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ラース第一国立学園

 

 異世界に住むみなさん、こんにちは。

 

 私の名前はマフル・ハーシェ。花も恥じらう17歳。

 

 去年ラース第一国立学園に入学して、学園生活を謳歌しているところ。

 ……言い過ぎたかな。正直謳歌できてはいない。


 ここラース第一国立学園は、私の住むアスディー共和国が設立した学園のひとつで、この国に住む子供たちが16歳になったら入学する。

 卒業は早くて18歳、遅くて22歳。


 なぜ卒業年に開きがあるかって?


 それは、この学園が()()()()()()()()()()だからだ。


 アスディー共和国は30年前に王制から共和制になったんだけど、そのせいで現在親世代と子供世代のジェネレーションギャップが深刻になっていて、ひとつの社会問題になってしまった。

 そのジェネレーションギャップのひとつが結婚。

 同レベルの家格の相手と結婚させたい親と、自分の結婚相手は自分で決めたい子供。

 その両者の溝を埋めるべく作られたのが、ここラース第一国立学園だ。


 この学園は第一から第五まであって、その数字によって身分が分けられている。

 数字が大きくなればなるほど身分が下がっていく形だ。

 つまり、同じくらいの家格の子供たちが集まってできている学園。そのなかで子どもたちは自由に恋愛しなさい、という寸法である。


 そして私たちはここに入学したからには、必ず相手を見つけて卒業しなければならない。

 

 すぐに相手が見つかった生徒は義務である2年間で卒業できるし、相手が見つからなければ6年在籍して相手を探しつつ義務教育後の高等研究を続けなくてはならないのだ。

 6年間相手が見つからなかった場合、同じように6年在籍し続けた異性とそれぞれの相性などは全く問わない形の完全ランダムでペアリングさせられる。

 その相手との結婚は強制ではないけれど、お見合いのための学園に放り込むような親を持ってるわけだから、22歳なんてギリギリな年齢から新しく相手を捜せる人はほとんどいない。

 結果、6年在籍し続けた人はそのランダムな相手と結婚することがほとんどだ。

 そのため、自分で相手を見つけたい人は皆必死で結婚相手を探すことになる。

 

 もちろん自由に恋愛すればいいと考えている親はラースではなく普通の学園に子供を通わせるし、すでに親に認められた交際相手がいる人はこの学園にはこない。


 

 説明が長くなってしまったけど、私の通う学園はこんなかんじ。


 私はすでにこの学園の2年生。義務教育期間の1年を無駄に過ごしてしまった。

 

 いや、無駄ではなかったと思いたいんだけど。友達もたくさんできたし、勉強もちゃんとした。

 でも気づいたらちらほら相手を見つけた友達も増えてきて、周りは友達以上恋人未満の空気を出している人たちがいっぱい。

 

 つまり、正直な話、私は完全に波に乗り遅れていた。

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