第2波~遺物~
ユキノとユエはどうにか“居住区”まで戻ってこれた。
収穫物はそこそこ値の張りそうな金属類数点と謎の箱1個のみ。
「結構しょぼいなぁ」
「仕方ないだろ?砂嵐に狼だぜ??生きてただけでも良しとしようぜ」
「それもそうか」
二人は“学者”達を探したが間の悪い事に調査に出払っているという。
どうするかこれ・・・とユエが悩んでいるとユキノが“博士”なら解るんじゃないかと答えた。
それは名案だと言わんばかりにユエはユキノの腕を引っ張り“博士”の居るテントへと向かった。
テント内は訳の分からない物が乱雑に置かれていて人が住めるのかすら怪しい状況だった。
「“博士”ー。“博士”ー!どこだーー!?」
「居ないのかな??」
ふとユキノはガラクタの山から一本の腕が生えているのが見えた。
腕の前まで行き引き抜くように引っ張ると腕から下は何もなかった。
「おぉぽおおぁvg!」
「ど、どうしたユキノ・・・てあああああああああ!?」
腕だけを持っていたユキノを見てユエは叫んだ。
「おおおおおおお前ええええ!!!殺したのか!?殺したんだな!?」
「ちちちt、ちg、違う!!殺してない!!元々!!」
「元々ってなんだよ!!!」
二人がパニックになって騒いでいると入り口からボロボロのコートを着た陰険眼鏡が入ってきた。
「騒がしい小僧っ子共の声がすると思ったら何してんだよ君らは」
「「う、うわあああ!!出たあああ!!!」」
「出たあ!って失礼な。死人じゃないよ全く」
“博士”は二人を落ち着かせて要件を聞いた。
二人は謎の箱を“博士”に見せる。
彼は興味深そうに箱を眺め軽く叩いてみた。
「うーん。解体してみれば少しは解りそうな物だがね。だが完成品として出来上がってる以上解体して戻せなくなるのは勿体ないよね。もう一つ同じ物があるなら良いのだれけどこの箱媒体は恐らくここいらでは初だろうね。どうするかい?詳しく調べるのに壊してみるかい?まぁ壊さなくても調べるだけ調べてみはするがね」
「値打ち物かもしれないしなぁ・・・。まぁでも俺らが持っていても仕方ないからそれは“博士”に預けるよ」
「僕もユエに賛成だ。だからこそ条件がある」
「ほう?」
ユキノは微笑みながら話す。
「それはもしかしたらまだまだ眠ってるかもしれないからさ仕事してる時に拾えたら“博士”のところに持ってくるからさ何か解ったりその箱関連でお金が入ったら僕たちに分けて欲しいんだよね」
「抜け目ないね君。まぁ良いよ。私はお金には興味ないし。箱は君たちのだからね」
「契約成立だな」
話がついたところで二人は“博士”が作る色々な発明品を見て回っていた。
ガラクタのように乱雑に置かれた物も話を聞けば割としっかりとしたパーツである事が分かった。
二人は護身用のテーザー銃を彼に診てもらった。
「結構使い込まれてるね。まぁメンテナンスくらいなら安いもんさ」
そう言って彼はあっという間にパーツ事にばらして砂埃などを取り除き始めた。
一通りの掃除が終わり組み立て直し銃を二人へ返した。
「流石“博士”だな。俺たちじゃ使うだけで構造とか理解もできねえのにな」
「何か何までお世話になりっぱなしだね」
「まぁ私はずっとこういった解体業とかしかしてないからね。経験値ってやつさ」
得意気な表情を浮かべる“博士”を見て二人は子供っぽい人だと思った。