは美咲に話を合わせる為に、軽くどういうカードが<ローテーション>ルールで使えなくなるか、デッキの傾向はどうなるか。その辺の話していきましょうか」


 サティスファクション都が指を鳴らすと、当然のようにホワイトボードがにょきりと現れた。あまりにお馴染みの光景なので、誰もおかしいと思わなくなっている。慣れである。

 それはさておき、サティスファクション都がとくとくと語りだす。

「こういうのはぱぱっとまとめるのが肝要ね? ということで<エルフ>の話から行くわよ?」

 ホワイトボードにサティスファクション都は<エルフ>と書いて語りだす。

「<エルフ>は全体的に頼りになるカードがごそっと抜ける感じね」

「と言っても、それは他のリーダーもそうデショウ?」

 ニシワタリの指摘に「そうね」とサティスファクション都は答える。それから「でも」と。

「OTK、つまりワンターンキルの要である<リノセウス>がなくるから、かなり影響があるのよね」

 サティスファクション都は語りながら、ホワイトボードに板書していく。<リノセウス>と書いたところを色の違うペンで囲う。

「<エルフ>では貴重な疾走持ちで、それに他のクラスでも例のない変わった攻撃力ブースト持ち。フィニッシャーとして最初期から今まで猛威を振い続けていただけに、これだけでエルフの今後のデッキはかなりの変化を求められるでしょうね。ぶっちゃけOTK退潮確定だわ」

「それが駄目なら、どういうデッキがいいんだ?」

「今ではまだ新弾カードが全部お披露目されてないから一概には言えないけど、<ビューティー&ビースト>を主体に据えるニュートラルエルフがかなり使われるんじゃないかと思うわね」

「その心は?」

「今のところのデッキ構築に絡む<ニュートラル>のカードがほぼ残るし、<エルフ>で必須のカードも余裕で残るのばかりだからね。特に変えなくても十分強いから、<時空転生>環境初期はわりと猛威を振るうかもね」

 <ニュートラルエルフ来たる>と板書しながら言うと、サティスファクション都は「次!」と話題を転換する。


 <ロイヤル>と板書して、サティスファクション都は言う。

「<ロイヤル>は、どちらかというとミッドレンジからコントロール、中盤から終盤を狙うデッキに影響のあるカードが軒並み抜けるのが痛いわね」

「どういうのが落ちちゃうの?」

 問うのは美咲。サティスファクション都はうんうんと頷き答える。

「守備面で<歴戦のランサー>、<ホワイトパラディン>、<フロントガードジェネラル>。攻撃面で<アルビダの号令>、<レオニダス>辺り」

「へえ、これまた軒並みだね」

 美咲が驚きの声をあげる。そこに。

「デスガ」

 とニシワタリが割って入る。

「<レオニダス>はぶっちゃけネタデショ?」

「ああん?」

 サティスファクション都とニシワタリの間に一気に不穏な空気が流れる。癖が強いのが好きなサティスファクション都の逆鱗に触ったのである。その間にいる茂美は堪ったものではないと、言葉を出そうとする。ちなみに美咲は特に気にした風ではない。大物である。

 さておき、茂美が言う。

「まあ落ち着けよ。で、<ロイヤル>の<ローテーション>でのデッキ傾向は?」

 一瞬、茂美にサティスファクション都とニシワタリの視線が集中する。しかし、すぐにニシワタリはその視線を逸らした。対して、視線そのままにサティスファクション都は言う。

「……そうねえ。さっき言ったことと若干矛盾があるけど、ミッドレンジロイヤルはやれるかもね」

「さっき厳しくなるって言っていたような気がするが?」

「既存の形では厳しいけど、作り方が変わればまだいけると言えるのよ。守り気味に戦ってアルベール進化しての10点圏内を、というのをより攻撃的に組み直せば、わりとやれるんじゃないかしらね」

「成程な」

 茂美が納得すると、サティスファクション都は<ミッドレンジが良くも悪くも>と板書しながら続ける。

「次は<ウィッチ>ね」


 <ウィッチ>と板書される。

「<ウィッチ>は一番分かりやすく変化があるわね」

「というと?」

「簡単な話よ。<次元の超越>が使えなくなるのよ」

「ということは、超越ウィッチが<ローテーション>では事実上なくなる訳か」

 茂美の理解に、サティスファクション都は「そう」と答える。

「他のタイプのデッキは少しは影響があるにしてもそこまで大きく変わらないわ。他だとレヴィ爺さんがいなくなるのが、わりと一番大きな影響かもね」

「トハイエ、<次元の超越>がなくなると振るわなくなるカードも多そうデスナ」

「よねえ、<ギガントキマイラ>辺りは超越と組み合わせて強みが出しやすかったし、そもそもの問題としてスペルブーストを回す意味合いが結構変わってきそうよね」

「スペルブーストデッキというノハ、超越あっての部分が多かったデスシネ」

「そういうこと」とサティスファクション都は言って話を続ける。

「<ローテーション>ルールのデッキ、となるとこれは結構多岐にわたるでしょうね。スペルブーストを回すタイプは、だけどドロシーウィッチや秘術ウィッチは普通にいる状況でしょうね」

