表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者のお供  作者: 御影
10/25

第七話 盗賊退治・中編

「ふははは! 久しいな少年!」


 バンバンと背中を叩いてくるマッスルさん。痛いです。


「何だイズミ。知り合いなのか?」


 袖を引きながら聞いてくるミア。


 ええい掴むな。俺は急いで尻を隠さねばらなんのだ。


「少女よ。あれは5年前だったか。少年と我は、共にギルドの依頼を達成するため獰猛なトロールと戦った仲なのだ」


 そんな事もあった気がする。


 主に戦ったのは俺だけだったけど。


 しかし、今更そんな事を掘り返す俺ではない。


 ミアはキラキラした目でマッスルさんを見上げている。


 この状況で掘り返せば、掘り返される可能性がある。


 何がって? 言わせんな恐ろしい。


「で、オッサンは何でここに居るの。あの小太りとヒョロいのは?」


「あ奴らとは、あの依頼の後に別れた。真っ先に逃げ出す者など、我のパーティーに相応しくないからな!」


 いやいや。


 真っ先に逃げ出そうとして失敗した奴が何を言うか。


「それと、我はオッサンではない。ファイタル・マッスルという名前がある」


 そう言えば名前を聞いてなかった。


 ってか、マッスルさんで合ってるじゃん。適当だったのに。


「それで、マッスルさんはどうしてここに居るんだ?」


 小首を傾げながら訊ねるミア。


「ふむ。いや何。我は依頼でここに来ているのでな」


 そりゃそうだろう。


 マッスルさんは冒険者だ。


「依頼?」


「うむ。エンの長老からの依頼でな。盗賊退治だ」


 何と。


 マッスルさんも長老の依頼を受けていたのか。


 ・・・ん? 何か、そこはかとなく違和感を感じる。


「そうか! 私達も長老に頼まれて、盗賊退治に行く途中なんだ!」


「む? では長老は、少女にも個人的に依頼をしたという訳か」


「目的は一緒だな!」


「ふはははは! よろしく頼むぞ!」


 やんややんやと言いながら、意気投合している勇者とマッスルさん。


 ―ふはははは!


 ―は~っはっはっは!


 あ・・・、何か胃が痛い・・・。






「おっ? イズミイズミ~!」


 三人で進む事数十分。


 そろそろ中腹辺りかなと考えていると、先を行くミアが手招き。


 何だ何だ?


 岩陰から何かを覗き込んでるミアとマッスルさん。


「む? あれがアジトではないか?」


 一緒に岩陰から顔を出すと、確かに。


 怪しい洞窟がある。


 入り口には、見張りの盗賊が。


 間違いない。


「よし、行こう!」


 我らが勇者様は、剣を抜いて飛び出ようとする。


「待て待て待て」


 肩を掴んで止める。


「イズミ! 何で止めるんだ!?」


「そうだぞ少年!」


 マッスルさん、お前もか。


「いいか? 良く聞け脳筋共。見張りに仲間呼ばれたら面倒だし、ここは慎重に行く方が・・・」


「分かった!」


 最後まで聞かずに飛び出るミア。


 何も聞いてねー!!


『あの~・・・』


 見張りに話しかけるミア。抜いた剣は背中に隠している。


 非常に心配だ。岩陰から様子を伺う。


「む、むむむ・・・(ソワソワ)」


 そしてマッスルさんは落ち着け。


『何だぁっ!?』


『ここって、盗賊さんのアジトですか?』


 勇者はいつでも直球勝負である。


『だったら何だってんだ? あぁんっ!?』


『フンッ!!』


 凄む見張りの鳩尾に、グーパンチを入れるミア。


 剣使え剣。何の為に抜いてるんだよ。


 崩れ落ちる見張り。


 勇者は素手の方が強いのかもしれない。


「流石だな少女!」


 ふはははと笑いながら、岩陰から出て行くマッスルさん。


「ふふん」


 それ程豊かでもない胸を張って威張るミア。


 もうね・・・何かね・・・。いや、もうどーでもいいや。


「この奥だな」


 剣を抜きながら、洞窟の奥を見据えるマッスルさん。


「とりあえず、入る前に回復しておこう」


 いそいそと道具袋から薬草を取り出すミア。


 モッキュモッキュ←回復中


 傷口に擦り込む為の薬草を、口一杯に頬張りながら回復していく二人。


 シュールだ。


「ふぃふみも、ふぉふぁ」


 何かを言いながら、薬草を差し出してくるミア。


 飲み込んでから喋りなさい。


「俺は怪我してないから」


「ふぉふふぁ」


 いそいそと薬草を仕舞うミア。


「ゲ~ップ。よし、では我が先頭を進む。遅れるなよ!?」


「モッキュモッキュ・・・ゴクリ。よし、行こう!」


 薬草を飲み込んで進む二人。


 こんな下品な薬草の使い方、初めて見た・・・。

薬草は、用法用量を守って正しくお使い下さい。


決して食べ物ではありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