春は曙、しかし起きられず
・・・目が覚めた。ぜってぇ起きねぇ。今日という今日は絶対休む!
明け方、外の景色は綺麗だろうが起きる気がしねぇ。
「大臣ってガチで大変なんだよね。一晩で書類200枚とか死ねる」
平安京、藤原氏の屋敷・・・宮廷ではもう儀式や仕事が始まっているようだ。
「お~い大根」
「うるせえな、今日は俺は起きないんだよ!」
こいつは俺の友達のミコト。遣唐使が廃止されてからニート状態なのだ。
「一緒に暇潰そうぜ」
「暇つぶしかぁ・・・」
書類は昨日全部書き終わった。
「よし、なんかやろうぞ」
「じゃあ日田呉羅でもやろうぜ」
ひたごらとは平安京で流行っている遊び。何かで道を作り、その上に球を置き、転がしていく。最後は
「ヒタゴラ」の旗で決まり。
どっかで聞いたことある?・・・気のせい。そうさ気のせいさ!!
遊ぼうと思った2秒後、帝からの使い・・・それが頭をよぎった。
しまった・・・唐からの食材を貰ってくるの忘れた!!
「ミコト!俺はちょっと大輪田泊に行ってくる」
「え!?ちょ、待・・・」
大輪田泊とは平安時代、貿易の要であった瀬戸内海に面する都市である。
「うーむ・・・大根麻呂殿は?」
「まだ来てませんが・・・遅いですな」
「美味しい美味しい、新鮮な唐の魚だから・・・はやくしないと」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおい」
馬車を飛ばして来た大根麻呂が現われたのだ!
「間に合った・・・唐の食材は?」
「は、唐の王はこの野菜と魚を託しました。」
「良かった・・・これで帝に怒られなくて済む」
大根麻呂は馬車を飛ばして都に帰っていった。