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PLANET:E(仮)  作者: 語楽 文章
2章
13/18

第13話 異変

多目的輸送艦ホライゾン 隊長室 5時頃

「上空を監視中のホークより美原山旧陸軍塹壕付近で人工光源を2つ確認しました。光源は現在八岐島の目抜き通りに繋がる道路を八岐島内燃力(エンジン式)発電所方向に移動中です。それから後1時間程でホークがメンテナンスに入るため帰還予定です。指示をお願いします」

 勇仁はササエルの警報を受けて飛び起きた。報告を再度確認すると指示を出す。

「こんな時に、いまの時間帯(見張り)は…アルファか、ロータリーと接道せつどうする2本の道にスパイダーとアルファを2手に分けて配置してくれ。すぐにCICに行く。それとメインモニターに光源をマッピングしておいてくれ」

 勇仁は急いで支度を整えるとCICに向かった。

「島津隊長補佐と堀石主任にはまだ伝えるな。アルファ以外にもだ。時間いっぱいまでホークで情報を収集する。状況に変化は?他に熱源は?日の出まで後どの位だ?」

「順にお答えします。以前、2つの光源は内燃力発電所方向に移動中です。サーマルカメラも同様です。日の出までは後40分程度です」

「よし、そのまま光源を追跡。日が昇ったらホークを接近させて人物を特定しろ。絶対ロストするなよ…それと、地下施設の図面もモニターに出してくれ。後は追って指示する」

 勇仁は自分で開いた地図データとササエルが表示した内容をモニターで確認した。

「(やはり内燃力発電所も地下で研究所と繋がっている。連中こんな時間に一体全体なんなんだ?途中でトンネルが通れなかったのか…ともかく敷設ケーブルとの距離は600m程だ)至急ブラボーとチャーリーのスパイダーを昨日敷設したポイントまで向かわせてケーブル前方に配置、警戒態勢をとれ。ケーブル奪取が連中の目的かも知れん。隊員全員起こしてくれ。状況を説明する」


八岐島上陸2日目 元八岐港ロータリー、トラックキャビン内 5時半過ぎ

 調査隊の朝は早い…と言うより勇仁さんとササエルに起こされた。急いで着替えるとロータリーに全員集まった。そこで勇仁さんから上陸前後のゴタゴタした出来事を始めて聞かされた。何か言い表せないモヤモヤした感情が込み上げてくる。

 勇仁さんの話では美原山の地下は沢山のトンネルがあって発電所にも出入り口があるらしい。不審者たちは朝日が昇る前に発電所の近くで見失い、そのあと動きは無いので警戒して昨日の続きをすることになった。

 辺りが明るくなるとAチームとスパイダー、Bチームとがケーブルの先まで行って様子を見に向かった。私たちのスパイダーは彼等と合流したらケーブルリールを降ろして戻ってくる。司たちは昨日と同じ作業を再開し始めた。

 ケーブルリールを積んでリレーポイントに向かう。ロータリーからポイントまでは高低差はあるけど殆ど一本道、この辺りの道は何となく見覚えがある。災害の日にチャイルドシートから見た景色が頭に浮かんだ。往復道路に少し狭い歩道、両端は壁の様な樹木が茂って何もかも大きく見えた…けど今歩いている道は当時より小さく見えて所々アスファルトは傷み樹木が道を覆い隠すトンネルみたいに見える。そんな感慨かんがいにひたるとモヤモヤした感情がまた蘇ってきた。


 生まれ故郷に上陸したテロリストは父さんと母さんが眠っているかも知れない場所を占拠している。勇仁さんは地下資源が目的かもって言っていたけど、あまり良い方向に考えられない。

 父さんと母さんはいったい何を研究していたの?司はどう思ったのか…他の隊員達と同じで表情がわかなかった。そういう風に訓練されているかも知れないけど気持ちがおさまらない。小さい頃のぶっきら棒の司の顔が思い浮かぶと何だか腹が立って仕方がなかった。


