──は闇(4)
やっべ朝出そうと思ってたのに親から押し付けられた洗濯干す作業で忘れてた!!
いま受験休みなんだよねー、勉強やだなー。
「失礼します」
「……光、姉?」
眼の前の光景を受け入れたくなくて、高菜は固まった。
扉を開けて入ってきたのは光棄だったのだ。
「鈴でお願いします。これから光棄を出すことはないと思うので」
冗談かもしれないという淡い希望を彼女は、【鈴】は薄い笑顔で正面からへし折った。
そして固まったまま言葉を発さない高菜を放置して鈴はダメージが大きい矢のような言葉を続ける。
「話を戻しますが、貴女が解放状態となったのは毒など外部からの影響である可能性が高いです」
「……は」
高菜は鈴が言っていることも、何故鈴が出ているのかも分からず、理解もできなかった。
「貴女のことを信じていない訳ではありませんが、他の者に聞いたことを踏まえても『欠片』は半永久的な昏倒状態にあり、貴女が解放状態になり戦闘となった際も攻撃を一切してこなかったそうです。まだ今回のことについて関わっている人物を割り切れていませんが、十中八九精霊側の者でしょう。調査は続けるつもりですので、ご協力お願いします」
「了解、しました」
だから頷くことしかせず、後で鈴が現れてからうつむき続けている弘に聞こうと決め、
「それでは私はこれで」
高菜はそう言って去っていく、ツインテールに王冠を乗せた鈴を視界に入れないようにしながら頭を垂れ、鈴が現れてから一度も笑顔になれなかった顔を歪めた。
「「……」」
「はーい沈黙・落胆・絶望・意気消沈・失意泰然全ー部やめましょー?」
そしてそのまま本当に去っていった鈴に呆然としていた二人の沈黙を破った、そう文字通り音を立てて天井を突き破り落ちてきたのは、理桜瑠。
「……理桜瑠様、いえどっちですか?」
堂々と真っ白な羽を出してやってきたことに驚き、二人はまたも沈黙する。
今度沈黙を破ったのは、高菜だった。
「理桜瑠ですね!今蘭は死んでるんですけど……出したほうがいいですか?」
「いえ、そのままで大丈夫ですが……光姉はなんで――」
ずっと聞きたかったことを、一番良く知っているであろう人物に高菜は聞いた。
しかしその声は止まる。
理桜瑠がハンドサインで静かにと表したからだ。
「光棄って言うの一回やめてください、高菜様にいろんな危険が及んじゃいます」
「……え?なんっ――」
なんでと言いたかった。
問い詰めたかった。
またも高菜の声が途切れたのは、いつも見ていた笑顔じゃなくて光棄なら絶対にしないはずの寂しそうな笑顔が、理桜瑠の薄い笑顔が、光棄に重なって見えてしまって。
とても気持ち悪くて、仕方なかったから。
「彼女は光棄じゃなくて鈴です」
「――っ!!」
俯き気味の理桜瑠が発した言葉は、間違いなく3人の心に深く、刺さった。
あざました!
次は日曜だよ!




