世界観および作品舞台の設定過程4
ここに、ひとつの星がついにその運命を閉じた。クドゥクシュである。
コンスタンティノープルの輝きも、モナコの絢爛も、その前では色褪せるほどの絢爛を誇ったこの単一惑星国家も、
時代という巨大な奔流の中にあっては、青い虚空を瞬く間に過ぎ去る、一筋の流星に過ぎなかった。
クドゥクシュは、タポルランとドゥアピーズという 二大勢力の緩衝地帯に位置し、その危うい均衡の上に独立を保ってきた国家である。
交易と外交を巧みに操ることで両国の間を渡り歩き、その存在は勢力の結節点――時に橋梁、時に楔として機能してきた。だが、その独立は常に薄氷の上にあり、星間政治の波がひとたび荒れれば、真っ先に呑まれる宿命を帯びていた。
事態が動いたのは 762年。タポルラン諸星同盟が、内側世界の離島部にあたる「南洋星団」への航路確立に成功した時である。
50年代の外側世界ルート開拓に続くこの成果は、タポルランにとって星間航行の新時代を告げる快挙であったが、ドゥアピーズにとっては耐え難い屈辱以外の何物でもなかった。
先を越された焦燥は、帝国特有の覇権主義と結びつき、歪んだ行動原理を生む。彼らはメディアを通じてタポルランの功績を「無秩序な拡張」と非難し、一方で古びた歴史的領土問題を口実に、クドゥクシュへの侵略を公然と画策し始めたのである。
クドゥクシュにとっての不幸は、数十年にわたり両大国を天秤にかけ続けてきた外交手腕が、土壇場で裏目に出たことにあった。
かつてはタポルランとドゥアピーズ双方に忠誠を誓い、その証として両国艦隊の駐留を受け入れていたが、先代の王がこの慣例を「形骸化した従属の象徴」として一方的に破棄し、艦隊を退去させていたのである。これは、自国を破滅へと導く一連の失政の中でも、決定的な引き金であった。
ドゥアピーズの侵攻に対し、タポルランは形式的に隣星へ艦隊を展開させたものの、決定的な軍事介入には踏み切らなかった。
理由は明白だった。ドゥアピーズは、クドゥクシュに加担するあらゆる勢力に対し、「恒久的な平和と安定を求める世界秩序への愚かな挑戦には、相応の鉄槌が下る」と宣言し、事実上の全面戦争をちらつかせたからだ。
南洋星団を経由したネトヴィツとの連携が進みつつある今、タポルランにとって、ここでドゥアピーズと正面衝突する愚を犯すよりは、時間をかけて包囲網を築き、旧弊の大国を真綿で締めるように追い詰める方が、戦略的に理にかなっていたのである。
こうして、クドゥクシュは見捨てられた。
自らが選んだ孤高の道が、ついにその星を堕とすこととなったのである。
(※出来事の起こった年代はそのうち無理のない配分に再編します。この世界の人間の寿命が120年くらいというのを、私自身考慮しなければならない)
世界観の細部について、「ここをもっと詳しく」「あれはどうなってるの?」というリクエストがあれば、いつでも気兼ねなくコメント欄へどうぞ。
皆様の疑問が、この宇宙を広げる燃料になります。
ご要望があれば、すぐさま設定をでっちあ……ああ失礼、脳内アーカイブの奥底から該当データを引っ張り出し、優先的に解説を行います。