「なに陽子さん?腹が減って仕方ないって?俺の腹の音聞こえました?」

「え?源さん私声に出てました?」

 源さんは自分のお腹を摩り照れながら聞いてきた。お互い間を取り繕うと私は事情を源さんに説明した。

「な~んだ。てっきり俺は食事の量のことだと勘違いしちゃいましたよ。でもなるほどね。あいつ自分の事とかあんまり俺に話さなかったから気にしてなかったけど、言われてみれば思い当たる気がするな。たまに冷めてると言うか。素っ気ないと言うか。

 陽子さんと同じ立場だったら複雑な気持ちかも…ま~ご両親の事は二人とも小さかったから仕方ないと思うけど、地下資源って言うとそう思っちゃいますよね」

「つまらない話でごめんなさい。勇仁さんに任せきりで私たち何も知らないんだと思うと急に昔の事とか思い出してモヤっとしちゃって…でもあんまり調査と関係ない話してるとササエルに怒られちゃいますね」

「つまらない話なんてとんでもない。ササエルなら大丈夫だと思いますよ。俺も何処でササエルがNGだすか色々試してるんですよ。スパイダーもだけど技術者の端くれとして興味があってつい」

「おーい、後ろの二人。距離が開いてるぞ」

「浜田分隊長、すぐ行きます。陽子さん、あまり力になれないかも知れないけど、俺でよかったらいつでも話聞きますよ」

 源さんは私の方に振り向くと顔の前にサムズアップ(グットポーズ)を作りながらニコっと笑った。人に話したせいか少し気分が楽になった気がする。


多目的輸送艦ホライゾン CIC(指揮所) 7時前後

 忠美と尚美は勇仁から報告を受けたあと各チームのアルマジロとスパイダーの映像をモニターしていた。

「尚美主任、アルファとブラボーが昨日の敷設ポイントまで到着する。チャーリーのスパイダーをもうロータリーに戻してもいいだろう。

 アルファ・ブラボー、こちら島津。チャーリーのスパイダーをロータリーに戻す」

「「了解した」」

「島津隊長補佐、了解しました。ササエル、リールを降ろしてロータリーまで戻って一度充電して下さい」

「尚美主任、承知しました。ロータリーへ移動します」

 尚美は肩の力を抜くとモニターに顔を向けたまま話し出した。


「島津隊長補佐、結局朝の騒ぎは何だったんですかね?」

「わからん。だがオマエハン島は制圧、衛星とホークよる航空優勢も確保、海上はキマイラが見張っている。潜水艦でもあれば別だが…それにアースがこちらの動きを補足しているとも思えん。

 当然妨げになるなら排除するが、いずれにせよ当初の目的(調査のインフラ整備)を速やかに遂行することが一番の対策になる。我々は早く空路を確保し調査規模を拡大したい。どの様な相手にせよ時間が経てばこちらが有利になる。それにホライゾンとキマイラのコストもバカにならんからな」

 忠美は勇仁の方を向くと咳をした。再び視線をモニターに戻すとアルファ・ブラボーに指示を出した。


「よし、諸君昨日の続きだ。四差路まで敷設したら進行方向を左折してケーブルを敷設してくれ。当面は直線の道なりだ」

「了解した。この辺りは駆除剤がまばらだ。散布しながら、ちょっと待ってくれ。どうした?坂の上に人影だと!?おいっなんだ!なん…音は?HQ(司令部)そち…聞こえ…?HQ…これは…」

「アルファなんだ?どうした。応答しろ!くそっブラボーこちら本部、この通信が聞こえるか…?

