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魔法少女のボスになった  作者: 八九秒 針
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第十九話

「精霊界に行くぞ、ホワイト」


 その言葉に驚く暇もなく、私はあれよあれよと精霊界に行くことになった。確かに時間はないけどもうちょっと優しくしてほしいね。


「いいかホワイト、精霊女王様には私が話をする。ホワイトは私の横で大人しくしているんだ。いいな?」


「はい」


 このやり取りも何回目だろうか?もうわかったってイクサ。私は人見知りだから心配しなくても黙ってる。


「精霊界に入るには普通、厳しい審査が必要なのだが今回は私がいる。私はこれでも精霊界では有名人でね。顔パスだ。さ!行くぞ!」


 イクサってホント何者?ただの魔法精霊じゃなさそうだな……。しかしそんな私の疑問の目にもイクサはどこ吹く風。サッと私の腰に手をまわしたかと思えばもの凄く密着してきた。顔が近い近い!!あとキモい!!


「ふ、ふふふ。で、では行くぞホワイト。じゅ、準備は、ふふ!いいか?」


「……うい」


 私は全力でイクサから目を逸らしながら答えた。こんなイクサ見たくなかったよ……。


「よし!デュフッ!結界起動『精霊界』!!デュフフッ!!」


 …………。



  ◇



『ようこそ精霊界へ』

『許可紋を』

『お見せ下さい』

『『『さぁ早く』』』


 全力で逸らしていた視界が緑あふれたものに変わる。そこで巫女服の狐人三人が矢継ぎ早に言葉を述べてくる。どうでもいいけど三人共そっくりだな。

 しかしべったりくっついてる私とイクサに白い目を向けてきているので我慢ならない。何に我慢ならないって勿論イクサにだ。お前そろそろ離せい。

 私はいそいそと無理やり離れて身だしなみを整える。チラっとイクサの顔を見れば本気でホワイトの姿をとるのは止めようか悩む。


「イクサ、顔パスなんだろ?早くして」


「うむ……うむ。あれは良いものだ。ふぅ。……さて、私はイクサだ。至急精霊女王様にお会いしたく、馳せ参じた。こちらは私と親しい魔法使いだ。通してもらえるかな?」


 最初は軍服も似合っててかっこいいと思いました。でも今はどことなく香る変態臭。親しいとか言うのやめてもらっていいですか?


『ご許可が』

『おりました』

『イクサ様』

『『『どうぞお通り下さい』』』


 精霊界は変態が顔パス……か。世も末だな。


「行こうかホワイト。精霊界の見学は後回し、早速我らが女王に会いに行こう」


「手は繋がんぞ」



  ◇道中◇


「きゃ!イクサ様よ!」

「素敵!」

「私生で見たの初めて」

「本の通り凛々しいわぁ♡」


 今すぐ魔法少女メガ☆キラちゃんを精霊界で広めたくなりました。こんなの間違ってるよ。しかし、何より気になるのは。


「荒れてるな、ここは」


 精霊界は緑美しいところだ。だがその緑が所々傷ついている。門のあったところはそれほどでもなかったのに道を進むにつれその景観は荒れる一方だ。それに今私たちが進んでいる方向にはイクサの言葉通りなら精霊女王様がいるはず。一体何があったのか?


「過去、この精霊界で荒神との戦いがあったのだ。まぁ、その話はいずれしよう……」


 話したくないことらしい。この傷跡を見れば相当な戦いだったのだとわかるが、教えてくれる気は今はないようだ。

 もやもやした気持ちの中、私たちは精霊女王様のいる神社へと到着する。待ち人来たれり、とでも言うかのように、扉はゆっくりと開いていった。



  ◇


「ここは……?」


 気がついたら私は霧の中にいた。手を回してみるが周りには誰もいない。はて?イクサは何処に、いやここは何処だ……。私はこれから精霊女王様と謁見するのではなかったのか。記憶がはっきりしない。


「ここが何処だかわからないって顔してる。じゃあ私が誰だか当ててみて。にひひ」


 何処からか声がする。女性の声だ。霧の中でやけに耳に残る。いきなり誰だか当ててみろって?


