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魔法少女のボスになった  作者: 八九秒 針
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第七話

 熊田先輩と鏡面世界で話した翌日、早速私たちは行動に移っていた。私が魔法少女に協力する上で抱えていた一番の問題、鏡面世界に自由に入れない。これが魔法精霊である熊田先輩が仲間となったことで解決した。これからは積極的に魔法少女の戦いを覗くことにする。覗きと言っても犯罪ではない。私が常に側にいるとわかったら彼女たちが油断してしまうかもしれない。けれどいざという時助けに入れるよう見ておく必要がある。それを考慮した結果、魔法で身を隠して遠くから観察するという結論に至ったわけだ。犯罪じゃない。


「……カメラは……まずいか…?」


 これをやってしまったら一気に犯罪者感が増してしまう。カメラは、諦めよう……。


 『メロメロ着信メロ♪』(携帯着信音)


 携帯が鳴る。着信音設定している魔法少女メガ☆キラちゃんが教えてくれる。今日は休日、呼び出しの名前は熊田先輩、これは早速きたな。


「はいもしもし熊田先輩。私です日目自です」


『鏡面世界で魔法少女が戦ってるわ。出動よ!』


 その掛け声は仮面のライダーみたいだな……まぁいいか。

 今から熊田先輩と待ち合わせとかすると時間が勿体ないので魔法で熊田先輩目掛けて転移する。今は家にいるようだ。熊田先輩に限らず魔法精霊は近くの者しか鏡面世界に連れていけないそうなのでこういう手間が必要になる。私には魔法があるから特に問題にはならないが。


「来たわね日目自くん。行くわよ、結界起動『鏡面世界』!」


 さぁ、遂に魔法使いが動き出す。


  ◇


「秋!シールドお願い!飛鳥は回復を!」


「「任せて!」」


「うおりゃああああああああ!!」


「……しっ!」


 おー戦っとるなぁ。こうして遠くから観戦するのもなんか久しぶりな気がするな。改めて見ると五人組魔法少女のほうには役割分担があるように見える。銀色の魔法少女、秋はシールドを張って仲間を守る防御の要。白色の魔法少女、飛鳥は仲間全体の回復。緑色の魔法少女、真木は蔓で荒魂の拘束。赤色の魔法少女、雪音はメインアタッカー。青色の魔法少女、愛子は……仲間の強化、か?よくバランスのとれたチームだ。黒色の魔法少女、雫はとにかく速いし、金色の魔法少女、巴は一撃が重い。


「バランスは非常にいい。あとは個々の練度の問題か。雫ちゃんだけは突出して強いように見えるけど……あれ?でもなんか前見た時より弱くなってないか……?」


「それは日目自くんが分け与えた龍気が減ってきているのが原因ね。龍気は宿しているだけでとてつもない力を発揮するけど、戦っていれば徐々に失われていくわ。技なんかを使えばより早く。折り合いを見て補充してあげたらいいんじゃないかしら」


 願いの力は無限に湧くし、補充するのは別にいいんだが、戦ってるうちに力が失われて弱くなるっていうのはちょっと危なくないか?一回の戦いが長引けば長引くほど不利になるってことだよな?いや私が側にいればいいだけなんだけど、不測の事態ってのは必ず起きる。


「なにか考えておくか……」


 そうこう思考してるうちに戦いは終わったようだ。やっぱり弱体化してるとはいえ雫ちゃんが一強だな。これから何があるかわからんし、今のうちに他の魔法少女にも龍気とやらを分け与えに行くか。


「それじゃ行きましょうか熊田先輩―――」


『『『ギャオオオオオオオ!!』』』


 ―――景色が変わった!?日本じゃない!鏡面世界さんに御呼ばれしたってわけか。


「ここは……ロンドン!!」


 見覚えのある時計塔、あれは最近見たものだ。しかし荒魂までいるとは……!!この間まとめて倒したばかりだろ。しばらくは休んでて欲しいものだね。

 だが愚痴を言っても仕方ない。今の私には戦う理由がある。明確な理由が。


「感知できる範囲にはこの三体だけ。潰れ―――」


「ジャスティスキィィィックッ!!」


 誰か降ってきた!?ここは鏡面世界だぞ?一体誰が……。


 シュタッ!


「ヘイ!アナタだいじょうーぶ?危ないから下がってて!!」


「…………はい」


 新たな魔法少女だとぉぉぉぉぉ!?しかも顔立ちがいかにも外国人風だ!ロンドンに魔法少女が現れた!!よし、もっと下がってよう、これは特等席で見なければ。頑張えーーーー!!


「ヤンキーソウル!アタシが相手よ!世界を正義で守り抜く!愛と平和のジャスティスガール!魔法少女リリネット参上!!」


 ま、前口上だとぉぉぉぉ!?!?ポーズまで決めて完璧だ!……この娘、日本の魔法少女より推せるかもしれん……!!


「頑張れリリネットーーー!!ヤンキーソウルをやっつけてくれーー!!」


 荒魂をヤンキーソウルと訳すのさえ彼女の美点に思える。断言しよう、この娘は、強くなる!!


「ふっ、応援ありがとう名も知らぬ人。それじゃあそこで見てて!私が勝利する瞬間を!」


 そんなかっけぇ言葉と共に荒魂と魔法少女、両者が動き出す。なぜ今まで荒魂が動かず待っててくれたのかって?その答えは簡単、お約束だからだ!なんて冗談は抜きにして、どうやら彼女、重力を操ってるようだ。それで今まで押さえつけていたのだろう、やるなぁ。


「はぁぁぁぁぁっ!!ジャスティスパンチ!ジャスティスチョップ!ジャスティスデコピン!はぁ、はぁ、くっ強い……!!」


 リリネットの攻撃は荒魂を怯ませるものであったが、有効打にはなりえなかった。


「リ、リリネット……!頑張ってくれぇ……!!」


「アタシは…愛と平和を…守り抜く……正義のぉ…!ヒーローだぁ!!世界の皆!アタシに力を貸して!アタシが皆を守るから!!」


 リ、リリネットォォォォォォ!!!君の言葉、確かに世界(鏡面世界)に届いた!きっと世界の(鏡面世界の)皆が力を貸してくれる!今鏡面世界にいるのはきっと私だけだよな?よし!皆(私一人)力を貸してくれるってさ!


「リリネット!私の力(願いの力)を使ってくれぇぇぇぇ!!(事実)」


 雫ちゃんに分け与えたのと同じくらい……いや!倍あげちゃおう!頑張えーーー!!


「力が……漲る……!!ありがとう!あとは、アタシに任せて!!」


 リリネットが黒く鈍く光る龍となる。雫ちゃんと同じ色のようでまるで違う、リリネットの魂の色だ!


「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「ジャスティス!タックルゥゥゥゥゥッ!!!」


『ギャオオオォォォ……』


「勝利の……V!!」


 正義は勝つ……か。へへ、いいもん見れたぜ。

 

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