 尚美主任、こちらの通信全て途絶した。映像もだ。そっちは?」

「こちらも同じです。今までで一番大きいノイズです。

 チャーリー・デルタこちら尚美です。聞こえますか?応答願います」

 尚美は眉をひそめながら首を横に振った。忠美は慌てて勇仁に報告した。

「隊長、通信が全て途絶とぜつしました。アルファが途絶前に人影を見たと、映像には…その前に落ちた様で何も映ってません」

「二人とも各チームに交信を続けてくれ。応答があればその場に待機、状況を把握してくれ」

 少しの間CICに二人の呼びかける声だけが聞こえる。


「…ちらデルタ…ジョン…さっき…聞こ…音は何だ?何か作業しているのか?」

「繋がってよかった。朝隊長が説明したノイズの原因だと思われます。念の為作業を中断してこちらの指示があるまでロータリーで待機して下さい。

 あっチャーリーの映像が回復しました。チャーリー…」

 尚美はホッとした表情で忠美と勇仁を見ると何度も頷いた。勇仁は忠美と尚美の間に立つとメモを見せた。

“チャーリーの応対を島津君と交代。今の応答が一段落したら尚美主任はデルタを頼む。私はA・Bをモニターする”

 忠美と尚美は確認すると無言で頷き。キリのいい所で忠美と交代した。

「ブリッジ、こちらCIC星守。現地でトラブルが発生した。状況は現在確認中。朝1の輸送は少し待って欲しい。ホークのメンテナンスを出来るだけ急がせてくれ。

 トミー艦長、ギデオン部隊長、こちら星守です。空振りになるかも知れませんが、1分隊(10名)JPU装備でスタンバイしておいて下さい。お願います」


八岐島 目抜き通り 7時過ぎ

 空から突然唸り声の様な、空気が揺れる様な低音が鳴り響いくと遠くの木々から鳥たちが一斉に飛び立った。私は飛び立った鳥を目で追うとアルマジロから慌てた尚美さんの声が入ってきた。

「チャーリー聞こえますか?こちら尚美です。アルファ・ブラボーと通信が取れなくなりました。そちらは大丈夫ですか?」

「こちらチャーリー、浜田です。そちらからの音声は聞こえますが先ほどから変な音が鳴り響いています。これは一体」

「わかりません。先行チームのスパイダーの映像も途絶しています。そちらから連絡を取ってみて下さい」

「了解。こちらチャーリー、浜田分隊長。アルファ・ブラボー至急応答されたし。状況を確認したい。至急応答せよ…

 ダメです尚美主任こちらにも応答はありません。デルタの方は大丈夫ですか?」

「はい、デルタチームとの交信は出来ています。これから通信を島津隊長補佐に引き継ぎます。以後指示に従って下さい」

「チャーリーこちら島津だ。アルファ・ブラボーは通信途絶前まで四差路の派出所の辺りに居たはずだ。私がスパイダーで先行する。後に続いてくれ」

「…了承しました。これより四差路の派出所に向かいます」

 スパイダーが50m位先行する形で私たちは移動することになった。道の左側に緑に覆われた中学校だった建物が見えた。ここから先は緩やかな上り坂になる。


「源さん、さっきの音ってなんだったんですかね」

「さぁ何ですかね。変な音だったけど…なんだっけ、あれ。アポカリプ何とか…」

「アポカリプティックサウンドの事ですか?宇宙専門機関の見解によると、大気中に放電現象が起こった際、発生する電磁波などが原因で様々な音が聞こえる現象。

 金属を擦る音や船の汽笛、弦楽器のような音などが聞こえる現象。巷では黙示録に記されている災害の前触れに7人の天使達が吹くラッパとのうわさ話もあります。いずれにしても詳しい原因は不明な現象です」

「そう。それそれサンキューササエル。まぁ噂はともかく一時的な通信障害じゃないですかね。陽子さん」

「二人とも任務に集中してくれ」

「「はい分隊長、すみません」」

「こちら島津、チャーリーこの距離を保ってついてきてくれ。ここから通信をオープンにする」

「了承しました。スパイダー何か見えますか?」

「四差路左折道路脇に停止しているスパイダー1機発見。なんだこれは!前足が取られている。どうやったらこうなるんだ。もう1機は…引きずった跡が頂上方面に続ている。跡を追跡する」

 緩やかな坂道の頂上が見えてくると先の方から銃声が聞こえた。かなり近い。3~4発位の短い銃声が重なったり交互に響き渡る。みんな低く屈み辺りを見回した。

「銃声だチャーリー!急いで手前にある廃車まで走れ。そこで指示あるまで待機。私は先行する。陽子隊員を頼んだぞ」

 

