僕は所有物?
僕はこの先に不安を感じて、大きなため息を吐いた。
「……分かりました。再開しましょう」
僕は、疲れ切ったサラリーマンのようなトーンの声を出した。すると、雪さんは僕の発言に驚いたように
「え⁉︎ 隼人君はそれでいいの?」
と目を見て聞いてくる。
「まぁ、仕方ないですね……」
ここで写真撮影を再開しなければ、明日の運転が怖いものになりそうだから、渋々資料撮影をするしかない。
「いや、仕方な……」
「お、雪ちゃん!」
雪さんの言葉に被せるように七瀬さんが声を出した。
「なんですか?」
「ホテルの人に聞いてみたら、今の時間だけ、“特別"に貸切できるって‼︎」
色々な幸運が重なり、温泉を貸切にできるらしい。
そこで雪さんは、僕の口に被せていた手を自分の膝に戻し、その場で正座をした。
「私、撮影終わるで温泉もお風呂も入りません!」
雪さんが言ってる意味は理解できたが、意図が全くといっていいほどに掴めない。
「雪ちゃんなんで? そんなに部屋のお風呂がいいの?」
「別にそういうわけじゃないです」
「じゃあ、なんで?」
七瀬さんが訊くと、雪さんは
「だって、私がいない間に変なことされるかもじゃないですか‼︎」
と少しおかしなことを言った。
まるで、僕のことを所有物のような感じに。
結局、雪さんはずっと近くで撮影を見ていた。
七瀬さんが僕に変なポーズをさせようとした時には、すぐに駆けつけて、話し、少し優しめなポーズに変わった。
──その後、百五十枚以上の写真を撮られ、撮影は二時間にもなった。
疲れた体をどうにか動かし、温泉に入り、気絶するような速さで眠りについた。




