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世界の空白
そうして私は、真っ白な世界に取り残されました。
何年も、何十年も、何千年も。
どれだけの時間が流れたかわかりません。
私は、不思議な力であの時、あの世界にいた人たちの時間を、生命力を、未来を得てしまったようでした。
あの時、穴を埋めるはずだった私の、美しい姿のまま、肉体の時間が止まってしまったのです。
怪我をしてもすぐに元通りになり、体が栄養を必要としません。同じ状態をキープされ続ける不老不死のようなものになりました。
誰もいない世界にずっといました。
さみしかった。
なにもなかった。
消えたかった。
けれど、得てしまった力のせいで死ねませんでした。
何をしようにも私の体は元通りになりました。
もうどんな風に過ごしていたか思い出せません。
狂いそうになるほど、あまりにも長い時間でした。
そうしているうちに、どこからか生命がやってきて、文明が築かれ、また少しずつ、世界は姿を取り戻していきました。
そうして今に至ります。
世界と私を天秤にかけて、私を選んだ勇者様。
私は君のことが大嫌いです。
ようやく会えた君は、私のことを覚えていない君だけれど。