第五話 炎の魔石を入手せよ!←強制
始まりの町から山を越えて谷を抜ける事一週間。
勇者一行は、鍛冶と製鉄の街・エンに辿り着いていた。
一行って言っても、俺とミアだけだけどさ。
どんどんヤマから離れてってるぜ!!
「ここは、エンの街です」
仄かに香るデジャブ。
「何か、暑くないか?」
「火山が近いからじゃね?」
門番を通り過ぎて街に入る俺達。
少し悔しそうな顔をしている門番は何なんだろうね。
「へぇ~、ここがエンかぁ~」
活気のある街中。
ミアはどこか呆けた様に辺りを見渡す。
来た事無かったんだね。
旅してるのに(笑)。
で、何でこんな所に来ているのかと言うとだ。
1.魔王は魔界の奥深くに居る。
2.そこに行く為には、四つの魔石が必要だ。
3.炎の魔石がエンにあるらしい。
4.よし行こう!!←今ココ
勿論強制参加である。
何だよ魔石って。何で魔王の所に行くのにそんな面倒臭い事しなきゃなんないのさ。
もういいから、魔王出て来いよ。
何かこう、『世界を滅ぼしてくれるわ!!』的な事言いながら出て来いよ。
魔王なんでしょ? 王様なんでしょ?
「炎の魔石はどこにあるんだろうな?」
大通りを歩きながら、キョロキョロと忙しなく首を動かすミア。
そんなに簡単に手に入ったら、世の中の勇者は苦労しない。
まぁ、普通は情報を集めてだねぇ・・・。
「すいませーん!! 炎の魔石知りませんか~!?」
おぉい!! 勇者大胆過ぎるよ!!
ホラ、露店のオッチャンびっくりしてるって!!
「多分、赤くてキラキラしてると思うんですけど~!?」
見たこと無い魔石を身振り手振りで説明する勇者。
適当に喋ってはいけません。
「炎の魔石? あぁ、知ってるよ」
「本当か!?」
えええぇっ!?
違うでしょ!?
そこはもっとこう、ねぇ?
知りませんよ的な!
噂だけなら的な!
こんなに早く進んじゃっていいの!?
魔王もビックリの早さだよ!!
「確か、長老の家にあるって・・・」
「そうか!! 有り難う!!」
流石勇者。話を進めるのも早ければ打ち切るのも早い。
せめて最後まで聞いてあげようよ。
「と言う訳だ」
「どんな訳ですか?」
「だから、今から長老の家に・・・」
「待て待て待て」
「ん?」
「俺達って、結構な勢いでここに来たよね?」
「ああ。魔王は待ってはくれないからな」
魔石を集める時間がある位だし、結構待ってくれてるんじゃないかと思う。
「疲れたし、まず休憩したいです!」
「む、そうか」
おお! ここに来て、ようやく意思の疎通が!
「だが断る!」
俺の意見は無視されるらしい。
アレですか? 勇者語とか話せないと駄目なんですか?
「でもよ、長老の家ってどこなんだよ」
「探せばいいじゃないか」
人、それをノープランと言う。
「大丈夫だ。何たって長老だからな。この街で一番大きな建物を探せばいいんだ」
「ええぇ・・・」
グイグイと進むミア。
トボトボと着いていく俺。
帰りたい。
「お? あれじゃないか?」
大通りを進む事数十分。ピタリと歩を止めるミア。
視線の先には、確かに大きな建物が。
「よし行こう! たのも~!!」
待てぇっ!!
明らかにおかしい掛け声。入り口の上には金槌の看板。
何から突っ込んだらいいの!?
意気揚々と乗り込んでいくミア。
しばらくして、トボトボと帰ってくる。
「間違いだった・・・」
そりゃそうだろう。
「でも、長老の家は教えてもらったぞ!」
最初から誰かに聞けば良かったと思うのは俺だけだろうか。
「あっちの小さい家だそうだ。あっちに、長老の・・・と言ってたから間違いない!」
グイグイと進むミア。
どうやら、また最後まで話を聞かなかったらしい。
自信に満ちた足取りに不安を感じるのは何でだろう・・・。
「たのも~!」
だから間違ってるってばよ。
「お邪魔しまーす」
先に入ったミアに続いて家に入る。
飛び込んできたのは、散乱した家具に苦しそうに蹲る老人。
「い、イズミ!」
「まさか、本当に道場破りを行うとは・・・しかもこんな短時間に・・・」
お腹にグーされました。
ちょっとした冗談じゃないか・・・。
しかし、何だってこんな事に。
盗賊にでも入られたか?
「お爺さん、大丈夫か!?」
長老? に駆け寄り、抱き起こすミア。
「う、うぅ・・・。火山の中腹にアジトを構える盗賊に入られて・・・がはっ」
えらく説明口調な長老? に、うんうんと頷くミア。
「何か盗られたのか?」
「家宝が・・・」
「炎の魔石だな? よし、私達が取り返して来てやる!」
長老? を横にして、剣を抜くミア。
「この剣に懸けて!」
おお、カッコいいじゃないか。
何か勇者っぽい。
「よし、行こう!」
何かすっごい面倒な事になったのに逃げられないのは、もう運命なんだろう。
こうして、俺達は盗賊退治に赴くのであった。
読んで下さった皆様に、この場を借りて感謝を。
ありがとう御座います。