──は闇(6)
あーー!
待って、イヤうん、無理だわ。
宿題という名の怪物に追われてる。
明日!!明日は出すから!!絶対っ!!
「ところで、『欠片』の様子は?」
少し避けていた話題について言及され、音和は顔を強張らせる。
「――変わらず眠っております。やはり近づくものを攻撃するような素振りはなく、しかし確実に紋が広がっており……正直、かなり危険な状態かと」
せめて反感を買わないようにと、鈴の顔色を窺いながら話した。
「ああ、そのことでしたら貴女がこちらに連れてきた高菜と弘を除く花の家族に会わせてください、天界などについての説明も」
「……よろしいのですか?」
しかし鈴が声色1つ変えなかったことに驚く。
地上界の家族を大切にしていると思っていたからだ。
「はい、それと精霊の住処の散策と義父様へ面会の申請をお願いします」
「了解しました、お姉様。……それでは」
小さな疑問を抱えながら会釈をして音和は部屋を出た。
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「――わかりました。それで、理桜瑠……様、えっと……今日はどういったご要件で?」
「……あー、そうでしたそうでした、光棄から頼まれている仕事があるんですけどやりま――」
「「やります!!」」
自分が言い終わる前に食い気味で答えてきた二人に、若干体がのけ反る。
「……おぅ?相変わらず光棄のことが好きなんですね、お二人は」
「はい、大好きですね!」
「そりゃあ、まあ……」
光棄の話題を出されて急に元気を出した弘と、先程の余韻がまだ残っている高菜。
愛されてるな、と口角が上がっているのを感じながら理桜瑠は思った。
「んじゃまあ、何であんな風に彼女が豹変したのかについて、お仕事しながら話しましょうか」
理桜瑠は小さな蒼い玉の乗った右手を差し出し、羽を広げた。
「「……はい!」」
続けるように二人も羽を広げ、玉に手をかざす。
次の瞬間三人が居たのはとある森。
理桜瑠は森の上を飛ぶ最中、三人へ話をした。
それは、少し自分より小さい子供への説明であり、未だ現実に納得できていないもう一人の自分への釈明でもあった。
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「ごめんなさい霊君、凛君、陽太君……悪いけど学校を休むことについては連絡をしておいたわ」
凄く雰囲気が重かった。
いつも兄弟をまとめてた麗華兄さんがいないっていうより、ここがどこか分からなかったのと、お母さんの顔が、知り合ってから見たことないくらい真剣だったからだと思う。
「言うかはとても迷ったのだけれど……貴方達には、知っておく権利があると思ったから、話すことにしたの。よく聞いてくれるかしら?」
一瞬、聞いちゃいけないことのように思えてしまった。
聞いてしまったら後戻りなんてできなくなりそうな、恐怖に呑まれてしまいそうな、そんな気分。
けど、ここまで真面目に考えてくれた上での話だから、聞かなきゃいけないと思った。
「私や光棄、高菜や弘、そしてこの家に来るまであった人は、皆……人では、ないのよ」
ばいびー!




