表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▷アグリーメント  作者: px-h
第5章 祝福と天呪
56/64

水色の宝石箱(2)

二日分ってことでもいーい?


キィー、と。

扉の開く音がした。

やることがなくてぼーっとしていた俺は、誰かが来たことに驚き、その人物の顔を見てさらに驚いた。


「光――?」


「初めまして、貴方のお名前は?」


初対面だと言わんばかりの態度に思わず口をつぐんだ。

まるで別人のようだった。

誰にでもタメ口を改めず、ものすっごくふてぶてしいあいつとは全く違うことが一目で分かった。

頭の上の冠は神々しく輝いていて、彼女の金髪にとても合っていたし、ツインテールは彼女に似合っていて、美しいと思った。

けれど、何もかも違うように見えたが、容姿はそっくりだった。


「渡辺、凛」


「リン……そう、凛。質問をさせてもらいます。貴方は、自身の母親の顔と名前を言うことができますか?」


「え?そりゃ――?」


覚えているに決まっている。

そう言おうとして、固まってしまった。


「――あれ?」


分からない。

遊園地に連れて行ってくれたはずの母は。

俺をあの時叱っていたはずの母は。

玄関で麗華を抱きしめて泣いていたはずの母は。


あの日の。あの時の。あの瞬間の。あの思い出の――!!



記憶にある『母』は、誰だ?



どんな顔だった?どんな声だった?どんな性格だった?

何も思い出せないだなんて、そんなことがあってたまるか。


「嘘だろ……」


光棄の見た目をした目の前の彼女は俺を憐れむような目を向けていた。

と、同時に。


「失礼します」


俺をここまで連れてきた銀髪の彼女が後ろに誰かを連れてやって来た。


「ああ……彼女は『欠片』の隣にでも置いておいて、音和以外は退出してください」


「かしこまりました」


銀髪の彼女が指示を出すと後ろにいた何名かが扉を通って一見ただの人にしか見えない黒髪の女の子を俺の後ろに運び込んだ。

そう、普通の女の子なのだ。

しかし唯一、彼女の背中に生える薄く透けるピンクの羽が明らかに人でないことを分からせていた。


「うぅ……?」


そして彼女が置かれて間もなく、麗華の痣が薄れていく。

麗華は小さく呻いた。


「麗華!?」


「あー、ストップストップ。絶対触んなよ、お前まで死ぬから」


「……は?」


しかし俺が椅子から飛んで麗華に駆け寄ると後ろ襟をぐっと引かれた。

めちゃくちゃ痛いしはっきり言って苦しかったが、それどころではなかった。

物凄く聞き覚えしかない声が聞こえたのである。

幻聴を疑ったが、襟を掴まれたほうを振り向くと、それは間違いであることが分かった。


「おんっまっ……光棄かよ……!?」


「せいっか~い」


この年上すら敬わないウザい喋り方、そして先ほどと打って変わったような雰囲気、声。

おまけにこのムカつく笑い方……。

間違いなく、こいつは、光棄である。



評価とブクマ登録お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