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砂と海  作者: 羽穂
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第1波~砂嵐~

「おい!ユキノ!走れ!急ぐんだよ!嵐に飲み込まれるぞ!!」

「待ってくれよユエ!!」


“物拾い”のユキノとユエは旧文明の遺跡群「砂上の摩天楼」で拾い物をしている最中、砂嵐に遭遇した。

二人は急いでその場を走り去るも嵐は二人を飲み込まんばかりの勢いで追いかけて来る。


「うわっ!?」


先頭を走っていたユエが何かに躓き転倒する。


「大丈夫か!?」

「だいじょb・・・おい!これを見ろよ!!」


ユエが足を引掛けたのは遺跡のハッチの取っ手だった。

二人はすぐさまハッチに手をかけ開けた。

ハッチを開けるとそこそこ広い空間が広がっており嵐を凌ぐのに十分な場所だった。

二人は急いでハッチの中へ降り扉を閉めた。


「ユキノ。灯あるか?」

「あるにはあるけどバッテリーが持つか解らない」

「解った。俺の灯を使おう」


ユエが装置で灯を点ける。

外からは風と砂と時折飛翔物のぶつかる音が聞こえてくる。

ユキノは端末で自分達の位置情報を調べた。

どうやら“学者”達が指定している立ち入り禁止区域では無いようだ。


「ユエ。脚は大丈夫か?」

「あぁ。ユキノの方こそ怪我とかは無いか?」

「大丈夫だ。この通り無傷さ」


お互い無事で何よりだとユエが笑う。

ユキノは何か使える物は無いかと周囲を見渡してみた。

しかし、特には使える物は無さそうだった。


「なぁユエ。ここって何の場所なんだろうな」

「さぁな。俺たちに古代人の脳は理解できないさ。でもまぁどうやら進める道はあるみたいだな」


ユエが指さした先には横倒しされた階段とドアがあった。

ドアの横には何か模様が書き記されている。

二人は近づいて模様を調べてみた。


「これは・・・古代文字だ」

「俺たちじゃ読めない文字だな。まぁ当たり前か。ここは古代遺跡だもんな」

「一応、“学者”達に見せれるように画像を記録しておくか」


ユエは端末を文字にかざして画像を記録した。

よく見れば、文字はここ以外にも書かれている。

二人は粗方画像を記録し終えると横倒しの階段を進む。

階段には定期的に横倒しのドアがあったが壊れているらしく開かない物ばかりだった。

暫くして開いているドアがあり二人はそこの先の空間へと入っていく。


「砂まみれじゃねえか。殆ど砂で埋まってる遺跡か勿体ねえな」

「仕方ないさ。露出してしっかり探索できる遺跡の方が少ない。朽ち果てて崩れたり砂で埋もれたりしてるのばかりさ」


当たりの砂を払いながらユキノは続ける。


「砂上の摩天楼だって入れない場所ばかりで前に来てた“学者”も言ってただろ?あそこは何時崩れるてもおかしくないくらいに朽ち果てている。危険だから俺たちは立ち入り禁止区域に設定したってさ」


砂の中を探すも特にめぼしい物は無く二人は落胆する。

ユエは端末を確認した。

そろそろ嵐が去ってるかもしれないから戻ろうとユキノに促す。

ユキノが立ち上がろうとした時、手をついていた砂の下に何か硬い物があるのを感じた。


「待ってユエ。何かある」

「お、お宝か?」


ユキノは砂を掘ってみた。

出て来たのは四角い箱の様な物だった。

見たこと無いそれは壊れてるらしくどこを触っても何も反応しなかった。


「ちぇっ!壊れてる!」

「まぁまぁ、壊れていても遺跡から見つかった物だ。“学者”共が高く買ってくれるかもしれねぞ?」


文句を言いながらもユキノはガラクタを収納した。

二人はその場を後にし来た道を戻った。

ハッチの外からは音がしてなかった。

ユエがハッチを開けて外を確認する。


「うっほぁああああ!!やっべえええ!!」

「どうしたユエ!?」

「急いでここを離れるぞユキノ!!“狼”だ!!」


マジかよ!と叫びながらも急いでハッチから出て二人は身を低くしながら走る。

急げ急げ!とユエが催促する。

どうか見つかりませんように!ユキノは心で強く祈った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても面白そうな導入でした。続きを楽しみにしています。 [気になる点] 2人の性別は何だろう?
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