「新たに、マナリアシリーズがありマスシ、ウィッチは確実にこれ、というのはないかもしれないデスネ」

「そうね。では次、<ドラゴン>!」

 サティスファクション都は<さらば超越>と板書し、続いて<ドラゴン>と板書する。


「<ドラゴン>のローテによる影響は、主にフィニッシャー関連ね」

「<ダークドラグーン・フォルテ>と<ジェネシスドラゴン>がいなくなりマスカラネ」

「どっちも〆に使うカードだったよね?」

 美咲の問いに、サティスファクション都は「詳しくなったわねえ」と言いながら頷く。

「特に<ダークドラグーン・フォルテ>は元々コストのわりにかなり即応性の高いフィニッシャーだったから、影響は大きいかもね」

「地味にOTK用の<荒牙の竜少女>や、毎ターン疾走フォロワーを設置できる<連なる咆哮>も脱落組デス」

「基本的に即座に相手を倒すタイプのカードが軒並み減ったのが痛いわね。その辺の拡充が、<時空転生>で望まれるところだけど、今のところは、って感じね」

「既存のデッキの方には影響はあるのか?」

 茂美が問うのを、サティスファクション都は答える。

「即応性の高いフィニッシャーは減ったけど、重量級を出してじっくり潰すランプドラゴンの動きには影響は少ないわね。依然として、ドラゴンはランプ安定ね」

「ランプはレア度が一々高いけどな」

「その辺はどうしようもないから、地道にカード増やしなさい」

 さて、とサティスファクション都は一旦話を切り、<ランプ!>と板書いて、それから言葉を発した。

「続いて、<ネクロマンサー>!」

 その言葉が板書される。


「<ネクロマンサー>は大別して二つの影響があるわね。一つは、<骸の王>がいなくなること」

「<骸の王>、というと、場に4枚カードが出ていたら、それを破壊するけど0コストになるやつだったな」

 茂美の答えに、サティスファクション都は頷く。

「<星神の伝説>環境で、骸ネクロはちょっとの間ガチデッキになったけど、その栄華もここまで。短い夢だったわね」

「もう一つは?」

「アグロネクロの要のカードが結構抜けちゃうのよね。締めの<ケルベロス>とか<ファントムハウル>とか、それに1、2、3コストの使いやすいフォロワー群とか」

「他デハ、<デュエリスト・モルディカイ>とか<死の祝福>とかのネクロの強みも無くなりマスネ」

「そっちの方が大きくないかな?」

 美咲の疑問符に、サティスファクション都は「まあね」と言いつつ話を進める。

「アグロネクロは出来なくなるし、骸ネクロも出来なくなるし、だけど、まだネフティスネクロやヘクターネクロとかのミッドレンジからコントロールに向かうデッキは十分に優勢よ」

「その辺が今後も出てくる、か」

「それ以外がどうなるかは、今の所で出ている新能力の<葬送>とか<リアニメイト>とか次第ね」

 そこまで言うと<ネフティスとヘクターはやっぱ強い>と板書して、「じゃあ次」とサティスファクション都は話題を変える。

「<ヴァンパイア>について、行くわよ?」


 <ヴァンパイア>と板書される。

「<ヴァンパイア>は、初手から一気に畳みかけるアグロヴァンプや、粘り強く戦うコントロールヴァンプに強い影響があるわね。アグロヴァンプの要である低コストカード、例えば<ブラッドウルフ>とかがいなくなるし、コントロールヴァンプは代名詞である<セクシーヴァンパイア>がなくなるからね」

「他にも、所謂バットシナジーの要<吸血姫・ヴァンピィ>や、バット関係のカードも軒並み脱落しマスシ、復讐時に活躍した<ディアボリックドレイン>と<黙示録>も脱落デス」

「ぱっと聞くだけで相当打撃があるのが分かるな」

 茂美の言葉に、サティスファクション都は頷く。

「でも、最近の復讐狙いのヴァンプデッキなら、影響はそこまで大きくはないかもね。あっちは主要なカードが最近のカードパックなのが多いから」

「ある意味デハ、今回の<ローテーション>はヴァンプデッキにおいては過去との決別、という形になるのかも、デスナ」

 <アグロ辛い>と板書して、サティスファクション都は言う。

「……次!」


 <ビショップ>と板書される。

「<ビショップ>だけど、これは相当厳しいのよね」

 サティスファクション都の顔も言葉と同様に険しいものだ。

「そんなに?」

 美咲の言葉に、サティスファクション都はとても深く頷く。

「疾走ビショップの要の鳥アミュレットにガルラ、エイラビショップのド中心<エイラの祈祷>、<邪教の権化>デッキに、いやならずとも入れておきたいレベルの汎用性の<詠唱:獣姫の呼び声>、ビショップの代名詞の一つ<テミスの審判>、特殊勝利カード<封じられし熾天使>。とにかく、今までの<ビショップ>のごっそり勝ち筋がなくなる、まさに悪夢の<ローテーション>!」

