異世界からの召還
呼ばれた気がした。
どこからか声がした気がしたのだが、方向がわからない。誰だ?
いきなり意識が遠くなる・・・
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「良くぞ参られました、勇者様。一同心よりの歓迎をささげます。」
起き上がっていきなり言われた言葉だ。
思いつくのは本の中の出来事だな。
周りには腰をかがめて、手を胸に当てて頭を下げている人たち。主に女性。
後ろの方には騎士のような人たちもいる。こちらは直立不動だ。
「よく分からない。説明してもらえる?」
「はい。先ずは言葉が通じることに感謝を。
今この世界は危機に瀕しております。魔を振りかざす者によって大地は血にまみれ、人は逃げる場所すら無く死んでおります。どうかあなた様のお力で世界を救ってはいただけないでしょうか。」
「それは悪い奴を倒せという事でいいのだろうか?」
「甚だ大雑把ではありますが、その様に捉えていただいて間違い無いかと。」
「分かった。出来る限りの尽力をしよう。その為に、先ずはこの世界の服と武器防具、それと細かい状況説明をお願いします。」
「状況も覚束ないであろうのにそのお言葉、ありがとうございます。ここには何もありませぬゆえ、先ずは別室へ。」
そう言って先導していく。ありがたい。
案内された部屋で待つこと暫し。飲み物と着替えが用意された。
着替えて着心地を確認していると、先ほどの女性が入ってくる。
「王の依頼によりあなた様をこちらに導かせていただいた、神官をしておりますサリュと申します。
この世界の説明をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、お願いします。それと、後ほど王へ挨拶をさせていただいても?」
「はい。王もそれを望んでおりますれば。説明が終わった頃には準備も整っていると思います。」
「では説明をお願いします。」
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この世界には魔法があり、至る所で研究がされている。
その中のひとつの集団が何らかの力を得たようで、力による支配を目論み先ずは恐怖をばら撒き始めたとか。
国を挙げての討伐を目論むも歯が立たず、兵は殺されていく。
起死回生を願い、異世界の勇者を召還するに至った。
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「分かりました。では王への謁見をお願いします。」
「はい。確認をしてまいりますので、少々お待ちください。」
いろいろと考えを纏める。
「用意は出来ております。こちらへ。」
後について行く。
「この扉の先に王がいらっしゃいます。扉が開きましたら中へお進みください。」
扉が開いた。正面に居るのが王だろう。真っ直ぐ進む。
半ばまできた所で走り出し、王の首を刎ねる。
「悪い奴を倒して欲しいとの願いにより、異世界より人の誘拐を命じ、それを監禁。その上で殺人を強要した者を討ち取った。何か異議のある者はあるか!」