旅の二週間前
十一月二十五日
あれから二日後、通話をする日になり、みんな集まって話をする。
智樹さんと僕で話を進行していく。
「じゃあ一人一人自己紹介してもらいます。まず俺から、名前は相川智樹です、年齢は19、旅の目的は特にありません」
場が沈黙した。多分みんな自殺の場所探しとか思ってたんだろう。
空気が少し気まずくなったのを悟ったのかテンションを変え喋り始める。
「まぁ暇つぶし的なもので。じゃあ次は隼人君」
ここで気まずい空気を変える事を言わなければ。
「はい。名前は風見隼人といいます、年齢は17で今は学校に行ってません、旅の目的は色んな人と旅を楽しみたいからです」
もっと気まずい空気にしてしまった。が智樹さんが繋いでくれた。
「はい、次。七瀬さんお願いします」
この空気感を任されたのは漫画家の七瀬美月さん。
「はい!自称有名漫画家、七瀬美月です。
レディーだからあんま言いたくないけど、25歳、旅の目的は漫画のアイデア探し。よろしく!」
思っていた以上に元気すぎたが、さっきの空気感が一瞬にして変わった。
智樹さんも少し苦笑いしていた。
「はい。ありがとうございます。次は竹原さんお願いします」
次の人は竹原さん82歳で今はもう仕事をしてないらしい。
「竹原信男82歳、旅の目的は、昔妻が見たかった景色を変わりに見に行く事です」
妻が見たかった景色、その言葉に少し違和感を感じた。
さっきまで智樹さんに任せっきりだったので最後くらい、僕が変わった。
「じゃあ最後、雪さん、お願いします」
「……はい、佐藤雪と言います、年齢は21、旅の目標は、えっと……楽しみたいです。よろしくお願いします」
雪さんは、この場では本当の目的を隠していた。
それから少し話をして、本題に入った。
智樹さんが車でみんなを向かいに行き一度合流、それからどこに行くか決める、流れになった。
運転は智樹さんと七瀬さんが交代でする事になり、ガソリン代などは他の三人が出す事になった。
智樹さんは心配そうな声をしながら僕に聞いてきた。
「優一君学生だけどお金あるの?もしやバイト頑張ってたとか?」
「資金面は大丈夫です!この為に売れるものは全部売ってきました」
「え、そう。じゃあ、まぁ、分かった」
話は終わり通話を切った。
佐賀に一度集まりそこに智樹さんが迎えにきてくれる事になった。
遂に旅の始まりが近づいてきた。
あと二週間後僕は旅に出る。