『弘』(2)
復活!
ごめんなさい!!
ちなみに理由は期末テストです……いやあ地獄や、はは。
てか課題終わってないんですけどね☆
ヤバイっす……。
(凄い……!!)
単純に、そう思いました。
«魔法»とは、本来、酸素等、空気中から、物質・物体を作るのに必要な物だけを使って構成される、本物です。
だから、«火魔法»によって出てくる火は当然のように熱いですし、
«水魔法»で出せる水は、水素から作る分、川の水より澄んでいます。
それが魔法であり、なおかつ科学の最先端のようなものです。
……もう一度言います、魔法は、本物です。
それを、彼女は、剣で斬ったのです。
常人とは思えない、それほどの力を、彼女は使っているんです。
いつ倒れても、おかしくないに決まっています。
そのまま眩暈を起こしたのか、少し頭に手を当てて堪えていました。
けれど、魔物たちは待ってくれません。
まだ残っていた数体のマジックオークの放った、黒い魔法が、飛んできました。
そう、黒かった。
«火»・«水»・«雷»・«土»・«光»・«闇»・«無»、それが魔法の全てです。
マジックオークが撃ったのは、«闇»でした。
«闇»とは。魔法を行使する者の、敵意、憎悪、嫉妬等の悪感情から生まれる、誰にでも使える物。
悪感情が源なだけあって、その実態は、呪いや精神攻撃等が多い。
つまり、一撃で、生死に関わることもあるのだ。
だからこそこの魔法は禁忌とされ、今では誰も使えない。しかし、魔物は違う。
やってたらできるようになるわけだから、«光魔法»で討つか、避けるしかない。
けれど、彼女は今、どちらもできない……。
気付いたときには足で«闇魔法»の前に飛び出していました。
(ヤバッ……!!)
「フム、情けないぞ、光棄」
先程彼女と一緒に来た、獣人の男性が、それを«闇»で《・》防いでくれました。
«闇»は、相手に大きなダメージを与える分、使用者にも莫大な負担をかけます。
「何しに、来た……!!」
「お前が苦戦しているのが見えてな、助けに来た」
「余計な、お世話、だ」
「そうか?」
「早く、«光»、で治さ、ない、と」
「ああ、それなら大丈夫だ、俺はもう十分生きた」
彼は、見た目20才といったところでしょうか。
獣人は、天使や人より長く生きるので、実年齢はおよそ40~50才。
まだまだ若いです。
「ざっけんなよクソが!璃桜瑠に顔合わせらんねえだろが!」
「あの子はもう強いからな、あと」
そう言って彼は僕の方を見て、
「ありがとうな、光棄を守ろうとしてくれて」
「い、え……」
彼には«闇»の反動で黒いモヤがかかっていたので、少し畏怖してしまいました。
「だがな、無理は禁物だぞ?危うく君は死にかけるところだった。」
首を縦に降って、頷きました。
「あぁそれと光棄、璃桜瑠にも伝えておいてほしいが……」
そう言って彼は息を大きく吸って、
「『強くあれ!誰にも負けぬ、強靭な刃として!守ると決めたものを守れる力を、そして守り抜くための信念を!!その自分自身の羽に誓え!』」
とても力強い、大きな声でした。
さっきまでいた周りの魔物は、もういませんでした。
「……分かったな?」
そして彼は、力尽きた、とでも言うように、薄く笑った後、そのまま倒れてしまいました。
「クソ野郎!!おい!」
«光»を使えるのは、とても少ないです。
だからこそ、教会に行かなくてはならない。
……けれど、彼の容態からして、間に合いそうにありませんでした。
「おいってば!璃桜瑠だって待ってんだよ!!なぁ!」
何もできない状態で、僕らは彼女らを見つめていることしかできませんでした。
「──っ!!」
その時、少しだけ、彼女にある「誰か」の片鱗が見えたような気がしてしまって。
それが、僕の初めて見た「死」でした。
それから少しして。
侵攻は片付き、日常は、戻りつつありました。
母様は、前よりいっそう忙しくなり、ある時また、ギルドに行くことになりました。
あの侵攻から2ヶ月程経った頃で、ギルドは相変わらず忙しかったです。
その日、彼女はいなくて、それにホッとしてしまっている自分に嫌気が差しました。
……ですが、帰り際。
«チリン»
前とは打って変わって、鳴り損ないのような、小さな音でした。
一層、クマが増していました。
«チリンチリン»
彼女は僕に気付かず、そのままギルドを出ていきました。
(目……)
よく見ると、前髪で隠されている左目が、黒に近い青でした。
天呪の影響かとも思いましたが、そんな事象、聞いたことがありません。
その日はそのまま、帰りました。
それからまた1ヶ月経って、ある時母様が朝の食卓に爆弾を持ち帰りました。
