光
よし、よし!!
セーフっしょ!?
──夢を見る。
今すぐ起きてしまいたいと、そう願ってしまう幸せな夢を。
悪夢と言えるのかは、分からない。
少なくとも、夢の中の私は幸せだから。
けれど、現実の私にとって、それは残酷な夢だった。
見たくなんかないに決まっている。
殺した母親と、あの頃の自分が笑い合っている、あり得ない、現実じゃ絶対にあり得てくれない光景だなんて。
見たいわけが、ないというのに。
▷
(敵の情報集めとそれをこっちに持ってくる人、それから敵を軽く引っ掻き回して来る人と……あっちに味方しようとしてる人を探し出す人、だっけ?)
相変わらず命がけの大変な仕事ばっかじゃん、と心の中で名前を聞くと嫌な笑顔しか思い浮かばない妹を罵る。
(──まあでも)
光棄がされてたことに比べりゃ安いもんだよね、と思いながら。
▷
――仮に、そうだとして。
姉様が気づいたのはいつでしょう?
『欠片』は誰だったのでしょう?
……姉様の知人でこの学校の学生は、ダンス部の先輩や後輩、それから渡辺の姓を持つ家族、あとはクラスメイト程度です。その時、気づきました。
僕もまた、姉様の行動から、気づいてしまいました。
脳裏に蘇るのは、走馬灯のような、ずいぶん前の記憶。
その日、僕は兄弟となって日も浅い兄様に、こう聞いたのでした。
──兄様、精霊とはどのように増えるのです?──
──精霊?あぁ、そうだな……お前ら天使は女の双子が殆どで、男が生まれる時は1人だろ?で、獣人は基本的に男女比5対5位の割合で、男女関係なく双子は存在できない。精霊はどちらでもなく、いやどちらかというと天使に近いが、男の双子ばかり生まれるんだ。だから増やすために、妖精の……──
兄様は、言いました。
その辺からはあやふやですけど、この言葉が、意味するのは、つまり──┄僕ら、家族ということで。
▷
「──っ、いつのまに!?」
「はーい残念、見つかっちゃったね〜」
「なんで邪魔するのよ、獣風情が!!」
「獣風情ね……私達からしたら、天使だって獣なんだけどな……うん、でもまあ──」
ヒュン、と何かが空を切る音がして、続いてパリンと何かが割れる音がする。
「──言われ慣れた言葉だね」
「──こっ、来ないで!それ以上近づくなら……!!」
「近づくなら?」
「ひっ」
血にまみれた璃桜瑠を前に、雷花は気を失ってしまった。
床に倒れた雷花の首元すれすれにバトンを突き刺し、抜く。
「……あーあ、これは光棄に自慢できないね」
目も当てられない凄惨な光景を作ってしまったと後悔する。
(しょうがないよね、雷花以外要らないって言ったのそっちだし?)
軽い足取りで先程破壊したばかりの、この塔の核だと思われるモノに触れる。
「──おや?」
すると、何故か元通りにしようとしたのにも関わらず、足下には転移人が現れる。
必死に核に組み込まれた魔法式を読み込んで解読しようとするが、
(まぢか!?)
組み込まれていたのは、恐らく脱出用である触った瞬間の強制転移と、敵が来た時用であろう、魔法封じであった。
▷
[目を、開く]
そこは、真っ白な世界だった。
[声を、出す]
思いが、声となることはなかった。
[手を、動かす]
動かない。
そして、五感が一つも働いていないことに気づく。
[自分が何をしていたかを、思い出そうとする]
しかし、思い当たることがないどころか自分が何者なのかが分からなくて困惑する。
──私は、誰だ?──
答えてくれるものは、現れなかった。
あ、そうだ!
なんかのランキングで陽葵って名前一位になってたんだよ!
忘れたけど!!




