24/35
目覚め
「もうそろ起こす?」
「いや、ギリギリまで寝かせてあげましょう」
「そうだね。それに二人とも気持ちよさそうだし」
目は開けてないけど、誰かの会話が耳に入ってくる。
あれからどれくらい経ったんだろう。あの時以降記憶がない。
そういや、僕は何に寄りかかっているのだろうか。多分、背もたれには寄りかかっていない。
枕ほどではないけど柔らかくて温かい。それに石鹸の良い匂いもして、心が安らぐ。
まだ眠っていたいけど、もうそろそろ起きないといけない。七瀬さんはあれだけ疲れても運転してくれているんだ。
僕は起きる決意をした。
目をゆっくり開け、窓から差し込む光が眩しくて一度目を閉じる。
眩しい、眠い、目を開けたくない。でも、申し訳ない。
葛藤の後、先程より強く心を決めて、勢いよく目を開ける。
薄らぼやけているが、サイドガラスから綺麗な景色が見える。
隣に黄色いガードレールのような物があり、その後ろに線路、そのまた後ろに民家がある。
天気は、再度目を閉じたいくらいの晴天だ。
「……おはようございます」
起きてすぐだったこともあり、声は小さい。でも、きっと聞こえているはず。
声を出したことにより、助手席に座ってる智樹さんが後ろを振り向く。
「おはよう」
優しさで言葉を包むような声で智樹さんは言った。