 そんな無茶な、とは思わなかった。


「―――メガ☆キラちゃん?」


 私のよく知る声がした。


  ◇sideイクサ◇


「今頃ホワイトは、いや白は、『捕らわれの牢獄』で彼女と出会っている頃ですか。よろしかったんですね?精霊女王様」


 私はホワイトに嘘をついた。ホワイトを連れてきたのは精霊女王様のいらっしゃる間ではなく、『捕らわれの牢獄』と呼ばれる場所に繋がる門の前。私はホワイトを騙したのだ。だがホワイトも私を騙している。その正体が白であることなど最初からわかっていたがね。


「イクサ率いる『連聖』では試練に挑む事すら許されなかった。だから次世代の魔法少女へ託すため協力者の位置についた。でも……もう待てないのです。そんな折現れた古の龍王……ダメならそれでよかった。でも可能性が僅かでもあるのなら、彼女が救われる姿がみれるなら、私は―――」


 精霊女王様はその言葉の続きを言わなかった。だがわかる。何故なら私も心同じくする者だからだ。

 きっと精霊女王様はこう言いたいのだろう。


 『私は本当の意味で救われる』―――と。



  ◇sideホワイト◇


「あははっ!せーかい!私が魔法少女メガ☆キラちゃんであーる!にひひっ!」


 これは夢か?間違いなくメガ☆キラちゃんの声。でもこんなセリフ私はアニメで聞いたことがない。そりゃ妄想なんて数えきれないくらいしたけども、はっ!?まさか私の愛が深すぎるばかりに!?


「ありがたやありがたや~」


 取り敢えず拝んどこう。この夢がずっと続きますように。


「あはっ!今回の人はなかなか面白そう!あなたは私を、救ってくれる?」


「もちろんです!私が魔法使いになったのはきっとその為だったに違いない!でも何から救うんです?」


 メガ☆キラちゃんから救いを求められてつい勢いで答えてしまったが、考えてみればメガ☆キラちゃんは救うことは多々あれど救われる状況に陥るところは見たことがない。ここが凄い!メガ☆キラちゃんポイントだ。


「まだ少し時間もあるし、昔話をしよっか」


 私の質問には答えず、代わりにメガ☆キラちゃんはそう言って語り出した。



 ―――あるところに精霊と人間の混血子がいました。その子は女の子で、人間界ですくすくと元気に育ちました。幼児から少女へ、子供から大人一歩手前まで、女の子は成長しました。

 そんなある日のことです。女の子は魔法少女になりました。混じる精霊の血でとても強い魔法少女へと女の子はなったのです。

 荒魂をあっちでぎったん、こっちでぎったん。女の子は皆の笑顔が好きでした。だからその笑顔を守る力を手に入れて、女の子は戦わずにはいられなかったのです。

 女の子の周りには、いつの間にかたくさんの仲間ができていました。魔法少女に魔法精霊。共に戦う仲間です。女の子は幸せでした。戦っている時もいない時も、女の子の周りには笑顔で溢れていました。

 だけどその笑顔を奪わんとする者が現れます。荒神です。なんと荒神が精霊界に現れたのです!

 すぐに女の子たちは討伐に向かいました。笑顔を守らんがために。

 決戦の地。戦いは死闘の末、魔法少女が勝ちました。女の子たちは笑顔に包まれました。でもそこで異変が起きます。荒神が滅んだ場所から世界に亀裂が走ったのです。それは荒神の最後の呪いでした。

 このままでは精霊界が侵食されてしまう、慌てた女の子たちは侵食を止めようとします。でも魔法少女たちの力は届かず、ただ唯一侵食を防げたのは女の子の力だけでした。

 女の子は侵食を止めるため、一人亀裂に飛び込みました。それしか止める方法はなかったのです。

 亀裂の中から侵食を止めた女の子は、もう二度とそこから出ることはできなくなりました。亀裂の中の世界は荒神や荒魂がたくさんいるだけで、笑顔はありませんでした。

 女の子はそこで戦ううち、悪意に汚染されました。魔法少女の荒神の完成です。 おしまい。




「そろそろ時間だね。これからあなたは私と戦うことになる。荒神に堕ちた私と。荒神は滅ぼさなきゃ。だから、お願い。私を救って?私を、きちんと終わらせて」


「…………」


 魔法の確認。変身を解く。大丈夫、問題ない。ちゃんと白に戻れてる。

 私のやるべきこと。私がここに来た理由。メガ☆キラちゃんの言いたいこと。全部わかったよ。


「その上で宣言しよう。私は、私の理想を叶える」


 もうただ夢見るだけじゃない。私は魔法使い、私の魔法は、理想を叶える。それを邪魔するというのなら。


 ―――そいつは、敵だ。

 

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