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聞き覚えのある声

「……大丈夫、です」

「そうですか? 一応もう少し休んだ方がいいですよ」

 やっぱりこの声どこかで聞いたことがある気がする。

「はい。人を、待ってるので、来るまでは、休憩します」

 まだ息が切れていて途切れ途切れでしか話せない。それを気にせず女性は話しかけてくる。

「お友達ですか?」

 やっぱり、ネットで知り合った顔も知らない人と旅に出る。なんて言えなかった。

「まぁ、そんな感じです」

 女性はやけに色々聞いてくる。もしかしてどこかで会ったことがある人、または知り合いなのかもしれない。声も聞き覚えあるし。

『顔を見ればわかるはず』そう思いさっきまで下げていた自分の顔を上げた。

 横を向いてその人の顔を見て驚いた。なんたって、今まで見たことないくらいの可愛い顔をしていたのだ。

 似合っているピンク色の髪。まつ毛は長く、目は大きい。まるで芸能人かと思わさせられるほど綺麗で可愛い女性だった。

「あ、あの初めまして」

「え、あぁ、初めましてだよね」

 でも、顔を見て分かった。この人は初めて会った人だ。

「ごめんね、急に話しかけちゃって。怖かったでしょ?」

「いや、心配してくださってありがとうございます。あの、なんとお呼びすればいいですか?」

「あ、私? うーん、じゃあお姉さんで」

 これほど可愛い人に話しかけられて気持ちが舞い上がっていた。それでお姉さんのことが気になってしまった。

「お姉さんも誰か待ってるんですか?」

「私はね、ネットで出会った人達と会うからここで待ってるだよ」

「彼氏さんですか?」

「いや、この前知り合ったばかりの人達だよ」

 これを聞いて流石に男性はいないと思ったが、何故か気になって聞いてみた。

「ちなみにその人達って全員女性ですか?」

「えっと確か男性が三人いた気がする」

 そこで思った、このお姉さん危機感がなさすぎるんじゃないかと。

 ネットで会ったばかりの人に会うのはとても危険な行為。しかもこのお姉さんはものすごく可愛い。それを自分で理解してても、理解してなくても、流石に危機感がなさすぎる。

 最近ネットで会った人に監禁されたニュースを見たばっかりでつい必死になってしまった。

「赤の他人が口を挟むのも余計なお世話かもしれませんが、流石に危険すぎますよ」

「そうかな? ただの旅仲間だよ」

「そう言ってあわよくばを狙ってるのが男なんです」

 流石にこれは全国の男性に失礼すぎる発言だった。すみませんでした。

 お姉さんは

「そうゆうものなのかな?」

 と言って首を傾げた。

「そうゆうものです! 男はみんな狼なんですから」

 僕が言い終わるとお姉さんは何か閃いたように傾げていた首を元に戻した。

「でもさぁ、それって君も入るんじゃないの?」

 そう言われてよくよく考えてみれば、さっきから

『自分が狼で人をそうゆう目で見てる』とずっと言ってるようなもんだった。それに、僕も今から声しか聞いたことのない人達と会って旅をするんだった。

 誰かに言えるような立場ではなかった。

 言うことがなくなりさっきまで何言ってたのかも分からなくなり

「…………すみません」

 と謝った。すると、お姉さんは笑った。

「いいよ。そんなに気にしてくれたんだね、ありがとう」

 だがその後に

「でも、そーゆーことが起きても別にいいかなって」

 と言った。人によって捉え方は変わるが、そう言った時のお姉さんの顔がどこか悲しそうだった。これ以上深く入りすぎるのは人としてよろしくない。

「そう、ですか……」

 こんなに気まずい空気は旅の話し合いの時以来だった。

 こんな時に七瀬さんがいたらな、なんて思った。

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