オーナー・シップ
わあああ!
「ごめんなさい、この後は用事があって……」
ヒュ、と思わず、息を飲んだ。
会ったときから、勘の鋭い子だった。
魔力が少ないだけで、剣の才能は、自分より、父親よりもあった。
気づいていた。
初めから、ずっと。
『欠片』がこれを見に来ていたなら、高菜が気づくということも、分かっていた。
けれど、高菜なら、それを知ってもやるだろうと。
羽を出して最後までやるのだ、とどこかで思い込んでいたのだ。
▷
魔力が指し示す方向へ、ひたすら飛ぶ。
見られたらヤバイから、魔力で服から一メートル範囲内の空気を消しながら、時々酸素を飲むのを忘れずに。
(対象、確認)
思えば、この瞬間に私は引き戻すべきだった。
そうしていれば、きっと、誰も悲しませないまま──。
▷
「……姉様」
呆然と立ち尽くしていた姫花が光棄を見つけた。
「姫、高菜どこ行った?」
「用事、だそうです。クソジジイ様に会いに行くって……」
「──姫」
光棄の目が、『クソジジイ様』と言う言葉に反応した。
「花に伝言お願い、──『欠片』が見つかった──って」
「──っ、了解」
姫花は一瞬強張った顔を戻して、返事をした。
▷
天界、〖白の塔〗
「【上位者権限】発動」
中央にある台に手をかざし、呟いた光棄の手元、そして足元に«魔方陣»が現れる。
「【召喚】〈〖未来〗、〖雷花〗、〖聖火〗、〖百合〗──〖理桜瑠〗〉」
魔方陣は増え、5つになり、光棄を取り囲む。
「どうしたの?てか、何で私呼んだの?クソジジイ様なんか会いたくないんだけど」
真っ先に現れた金髪の少女──理桜瑠は悪態をつきながら【チェンジ】と唱え、『制服』に着替える。
「不敬よ、【蘭】」
「それはそれは申し訳ありません、夏宮家第二子にして巫女、夏宮 雷花様。ですが私、あなた様に名前呼びを許した及び許された覚えがないのですが……記憶違いでしょうか?」
「ええ、間違っていないわ。でも何が悪いの?」
「大変失礼であることを承知した上で申し上げさせてもらいますと、巫女としての礼儀を教本2冊目ほどから読み直した方がよろしいのでは?」
続いてやってきた、笑顔の璃桜瑠と言い争っている幼いピンク色の髪の少女──雷花は苛立った顔を丸出しにしながら髪を弄る。
──尚、巫女としての礼儀、作法などを書いた教本は全部で百ほどあり、2冊目は丁度五歳くらいの子が読むものである。
「失礼だと分かっているのなら最初から言わないで頂戴、これだから獣は──」
「……」
何かを言いかけた雷花だったが、璃桜瑠と光棄に睨まれ、詰まる。
すると今度は、他の3つの魔方陣が同時に光り、中から3人揃って出てきた。
共に行動していたらしい。
「急に戻ってきてどうしたというのだ、光棄?」
「それなりの事情があるんでしょうね?」
「……」
偉そうに胸を張って出てくる、顔の皺が目立つ黒髪の男性──聖火と、扇子を右手に目を細めて光棄と璃桜瑠を睨む、雷花と似たピンク色の髪を女性──百合。
そして、うつむいて黙っている、銀髪の少女──未来である。
そこでようやく、台座に刻まれた文字をなぞっていた光棄が口を開いた。
「『欠片』を発見しました……良かったですね、あなたたちの思惑通りです」
……空気が揺らぐ。
隠れている光棄の右目が、薄く光った。
続けて光棄は話す。
「ですが残念……鬼ごっこは【陽葵】の方が得意、なおかつ現在優位です」
薄く笑いながら『勝てるもんなら奪ってみろよ』と挑発する光棄を見て、各々期待や希望、失望を胸に──
「【上位者権限】解除」
その場を去ったのだった。
「……敗算は1割くらいかな?」
窓の外を眺めて、バカにしたように笑う【鈴】の言葉を聞かぬまま。
▷
校舎の影に隠れながら降り立ち、羽をしまう。
顔を見ておけるに超したことはないから、少し顔を出して覗いてみた。
……けれど、そこにいた霊力の残り香をもつ人物は、麗華であった。
(麗兄!?嘘っ)
すぐさま顔を引っ込め、息を吐く。
あり得ない。
あり得て良いはずがない。
確認のためにもう一度、顔を出す。
しかし、いや、やはり居たのは麗華だったが、ベンチに座っていた麗華の周りに黒い蔓のよう梛ものが現れていた。
(何あれ……)
よく見れば白い肌の顔が、青い。
ボケッとしてるように見えていたが、生気のないようにも見える。
(どうすれば良い?助ける?それとも、攻撃して……いや、まずは……!!)
──精霊に関わるな。そこは俺たちの領域であって、お前の入って良いところじゃない──
(光姉に報告!!)
これは関わっちゃいけないやつだ、と興味本意で飛び出してしまったことを悔いながら戻ろうとするが、それは叶わなかった。
いやもうですね?
途中から諦めてたんですよ。
やっとテスト終わりましたので投稿させていただきます!
……多分最終章になるかな?
あ、保証はしないよ?エピローグ(プロローグ?)とかあるかもしれない?からね、うん。