「トイウカ、<スタンダードパック>と<ダークネスエボルブ>に頼りになるカード多すぎ問題デスネ」

「もうちょっと最近のカードを煮詰めて、考えていかないとね」

 美咲が質問する。

「で、どういうデッキで戦うことになりそうなのかな?」

「イージスビショップがまず挙げられるでしょうね」

「イージス強いもんね」

「ただ、そこまでに処理が上手くいかないと出す間もなくぬっころされる可能性が高いのよね。今まではテミスがあったから、盤面を一気にクリアに出来て良かったんだけど、それが無いから相当場をコントロール出来るデッキ練らないと厳しいわね」

 そこでサティスファクション都は一息。面々で囲んだちゃぶ台の上の湯飲みの中身を一気飲みして、言った。

「まあ、大体こんな感じね!」


「エー簡単にまとめマスト、<エルフ>はOTKがおじゃん。<ロイヤル>はミッドレンジを再考する必要あり。<ウィッチ>はさらば超越。<ドラゴン>はランプ安定。<ネクロマンサー>はまだ強いのかよヘクター。<ヴァンパイア>は復讐でいいじゃん。<ビショップ>はえーと、ご愁傷様。でいいデショウカネ」

「<ビショップ>のとこが酷い」

「そりゃあね。<ビショップ>はかなり根本から考えないとだからね。まだ追加カードが全部分かってないから、もしかしたらぶっ壊れが入ってくる可能性はあるんだけれど」

 さて、とサティスファクション都は言う。

「そんな訳で、軽く語ってみた訳だけど、どうだった?」

「うーん」と美咲は悩みのポーズ。そしてその姿勢のまま、呟いた。

「これはこれで、新しいデッキ考えるのが楽しい、かな?」

 おー。と妖怪二体が感嘆の声を上げる。

「大変模範解答デスネ!」

「凄い模範解答だわ!」

「それ褒めてるの?」

 もちろん! と二体の妖怪はのたまう。

「でも、そういう清い心って最近のあたしには無かったかもねえ」

「デッキ組み直しかよめんどくせえなあとか言ってマシタモノネ」

「そんなべらんめえ口調してないわよ!」

「ツッコムとこそこじゃねえデショ」

「デッキ組み直し面白いわよ!」

「今更ツッコんでも意味ねえデショ」

「さておき!」

 サティスファクション都は情勢不利とみて話を切り替える。

「次の環境で行われる<ローテーション>では、新たな戦略が必要になるわ! ということで今から<ローテーション>でいけそうなデッキ組むわよ!」

「新カード無いのにやってもあんまり意味はない気がしマスガ」

「それでも、ある程度どういうのがいいのか、というのが分かれば違うわよ? じゃあ早速やってみましょうか!」

 そう言うと、サティスファクション都はちゃぶ台の上のノートパソコンで、PC版のシャドウバースを立ち上げた。


 再び牢の前。

「おい」

 しばらく寝呆けていたら、また声がした。牢にいる男は目を開けた。

「なんだい、姐さん。確認か?」

 開いた目に、ニシワタリが映る。そのニシワタリが言った。

「分かっているなら話は早いデスネ。逃げないんデスカ?」

「あるいは、連絡しないのか、だろ? そこんとこを見誤っているなあ」

「どういう意味デスカ」

「別に、深い意味はねえよ。ただ単に、俺から逃げないし、連絡することはねえ、ってこと。大方、このスマホに何か仕込んでるんだろ? でもハズレだな。言ったように連絡はしねえよ」

 嘆息をして、ニシワタリは言う。

「……それならそれで他の手デスヨ」

「あの拷問吏か? 昼は引っ込んで寝ているから、むしろ楽な相手だよ。あれ、やろうと思えば一日中でもやれるタイプだろうに、変に制約つけちゃってまあ」

「別に、やろうと思えばできマスケド?」

「そう? ならそれは無しでお願いしたいね」

 タハハ、と男は笑う。その様子に、ニシワタリは再度嘆息。

「それじゃあ、ワタクシは行きマスヨ。そして出来れば、その後に上の方と連絡を取って欲しい所デスネ」

「善処しません」

 その答えを聞こえないようにして去るニシワタリに、またタハハと男は笑った。

そろそろ新パックです。カードゲームの三大お楽しみの一つ、新パック開封まであと少しです。課金するぞー。

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