武蔵の緻密な攻撃と特級魔法を操るエリーナの超火力
戦艦武蔵は旋回後右後ろにいた巨大ゴーレムと交戦していた、
すでに大和・信濃・紀伊は天使族を捕獲、ゴーレムを粉砕、
その状況が武蔵にも通達されていた。
「えっ?もう3体も破壊したの?早すぎませんか?」
連絡を受けたエマが驚きを隠せない。
「私達も負けてられないわね!!」
ソニアの言葉に武蔵の全乗組員が頷き気合いを入れ直す。
武蔵艦長のエリーナは攻撃も含め全部武蔵の木人形達に任せている、
これは武蔵を知り尽くした木人形達の邪魔をしないための配慮だ、
自分達は特級魔法と敵の攻撃を抑えるための氷の盾を操作している。
武蔵を任された乗務員たちは・・無念を思い出す。
大和と共に世界最強の戦艦にして日本軍が製造した最後の戦艦、
皆の期待を背負いながらも場が無く武蔵旅館と皮肉を言われる日々、
起死回生のレイテ湾海戦では囮状態となり敵の猛攻撃を一身に背負う。
驚異の粘りを見せたが力尽き・・
海中に没した後大爆発を起こし原形を留めることなく眠りにつく、
武蔵と共に没した大勢の木・・いや武蔵乗務員は無念を抱いていた、
武蔵の力を出しきれなかった事が一番の心残りだったに違いない。
時は過ぎ・・
今この異世界で再び戦艦武蔵の乗務員として蘇った木人形たち!
今度こそは・・
今度こそは・・
武蔵の強大な力を見せつけ最強の誇りを取り戻そうと・・・
固く心に誓った戦艦武蔵の乗務員たちだった。
「右45度から天使族の魔法攻撃が来ます」
「 氷の盾展開、反撃をお願い」
「わかりました!」
ソニアが敵の魔法攻撃を防いだ後武蔵の砲撃手が天使族を撃つ、
正確に肘や腕など要所を狙ってくる砲撃に天使族は躊躇う、
結界を展開して難を逃れるのが精一杯で武蔵に近づけない。
「主砲撃て!ゴーレムの関節を砕くんだ!」
ズガーン!ドゴーン!
武蔵の誇る46センチ主砲がゴーレムの関節を正確に射抜く、
これは他の艦が交戦データーを送ってくれたのを参考にした、
天使族を捕らえればゴーレムは止まるので動きを鈍くして時間を稼ぐ。
大和は力任せに敵を叩きのめしたが武蔵乗務員は要所だけに絞った、
すでに天使族の大半は捕らえておりゴーレムも3体撃破している、
先の戦いに備えるのと同時に・・試したいこともあるからだ。
「よくも!」
天使族は怒って反撃するが・・
それはこちらの思うツボだった。
各砲撃手は攻撃しながら誘導し・・天使族を一か所に集める。
「きゃっ?」
「ちょっと~何近づいてるの?もっと離れてよ!」
「なに言ってるのよ!あなたあっちで戦っていたじゃない!」
「なんですって?あなたが近づくからでしよ、あれ?」
天使族は・・一か所に集められたことに気が付いた、だが遅い、
武蔵の2門の副砲が天使族に向けられ特級魔法の発射準備、
エリーナの原核「火」の魔力は武蔵の副砲に送られていた。
同時に主砲には結界増幅弾を装填しその時を待っていた!
「主砲発射!」
ドカカカーーン!!!
武蔵の一番主砲から結界増幅弾が放たれ天使族目掛け飛んでいく、
集まっていた天使族は最大の結界を張りその衝撃に備えるが・・
バシーン!
結界増幅弾は天使族の結界を破裂させ丸裸状態にしてしまう、
相手が集まっていたことで連鎖的に結界が膨張し破裂させた、
3発の増幅弾だけで10人以上の結界を破ることに成功した。
続けて・・
「特級魔法発射!」
2門の副砲の砲身が光り輝き炎と化した特級魔法を同時に発射した!
「全員回避~~~!!!」
天使族は慌てて散開、炎の弾の特級魔法から何とか回避したが・・
武蔵の副砲が狙っていたのは天使族ではなかった。
ズグァーーーーン!
