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黒猫ヴァレリーの事件簿  作者: 高梨 梛
第1章 雨の日の遺言
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第12 解明

指でなぞる。

ざらり、とした抵抗。


「乾いている……?」


ヴァレリーが静かに尻尾を振る。

恭介の胸に、昨夜の光景が蘇る。

進が、被害者の隣に立っていた。

スプーンを拭いていた姿。

カップに沈むスプーン。

軽く回る音。

――もし。

あのとき、

柄の裏側に何かが塗られていたとしたら。

混ぜれば溶ける。

乾いていれば、気づかない。

そして――

使ったのは、被害者だけ。

恭介はスプーンを持ち上げる。


「共通物に、個別の差……」


刑事の言葉がよみがえる。

紅茶は同じ。

砂糖も同じ。

だが、スプーンは違う。


「やっと、気づいたか」


ヴァレリーが小さく鳴いた。


恭介は静かに息を吐く。


(まだ証拠とは言えない)


だが。

進の第一声。

ヴァレリーを避けた一瞬。

そして、この乾いた違和感。

ようやく、霧の向こうに輪郭が見え始めた。

窓を打つ雨音が、わずかに強くなる。

恭介はスプーンを布に包み、立ち上がった。

ヴァレリーの鍵しっぽが揺れた。


「刑事さんを呼んでください」


声は穏やかだった。

だがその目には、

はじめて確信の色が宿っていた。

雨は、まだ止まない。

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