当然、本物のではありませんが。
その頃から高菜の苦労は底知れなくあり、母様の変な拗らせも健在でした。
僕は先に行っていて、母様がポロッと溢したらしいです。
「あ、そうだったわ、この間養子取ったのよ~」
「は?」
「男の子の方がよかったかしら?」
「ちょっと待ってママ」
「今日連れて来るからよろしくね~」
「あ、ちょっ」
そのまま母様は行ってしまい、高菜はその後学校で、訓練所にある人形をボコボコにしてたのを同級生に見られた、と嘆いていました。
そして、その日の夜、僕は何も知らずその子に会いました。
家に帰ると、高菜と母様、そしてなんとあ《・》の《・》彼女が居たんです。
「えっと母様、どういった?」
「ギルドで見つけたの、ついでに拾ってきたから、よろしくね」
大雑把過ぎて分かりませんでしたが、母様は「後は3人でよろしくねー」と言ってギルドに行ってしまいました。
「夏宮 光棄、本名が《・》夏宮 鈴。普段は光棄、オメーらの近くない親戚」
「夏宮 高菜」
短いなとは思いましたが、高菜から視線をもらい、僕の番だと気付きました。
「夏宮 弘、本名は姫花です」
「菜っ葉と姫、おけ覚えた」
「は?まってえ私菜っ葉って呼ばれるってこと?え?」
「覚えやすそうなのが他にない」
「え高菜でいいじゃんえ?」
「姫……」
初めて略されました。
それに、姫花を名乗ったのも久しぶりです。
「それだと暫く名前聞いちまうかもしれねーんだがいいか?」
「よーくはないけど菜っ葉よか増しや」
「ならそれで、んでもって姫」
「弘が何?」
「こないだまでのことは忘れろ!以上!」
「えあ、はい?」
こないだ、とは先日のことでしょうか。
「こないだ?え?面識あんの?」
「忘れた忘れた」
「は?」
まあ、誰にも言うつもりはありませんでしたしね。
「それとさあ……オメーらの母親、あれどーなってんの?」
「さっきのごまかされた感半端ないんだけどそれはどういう意味?」
「ギルドの受付で換金してたら拉致られて養子組まされた」
「え?」 「は?」
「ちなみにマジな」
「……」
「ママァ……!!」
「あ、高菜?」
「ちょっくら行ってくるわ」
そう言って、高菜は母様を追いかけてギルドに行ってしまいました。
「えっと、この間はありがとうございました」
「あーそれも」
「忘れろまでは言わんがなるべく話すな」
とりあえず頷いておきました。
「デスマスは性格か?」
「はい」
「ならいい」
「あの」
「ん?」
「なんとお呼びすれば?」
「光棄でいいが」
いえそれは流石に、という意味を込めて首を横に振りました。
「何でもいいぞ?」
「兄様でいいですか?」
「なら俺も姫はやめた方がいいか?」
「家とかでしたら別に、外は弘でお願いしたいです」
「りょ」
「「……」」
「あー…なんかやるか?」
「……でしたら一度戦ってみたいです」
「……マジ?」
「はい」
「俺が戦ってるの見たよな?」
「忘れました」
「分かった……が、少しな?どうせすぐアイツら帰ってくるだろうから」
「分かりました」
「あと姫、お前属性は?」
「全部です」
「……もーいっかい言って?」
「全部です」
「っこんっのチートが……!!」
「兄様は?」
「嫌味かよ、«水»・«雷»・«無»・«闇»」
「«火»斬ってませんでした?」
「あー、«無»から創ってんだよ」
「創る?」
「«創造»持ってっからそれでフル活用」
「なるほど、参考になります」
「参考すな、得意なのは?」
「«火»«雷»«土»ですね、他はほとんど使えません」
「相性最悪じゃんか」
「地下に訓練所あるのでそこでやりましょう」
「ん」
その日の勝敗は勿論兄様の勝ち。
相性最悪、何て言っていましたが、威力や密度、魔力量は兄様がぶっちぎっているので、当たり前です。
その日から僕は兄様に魔法を見てもらうようになりました。
母様のことで揉めたときから『マザコン』と呼ばれてますけど、あれで決闘を申し込んだのは、兄様が僕らのことをまだ家族として認めてくれてないのかと不安になってしまったからなんですよ?
どっちかというとブラコン、いえシスコンですかね。
それに、今だったら分かりますけど、僕が«光»を持っていると言ったときも、使えないと言ったときも、兄様なにも言わなかったじゃないですか。
僕は、勘違いでも認めてくれてるって、思ってますし、そんな優しい姉様が大好きなんです。
兄様にこんなこと言ったらドン引かれると思いますから、絶対言いませんけどね。
明日も出します!
メモだけって決めてたんだけど結構いけそう……。