特級魔法がゴーレムの頭に直撃、超高熱が首ごと溶かし吹き飛ばした、
その壮絶な威力に冷や汗の天使族たち・・だが・・
「お嬢さんたち・・隙だらけですよ?」
武蔵の砲撃手は麻酔弾を装填しており一斉に発射した、
女性ということを考慮して左腕の目立たない所を狙い撃ち、
麻酔弾を受けた天使族は次々と気を失い海に落下していく。
「ソニアさんお願いします!」
「まかせなさい!!! 」
ソニアが無数の氷の盾を90度横向きにして天使族を受け止める、
そのまま武蔵の甲板に運び天使族全員を捕獲した、それと・・
ソニアがついでとばかり封印魔法を放ち天使族を攻撃不能にした。
天使族全員が気を失い戦闘不能となったことで・・
ゴーレムは頭を失った状態で仁王立ちしていた。
それを見たエマが艦内放送を流す。
「皆さまお見事です!そしてお疲れ様でした、おかげで天使族を捕獲、
ゴーレムは動けなくなりました、武蔵の・・乗務員全員の勝利です!」
その放送を聞いた武蔵乗務員たちは・・勝利の余韻を感じていた、
少しあっけなかったが・・皆右腕を挙げてガッツポーズをしていた。
「やれやれ、一旦落ち着けるわね」
エリーナが艦長席で深呼吸、エマツーがお茶を用意してくれた。
「ありがとう!エマツーさん!」
エリーナの笑顔を見たエマツーは優しく微笑んでいた。
「さて・・これどうするの?」
ソニアが指差した先には仁王立ちのゴーレムがいた。
このまま攻撃すれば十分ゴーレムは砕けるがエマが反対した、
既に天使族は捕らえているので武蔵の砲弾は使いたくないからだ、
ソニアの特級魔法で砕く案も出たが・・
「え~~~嫌よ!あんなの砕いても美しくないもの!!」
ボロボロのゴーレムを砕く気にはなれないようだ・・
さてどうするか・・
他の艦がどうしたかを・・届いた戦闘データを見て参考にする、
他ではレイミとサユミが自身の特級魔法で砕いた事を知る、
タケシに関しては紀伊が砕いたので欲求不満だと書いてあった。
「じゃタケシを呼ぶ?」
「そうですね、声かけてみましょうか?」
「それがいいわね、そうしましょう」
大和にいるタケシに連絡、するとタケシが一目散に飛んできた、
前と同じようにレティシアの部下5人がタケシを抱え連れてくる、
なぜか・・部下の天使族はニヤニヤしながらこっちに来た。
「ご連絡ありがとうございます!」
珍しくタケシが満面の笑みを見せる、それを見たソニアは・・
「タケシ~愛しているわ~~!」
ムッチュー~~~~~~~~~~ポン!
ソニアの猛烈な口づけに怯むタケシ。するとエリーナとエマが・・
「あ~~~ソニアさん浮気だ~~~!!」
「違うわよ~~家族愛よ!!」
エリーナ達が一斉にからかう、子供のように赤面するソニア、
女性陣のおふざけに興味のないタケシは急ぎ武蔵の船首に移動した、
そして首のないゴーレムを見て・・目が光り特級魔法を掌にかざす。
武蔵の木人形とジェニー達は・・
あらゆる機材を用意してその戦局を生配信していた!
大和・武蔵・信濃・紀伊の搭乗員たちはスマホでその様子を注視、
サユミやレイミもタケシの活躍にワクワクしながら画面に釘付け、
残念ながら結界の外には配信できなかったので録画もしていた。
紀伊の艦橋では・・
タケシの猛烈ファン、いや側室を狙っているジェニー達が大注目!
皆の目線を感じたタケシに・・
心の奥に潜んでいた自己顕示欲が現れた。
「やってやる!やってやるぞ!」
タケシは特級魔法を右手にかざして・・
「 氷の爆破! 」
巨大な特級魔法が放たれ・・首のないゴーレムの胸に直撃した!
「ドカカカカカカカカカカカカカカ・・ドコーーーーーーン!」
噴火のような巨大な爆発が起こり・・
ゴーレムの巨大な体が跡形もなく砕け散った!!
「オォォォォォォォォォォォォォォォ・・・!!!」
右手を大きく挙げて声援に応えるタケシ、満足の笑みが満載だ、
各艦の搭乗員たちはその姿を見て感動、拍手でタケシを称えた、
紀伊の艦橋では大騒ぎ!ジェニー達がタケシへの愛を唱えていた。
中継が終りタケシが紀伊に戻ろうとしたが・・
「ちょっと待ってください、今習い事をしているので・・」
なぜかレティシアの部下たちは捕らえた天使族に縄をかけていた、
なかなか上手く縛れないので武蔵にいたベテランのジェニーが指導、
コツを教わりながら眠る天使族に・・夢中で亀甲縛りをしていた。
「あぁ・・」
「あ・・・ん」
「あっ・・あっ・・」
恥ずかしい所にも容赦なく縄をかけられた天使族達はもがく、
その声に興奮した部下たちはカメラを借りてその姿を撮影していた。
だが・・
敵の天使族は皆のっぺらぼうなので・・
誰か誰やらわからない状態で撮影しても意味ないと思うが?
と木人形の一人が部下に尋ねる、すると意外な返事!
「大丈夫ですよ!髪型ですぐわかりますから!」
・・・
呆れる木人形達を尻目に・・
「うふふふふふふふふふふ・・目が覚めた時が楽しみだわ~」
・・・
余程白の大陸で邪険にされていたのか・・
レティシアの部下たちは眼を輝かせ紀伊に戻っていった。
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