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魔法少女のボスになった  作者: 八九秒 針
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第十八話

「さて、じゃ、荒魂も倒したことだし帰りますかぁ。帰ったらまたイクサさんはホワイトに説明の続き、すんでしょ?」


「ああ、これから互いに背を向けて戦うのだ。話して損なことはない。が、ホワイトにもそう時間はないのだろう?移動しながら話すさ。だから恵、柚子、京子、ここで別れるぞ」


 まだ微かに涙の残る目で、イクサはそう言った。涙の理由は魔法少女メエガ☆キラちゃんの素晴らしさに感動したからで、別に恵たちとの別れを惜しんでいる様子はない。


「いいか三人共、荒神を決して侮るな。奴らを許してはならん。奴らを生かしておいてはならん。奴らをつけあがらせてはならん。これからの戦い、苛烈を極めるのは言うまでもない。だが今一度その心に刻め。私はお前たちが倒れる姿は見たくない。死すべきは、荒神だ」


『ルル~~……』


 イクサは荒神に対して強い憎しみを持っている。それは仕方のないことだ。荒神は悪で、その悪に今までどれほどの善が消されてきたのか、苦しめられてきたのか。それを想えば仕方のないことなんだ。ルルだって本当は許される存在じゃない。私が善に変えたところで、積み重ねてきた悪は消えない。


(でも、私の理想は―――)


 私はそっとルルを抱きしめた。今は理想は理想のままでいい。例え叶える力があっても、叶える覚悟はないのだから。


「イクサさん……はい。私たちは倒れません。だからイクサさんも、ホワイトも、ルルも、皆揃ってまたホットミルクを飲みましょう。あのもぐら亭で。約束です!」


 恵が手を突き出せばそれに柚子と京子も手を重ねる。それは約束事というよりは団結にすることでは?とも思ったが野暮なことは言うまい。私も手を重ねれば、イクサも手を重ねる。モグリンも無言で手を重ねた。


『ルル~~~!!!』


「「「わっ!」」」


 ルルが丸まって重なった手の上に勢いよく乗る。意外と重たくて魔法少女三人組が驚く。


「それじゃっ!」


「「「「「約束!!」」」」」



  ◇



 恵たち魔法少女とは鏡面世界で別れた。私とイクサはそのまま鏡面世界を移動して国外―――外国の魔法少女の元へ向かう。


「ハワイに魔法少女がいるんだな?イクサ」


「ああ、彼女の相方たる魔法精霊とは知己の仲でね。かわいい後輩なんだよ」


 というわけで私たちはハワイに飛んだ。空間跳躍など私にとっては朝飯前だが、イクサは大層驚いていた。……これからも行動を共にするのならイクサには私が白その人であると伝えたほうがいいか?いずればれることであるとは思うし……いやいやイクサはかわいい私、つまりはホワイトだからついてきているのだ。お兄さんではダメだろう。まだ隠しておこう……。


「では現実世界に―――むっ!?」


『グオオオオオオ!!!』


「「荒魂……!!」」


「まったく落ち着いて話す暇もないな。ホワイト、いけるか?」


「任せロリ」


「…………」


 な、なんだイクサ?その顔はなんだ?その無言はなんだ!!くぅ!別にいいじゃないか!見た目可愛い奴が言ってればいいんだろ!?今のお兄さんは可愛いはずだ!!


『グルルルル……』


 心なしか荒魂にさえ馬鹿にされている気配。くそっ!お前許されないことをしたなっ!!


「新たに考えた必殺技をぶつけてやるぅっ!!ゆくぞ!シャイン!!」


 ホワアアアア


 シャインは天から光を落とす魔法。それ自体にダメージはないが、その分広範囲だ。照明代わりに開発した魔法だが、私は閃いた!ここからかっこいい魔法に繋げる案を!

 右手を頭上に掲げ、その掌の上に光を収束させる。収束した光を回転させ、渦巻く一本の光柱とする!


「喰らえっ!奇跡集いし超常の剣(エクスカリバー)!!」


 ドゴオオオオン!!


 荒魂は跡形もなく消し飛んだ。私の勝ちだ。


「んふふ!どうよイクサ?ってあれ?」


 勝ち誇ってイクサに振り向いたら誰か知らない娘がいた。それと浮遊する白い炎。これは件のハワイの魔法少少女登場か?


「キミ凄いねぇ!ボクと遊ばない?あ、ボクは魔法少女イシュバラちゃんだよぉ☆」


『メラはギャルメラ。よろしくメラ~☆』


 な、なんか軽い!ギャルだ!ギャルの魔法少女と魔法精霊がペアを組んでる!!


「紹介しようホワイト。この白い炎が私のかわいい後輩のギャルメラ。炎が白いところがなんとなくギャルっぽい。そしてハワイの魔法少女のイシュバラ。ギャルメラに感化されてその道を進むことになる。仲良くしてやってくれ」


「「ヨロぴ~☆」」


「は、はい……よろしく……」


 私の苦手なタイプがきた、きてしまった!ギャルってとにかく人を揶揄うのが好きなイメージがあってどうにも……。イシュバラさんのあの目、面白いものを見つめる目だ。私は既に狙いをつけられているっ……!?


「ボク、自分以外の魔法少女ってあんまし見たことないんだけどぉ、なんかホワイトの衣装めちゃかわいーね。てゆーか衣装ってより制服?似合ってるよー」


「……っ!?!?」


 この娘……いい娘だ!!そうかそうかこの制服の良さがわかるかぁ!こんなところにも魔法少女メガ☆キラちゃんのファンが出来てしまうなー。んふふ!!そうだよね、ギャルっぽいとは言え魔法少女、私の好きと嫌いが同棲しているようで納得いかなかったが、これも一つの個性と言えるな!


「よろしくな!イシュバラ!ギャルメラ!私はホワイト、こいつがルルだ」


『ルル~~♪』


「さて、距離が縮まったところで、我らがここに来た理由を話そうか」


 イクサの一言でハッと我に帰る。そうだ、浮かれている場合じゃない。私には果たさねばならぬ役目がある。この魔法少女にも来たる荒神との戦いに備えてもらわねばならない。私は改めて気を引き締めた。



  ◇



「ふーん。いいよ!協力したげる!ボクもこれでも魔法少女だしねー!!」


『あたしも手伝うわよ先輩!このギャルメラにまっかせなさい!!』


 ここは現実世界のイシュバラの部屋。そこで恵たち魔法少女にした話を彼女たちにもしたところ、心よい返事をしてくれた。これでまた一歩前進……か。


『でもイクサ先輩、この先もこうやって一人一人魔法少女に声をかけて協力を募るつもり?それはナンセンスよ』


「お前もそう思うか?やはり頼んでみるべきだろうな、あの方に」


「あの方?一体誰のことだ?イクサ」


 なにやら気になる話をし始めた。もしかして魔法少女に一遍に話を通すことのできる人がいるのか?


「ホワイト、精霊界に行くぞ」


「え?」


「精霊界で、我らが女王、精霊女王様に会いに行く」


 え、ええええええええ!?!?

 

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