 私たちは道路に横たわっている廃バンまで急いで駆け寄り身をひそめた。足の感覚がない。誰かに肩を叩かれ慌てて肩を振り払う。振り向くとシーのポーズをした浜田分隊長が呼吸を整えるゼスチャーをしていた。気が付くと自分でも聞こえるくらい口で呼吸をしている。

「チャーリーもうすぐ派出所に着く…派出所までは安全だ。そこまで前進、念の為ゴーグルのマップに印をつけておく。周囲を警戒して前進されたし」

「了解。これより一列縦隊で派出所に向かう。順番は松本隊員・自分・陽子隊員・湯田隊員で行く」

 私は大きく頷くと全員で移動し始めた。派出所は頂上の手前にある。この四差路も見覚えがあった。小さな家と交番が一緒になっていて母さんと落とし物を届けに来た覚えがある。そしてこの先にスーパーがあるはず。

「こちらチャーリー、浜田です。派出所に到着。中に人の気配はなし。待機する」

「了解チャーリー、こちらは以前50m程先を進行中…隊長、薬莢が散乱しています。アルファとブラボーは何処へ。兎に角このまま直進…右の脇道に何か見える。確認するその場で待て」

 島津さんの声色から緊張が伝わる。同時に自分の呼吸が早くなるのを感じた。

「隊長、サムエルです。サムエル・プリンスを発見しました。接近します。

 待てサムエル。どこへ行く。くそっらちが明かない。チャーリーここまで前進だ。サムエルを至急保護したい合流してくれ。私は周囲を警戒する」

「こちらチャーリー、了解。直ちにそちらに向かう」

私たちは道路に出ると一列になって道路に出た。

「ちょっと待て何かがスパイダーに当たった。チャーリー警戒…」

 突然島津さんからの通信が途切れた。するとまたあの音が鳴り始めた。さっきより近くで音が聞こえると全身に鳥肌が立ち吐き気が襲った。そうだ思い出した。これは災害の夜と船で島を出た時と同じ音だ。さっきのもそうだ。なんで今まで忘れていたの…視界が狭くなり前にいる分隊長にしがみ付いた。

「おい陽子隊員大丈夫か?顔が真っ青だぞ。またこの音か、こちらチャーリー本部応答せよ…くそっ通じない」

 意識が朦朧とする。その場にへたり込み自分のポーチから薬と水の入ったパウチを取り出し急いで飲み込んだ。


元八岐港ロータリー 9時過ぎ

 トラックに出来た日陰の中に大の男が四人座っている。尚美との通信のあと1時間くらい経っただろうか。黒い砂浜に波が押し寄せる音だけが聞こえる。何でもいいから体を動かしたい、ここ何日か夢なんじゃないかと思う時がしばしばあった。とにかく実感が欲しい。

「この辺って結構日差しが強いんだな。日焼け止めもっと持ってくるんだったよ。なんだよルーカスその顔。こう見えても俺たちの肌はデリケートなんだぜ。ん?ま~た変な音が鳴りだしたよ。ジョン本部に連絡してみろよ。おいジョンってば」

「…あぁそうだな、わかった。こちらデルタ、本部応答せよ…ダメだ。また通じなくなった。どうなってるんだ」

 自分でもよく分からないけど不思議とこの変な音に不快感はなかった。

「おっ?見ろよ。ホライゾンからヘリが飛んできたぞ。結構低いな。お?お?おいおいおいおい近い近いウルセェ!って通り過ぎてったぞ。どうなってんだ、おい」

 ヘリコプターの鼓膜を圧迫する様な音が遠ざかるとアルマジロから音声が聞こえた。

「…です。デルタ応答願います。こちら尚美です。デルタ応答願います」

「こちらデルタ。ジョンだ」

「やっと繋がりました。はい、わかりました隊長。みなさんトラックの荷台のタープを外して下さい。それから燃料を満タンに、スパイダーにケーブルリール付け替えて私について来て下さい。急いでお願いします。状況は向かいながら説明します」

 俺たちは急いで準備をするとスパイダーの後を追った。

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