忘れられない旅の仲間
「みんな入ったね。じゃあ、名前どうする?」
七瀬さんが、どうする、と僕らに訊いてくる。僕はなんでも良いような気がする。
「なんでも……」
「私が……名前決めても良いですか?」
遮るように言葉を吐いたのは、こういう場で主張しなさそうだと思っていた雪さん。
少し驚きもあったが、彼女が名前決めを買って出たことに対して、僕はなんだか嬉しい。
「えっと、これでいいですか? もし変だったりしたら、他の誰かが決めてください……」
メッセージアプリのグループを開いてみると、雪さんの自信なさげな発言とは真逆の気持ちのいい名前になっている。
彼女がつけた名前は、忘れられない旅の仲間。
どういう意図でつけたのかは分からないけど、雪さんの思いが詰まった名前なんだと思う。
「めっちゃいいじゃん!」
七瀬さんは嬉しそうに声を上げ、雪さんに後ろから抱きついた。
「ちょっと、何するんですか⁉︎」
雪さんは言葉と反して抵抗を見せず、喜んでいる。彼女の表情には急に抱きつかれた驚きと、褒められた嬉しさが滲み出でいた。
グループの名前も決まったということで、やっと展望台の上から、先に進み始める。
先頭から七瀬さん、雪さん、智樹さん、タケちゃん、そして僕の順で一列になり、鳥居をくぐっていく。
鳥居をくぐりながら坂を下がっていくので、五人が横に並ぶことは当然できない。他の人達とすれ違うときのことも考えると、一列になる以外選択肢がなかった。
僕はタケちゃんが心配で、一番後ろに行くことを自分から提案した。
景色をゆっくり見たいから、と言うと皆が快く承諾してくれた。
タケちゃんは同世代の人よりは動けるし大量もあるかもしれない。でも、さすがにこの長い道はきついと思う。
だから、何か助けになればと思い、一番後ろを選んだ。
まぁ、鳥居の両端に赤い手すりもあることだし、全集中する必要はなさそうだ。
僕は途中のところから見える景色を眺めたり、写真に撮ったりしながら下っていく。
それにしても、鳥居が一つ一つ物凄く赤い。どの鳥居を見ても全く色褪せていない。
ちょうど中間ら辺に来たとき、前にいるタケちゃんをじーっと後ろから見るが、疲れを感じさせない足取りをしている。逆に僕は少し疲れてきた。
引きこもっていた分、他の人より体力がなくなっているのをすっかり忘れていた。
僕は少し歩く速度を落とし、途中途中止まったりした。疲れてきたが、どこで止まってもいい景色が見えるから、その景色に勇気を貰っている。
──元乃隅神社にこれで良かった。
心の中でしみじみそう思った。
結局その後は特にアクシデントもなく、突端部に到達した。
そんなに長い距離でもないのにこれ程疲れるとは、先が思いはやられる。
人が結構いて、雪さんと同じくらいの若い人たちから、タケちゃんと同じくらいの高齢者までいる。




