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ピンクの髪

 智樹さんの声で七瀬さんも気付いたのか

「おっ、起きた! おはよう!」

 と運転しながら言ってくれた。

 体を起こそうとしてみたが、今の状態が心地良すぎて、体が動くのを拒否している。

「おはようございます」

 日光のおかげか、体の内側がポカポカする。でも、それは七瀬さんや智樹さんが寝かせてくれたおかげ。

 いい眠りだったが、客観的に見れば凄く迷惑なやつだ。

 僕はそれに気付いてしまった。

「あっ、その、すみません……」

 僕が謝ると

「ん? 何が?」

 と七瀬さんは訊く。どうやら、謝った理由が分かってないらしい。

「運転してもらってるのに眠っちゃって……」

 僕は子どもが親に怒られて謝るような声を出した。

 意に反して、視線を上げてルームミラーを見た。そこで七瀬さんと一瞬目が合う。

 睨まれたらわけでもないのに、体が少しの間硬直する。

 昔からこういう緊張感があるところが嫌いだった。でも、克服したい。

 信号が赤になり、車が止まる。

 ルームミラー越しにまた目が合う。七瀬さんの目は、ご飯を食べている子犬を見るような優しい目をしている。

 その目を見て、硬直した体がほぐれていく感じがした。

「別にいいよ、そんなに気にしないで。それに、昨日のが長引いたからでしょ」

 車内の空気が一気に悪くなる。そう思っていたが、全くならない。

 七瀬さんは目をニヤけるように細めた。

 なんで目を細めているのか、僕には全く理解できない。でも、智樹さんも少し微笑んでいるように見える。

 智樹さんは理由を知っていそうで、

「まだ眠っててもいいんじゃない?」

 と言ってくる。

 自分だけが理解できていない事に少し不安を覚え、ずっと寄りかかっていた枕のようなものに、更に寄りかかる。

 そのとき、頬に髪の毛のようなものが当たった。ビクッとなり、咄嗟に寄りかかるのを止める。

 頬に触れたのはピンク色の髪。

 まさかと思い、視線をゆっくり寄りかかっていたものの方に向けると、そこには眠った雪さんが居た。

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