エレメンタル・コア(1)
いやね?
これ昨日の分だから。
努力は報われない。
もっと言うなら、努力は簡単には報われない。
努力という薄い膜を何百と重ねて大成する者も、生まれたときからある才能という【贈与】により膜が分厚いことを利用し高みに至った者もいる。
しかし越えることが不可能と言い切れる高さは存在し、生まれた瞬間から一生における最高と最低は決まっているのだ。
約1億年前、天使の権力が最も低い地の底へ落ちた時代、当時天主はエネルギーを地上に吸われていくばかりの天界を見て、このままでは駄目だと悟った。
そして技術や能力を次世代へ向けて進化させていくため、循環式魂蘇生魔術具――もとい、【循環式魂蘇生機械】を天界に組み上げた。
それは死んだ天使たちを新しく産まれる子供たちに埋め込むことで、戦う術などを何時までも途切れさせないため。
天使や精霊の運命を左右するほどの大きな魔術具を創った『彼』の名は莉月。
現代世界において光棄という名を持ち、自身が創造した【循環式魂蘇生機械】によって現在の天主【鈴】に埋め込まれた魂であり、8歳の鈴が冤罪をかけられ追放されてからつい最近までずっと鈴の体を使い動いてきた、使い続けていられた天才である。
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「鈴は、昔。大昔に、出てこなくなった」
高菜はバトンを振り回し続ける理桜瑠の左目が光りだしていることに気づいていた。
どこか義理の兄の面影を感じさせるその様子についても。
「だから、ね?ずうっと光棄が出てた。私と再開できてからも、ずっと……。光棄は誤魔化せてると思ってたぽいっけど、鈴じゃないってのは分かってた」
「……それって、何でですか?」
聞いたのは、自分の後ろで敵を凍らせていた弘。
いや、【姫花】だったのかもしれない。
「お母さんが死んだから、かな。詳しく言うなら、高菜様に使われた毒をお母さんに使われたから」
「……え?」
思わぬところで自分の名前が出てきたことに驚く。
そして彼女が毒という言葉を使ったことから、自分が毒に侵されていたことは分かっているんだと認識させられた。
ばいっ!




