宝石箱の鍵(1)
「えーっ!!えっ、嘘っ、そうだったんだ!」
「まあ兄様はとても強いですし、そう言われれば確かにって感じしますね」
「そうだよね、よく考えたらそもそも光兄の方が裏なんだから、前世ないのは可笑しいもんね!」
「でもまさか……」
「あの光兄が……」
「「【最初の王】だったなんて!!」」
また再び、声が揃いました。
「滅茶苦茶意外!!たしか、天使の未来がこのままじゃ大変だから、みたいな理由で……」
「天界の最終的な制度を組み上げた人、で――」
ですよね、が言い終わるより先に、足場が崩れて落ちていくような浮遊感を覚えました。
それもそのはず、本当に、物理的に、僕らは落ちていたのでした。
「えっ弘、これってやばくないぃぃぃぃ!?」
ぼうっとして成すすべなく落ちていった高菜と違い、僕はすぐに羽根を広げたのでほとんど何ともありません。
しかしまあ、当然と言えば当然かもしれませんが、なんと僕ら以外の天使も、天界という空間からはじき出されたように空に浮いていたり高菜と同じように落ちていたりしていたのです。
ここはおそらく人間界で、早朝だというのは分かるのですが、何故、こんな事態に、という疑問がつきませんでした。
そんな中、黒い羽根がぽつぽつと浮かぶ中で異彩を放っているのが真っ白な羽根を持つ――。
「――兄様?」
――兄様は、どこかに行っていた。
そこに鈴様は合流したと思われます。
鈴様が兄様のもとへ直接飛んだというのなら、兄様の用事である可能性が高い。
兄様と鈴様は天主。
そうでなくとも兄様は【最初の王】なのだから、『核』の場所を知っている。
『私たちこれでも天才なんです』『【天使の集会】以降どこかに行ってしまいました』『思念体のままでも移動できるらしいですね』
鈴様は、自分のことを天才だと自負している。
そのくらい魔法は得意分野だと考えていい。
鈴様は兄様の居場所を知らなかった。
けれど飛ぶ場所を記憶からではなく魂や、それこそ魔力から設定することもあの人ならもしかして、と思う。
【天使の集会】が終わった時点で兄様は行動を始めていた。
充分に計画したうえでの『どこかに行ってしまいました』である。
そして兄様は【最初の王】。
僕だって勝てないような、そんなすごい人が守る核を、誰が割れる?
そんなすごい人が創った核を、誰が壊せる?
そこまで考えて僕は、兄様が『核』を壊したのでは、という考えに吞まれました。




