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▷アグリーメント  作者: px-h
第4章 天使と精霊と人と神
43/64

──は闇(3)

これ昨日の分ね!

だからアウトじゃないから!

ギリッギリのギリでセーフだから!!



記憶があやふやなほど、昔のことだ。

私は黄緑混じりの緑色の草原を全力で走っていた。

目先に見える、同じように息を切らして走ってくる蘭と、手を伸ばして抱き合った。

久しぶりの言葉を交わしてどうでもいいことで笑い合って。

しばらくすると、お母さんとお父さんが追い付いて、隣で話すのを横目に、その日の計画を話し合った。

四人で過ごす時間はあっという間で、いつまでも続けば良いと願うほどだった。


続くことは、叶わなかったけれど。

それでも、戻りたいとは願わない。

願ってはいけない。

戻っては来ない過去に(すが)ってはいけない。


そのために、過去に手を伸ばす私の目を未来に向けるために、俺がいるのだから。





「あ、高菜起きました?」


気が付いたら弘が側にいて、私は()()()家のベッドで横になっていた。


「弘……私、何で」


「解放状態になって、大変だったんですよ!?まったく……どこまで覚えてますか?」


「えっと……真っ白の景色になったとこ、かな?」


ついいつもの癖で、口角が上がる。

しかし弘はそんな私が気に入らなかったようで、目を細めて何もないところを見ていた。


「……笑えないですよ。気づいてますか?糸、何故か繋がらないんですよ」


「――は?」


なんの冗談かと思った。

顔の筋肉が一気に固まった。

被せていた掛け布団を蹴り飛ばすように起き上がる。

すぐに魔力を伸ばしていったけど、誰とも繋がってはくれない。


「……原因、分かる?」


「解放じゃないですか?」


「嘘……!!」


体の、心の芯から冷えていく。

凍え死にそうなほど寒くて、布団を被る。


「戻す方法が分かっていませんし、ていうかなんで解放状態になったんですか?」


(れい)兄から……『欠片』から黒い手みたいなのが伸びてきて……多分、それなんだけど……避ければ良かっただけなのに、大した速さじゃなかったのに、なんであんなので解放になったんだろう……?」


「え?何を言っているんですか?麗華さんは攻撃なんてしてきませんでしたよ?」


「――は?」


噛み合っていたはずの二人の会話はここで完全にズレた。

お互いにそれを認識したからこそ、お互いに気持ち悪さというものを感じるのである。


「ってことは、なんで私は解放になったの?」


そして、またも気持ち悪いくらいにちょうどいいタイミングで、その部屋の扉は開いた。






言えない!

友達とバーベキュー行って浮かれきってたなんて……!!

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