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うちのダンナ詩集

エンドレス・インスタント・コーヒー

作者: 陸 なるみ


洗い物をする私の横で

ケトルが白い蒸気を上げる

「飲むの? 飲まないの?」

不機嫌そうな声はケトルのものだ


君だったら訊いたりしない

庭にいたらホーローのマグ

コンピュータなら大きいの

風呂上りならデミタスで


ウヂューケアフォーアドリンク?

そんな粋な問いかけを

憶えたのはごく最近だ

私たちには不要だったもの


プシュプシュと言えば炭酸で

プシュゥウウと言えばスプレーの

勢いついたホイップクリーム

今日は苺にかけて食べるの


体重落ちた私には

カロリーケアよりビタミンC

君が心配するからさ

自分は40キロまで細ったくせに


エンドレスにインスタントの

コーヒーを飲みながら

君が揃えたたくさんの

私用のマグを洗っては充たす


心はいつまでも空っぽのまま

君が命であがなった家で

充ちるのは涙

なぜかふと流れ出す涙


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バナー作成:秋の桜子さま。ありがとうございます。
― 新着の感想 ―
[良い点] ぐおおおおーーーん! つい読んでしまいましまよぉぉぉーー! ぐおおおおーーーん!
[良い点] 拝読しました。 涙はいつまでも流れ続けるものですね。並べられたマグカップにはひとつひとつの記憶があると思います。陸さんがそのひとつひとつを大切にしている姿に、胸がいっぱいになります。創作…
[一言] 残ったマグカップ……。 もう、なんと声をかけていいのやら……。 2人ぶんのお湯を沸かして、2人分作ってたのに……。 そうイメージするだけで、切なくなります。 ちゃんと食べて、ちゃんと飲ん…
感想一覧
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