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魔法少女のボスになった  作者: 八九秒 針
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第十五話

「ここが別世界……。熊田先輩は並行世界のようなものと言っていたが、本当に来れてしまったな、はは」


 後悔はない。今更戻りたいだなんて思わない。私の決意は固いのだ。これから数多の世界で頑張れる気力はもう貰っている。

 あの喫茶店で彼女たち魔法少女からサインを貰った後、私は旅支度を整えた。といっても持っているのは肩から下げた鞄だけ。この鞄は魔法で工夫を加えているのでその容量は文句なしだ。中にはルルも入っている。


「ゲームとかはあんまりやらないけど、こういう便利アイテムもあるんだってね。私はこれから守るべきものが増える。私が直接守れない時もあるだろう。そういう時の為に彼女たちに持たせる何かを考えておくか」


 持ち運びを考えるとそう大きなものはよくないな。勇者が聖剣を持つなら魔法少女は魔法のステッキを持つ。あれなら剣と違って刃物じゃないし何より似合う。当面の目標にそれを造ることも加えよう。


「しかし別世界にきたとはいえ心配事もある。私は自分の意思で鏡面世界に入れない。熊田先輩とも離れた以上、これから行く世界でも魔法精霊の相方が必要だ。はは、私は観客席で応援している方が好きだったんだけどね」


 これからはアニメの主人公のように自分で動いて仲間を探さなければならない。私と一緒に世界を渡ってくれる酔狂な魔法精霊にでも会えれば、これからの旅も少しは楽になりそうなのだけれど。

 そこまで考えてふと思う。そういえば魔法精霊も精霊界とやらから世界を渡ってきているんだった。だとすれば私にずっとついてきてくれる子がいてもそうおかしくはないか?


「……でも私はあなたについてきてほしかったですよ、熊田先輩」


 勇気を出して誘えばよかったか。私と世界を渡ってくれませんか?と。だが言えなかった。熊田先輩から感じるあの世界への拘り。彼女はもうあの世界の一人の人間として生きている。私にそれを邪魔する資格はない。今までたくさん世話になったんだ。これ以上甘えてどうする。


「……行こうか。まずは魔法少女を探す。サーチ!」


 気を取り直して魔法で魔法少女を探す。魔法精霊は必然その近くにいるだろう。もう既に相方は決まっているのだろうが空いている魔法精霊の紹介くらいはしてくれるかもしれない。そんな期待もこめて魔法少女を探す。


「あっちの方向。千里眼で確認。……いた、あの三人組か」


 見つけた先には学校から揃って揃って出てくる三人の少女。今は体操服だが魔法少女で間違いない。しかし……。


「これ凄い犯罪者感が……。しかもこれから話しかけに行くんだよなぁ……はぁ」


 世界のためだなんだと言っても、やはりこういう使い方は慣れないな。魔法は清く使いたいものだ。

 

「さて、罪悪感はあるが動かないわけにもいかない。まだ昼だから学校が終わるまでは時間があるが、見たところ彼女たちは魔法精霊のようなものは持っていなかった。教室に置いてきたか、それとも更衣室か……。後者は考えないようにしよう。それより魔法精霊と接触するチャンスだ」


 彼女たちが体育の授業で席を外している間、一対一で魔法精霊と話せる。魔法少女より世界の事情に詳しい分、いきなり彼女たちに突撃するより私のダメージは少ないはずだ。


 行動開始。


  ◇


「よっと……潜入成功。姿も音も匂いも消した今の私は誰にも見つからない……悪いことはしないぞ?」


 誰に言い訳してるか自分でもわからんがきっと自分に活を入れてるんだろう。大丈夫だ日目自 白、お前は道を踏み外したりしない。


「まずは教室をチェック……そういえば彼女たちの教室どこだ……。ええいサーチ!魔法精霊にも魔法は通ずる!そこだぁ!」


 ガララッ……シーン…………


 勢いよく目的の扉を開けるも反応なし。魔法精霊は一般人にその正体を知られてはいけないのだから当然か。だが間違いなくこの部屋にいる。

 今の私は感知できない以上、魔法精霊からしたら勝手に扉が勢いよく開いたように見えただろう。怖いかもしれないが私も怖い。ここで誰かに気付かれたら私は終わりだ。扉は静かに開けましょう。

 反応のある教室後ろの棚の前に立つ。今私の視線の先にある鞄から反応はある。しっかりチャックは閉じてるし扉が一人でに開く怪奇現象は目撃ならずか。だがそんなことはどうでもいい。


「もし、魔法精霊さん。私は白。魔法使いだ。協力を頼みたい」


 声だけ聞こえるように魔法を調整し、話しかける。こんなドンピシャで魔法精霊の名をだしたら自分の存在を認知されてるとわかって答えてくれるだろう。……答えてくれるよね?


『…………』


 答えてくれませんでした……。だが諦めない、女子高生の私物に触る度胸はなくとも、女子高生の私物に話しかけ続ける度胸はあるのだ。私を甘くみるな。


「あのリボンが可愛らしい三人組が魔法少女だということも知っている。荒魂と戦っているということも。頼む、話を聞いてくれ。荒神が世界を滅ぼすかもしれんのだ」


『……放課後、もぐら亭という喫茶店にくるモグ。魔法少女がいない場では話せることも話せないモグ』


 返答があった。語尾はモグ。もぐらの魔法精霊か。しかし魔法少女がいないと話せない?そういう制約でもあるのだろうか?だがアポはとった。一対一で話せないのは少し残念だが、これで魔法少女とも話せる場ができたことになる。ここはこれで引こう。


「では放課後、もぐら亭で」


 そう言い残し私はその場を立ち去った。空いた時間でもぐら亭を探しておこう。


  ◇


 放課後。どこの学校の制服かもわからない綺麗な格好をした、白髪白眼の美少女がそこにいた。私である。


「私は今から女子高生っ。表では聖キラビクル女学園で青春を送り、裏では魔法少女として世界の悪と戦う、良い子の味方!メガキラりん☆」


 世界は超えても魔法少女メガ☆キラちゃんへの想いに変わりはない。あなたの力(設定)、借りさせてもらいます。

 なお、容姿は適当に白の名に合うような見た目にした。メガ☆キラちゃんを借りるのは流石に度胸がいる。

 ともかくこれで放課後女子高生とお茶しててもおかしくない。私は避けられる問題は避けていくスタイルだ。さぁ、魔法少女よ、いつでも来い。

 

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